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バイオプラ・再生プラに照準 「循環経済」実現へ新装置
IPF Japanはモノづくりに関わる展示会として日本有数の規模で開かれる。プラスチックとゴムの分野では世界的にも高い知名度を誇っており、海外からの出展者、来場者も多い。国際プラスチックフェア協議会の松井宏信会長(松井製作所社長)に今回の見どころや主催者の意気込みについて聞いた。
―環境対策はプラスチック業界としても大きなテーマです。
「近年プラスチックは廃棄の問題や石油を原料とすることから二酸化炭素の排出に関して“悪者”のイメージを持たれています。プラスチック産業のさまざまなステージでこの問題に取り組んでおり、関連出展が数多く予定されています。原材料からのアプローチではバイオマスプラスチックや生分解性プラスチックのメーカーが多数出展します。機械装置も新しい原料に対応した成形システムが展示されます。木粉やセルロースナノファイバーなど自然由来の原料をコンポジットする技術も進んでおり、プラスチックの利便性を享受しながら総量として石油資源の使用量を減らす提案もあります」
「廃棄プラからリサイクルした原料(再生プラ)を取り扱う企業が出展しているのも今回の特徴です。プラスチック業界全体として循環経済への対応の重要性が高まる中で、バイオプラや再生プラを取り扱う企業の出展が増えています」
精度・スピード 実機稼働で体験
―出展者が大幅に増えたのはIPFへの期待の表れです。
「17年の出展者は778社でしたが、今回は853社となっています。リアル(対面)での商談や新規開拓の場として展示会が再評価されていることを感じています。大型射出成形機や押出機、真空成形機など、機械装置の実演稼働もこれまで以上に目立ちます。実機を見てスピードや精度、音や振動などを体感できるのがリアル展の魅力です。遠方の方も足を運ぶ価値を実感いただけると思います」
―海外からの出展も増えました。
「もともとIPFは海外からの出展や来場が日本国内の展示会の中でもトップクラスでした。海外からの出展はこれまで台湾勢が圧倒的に多数でした。今回も健在です。今回、特に増えたのは中国企業です。17年から倍増しています。中国メーカーの装置を日本の成形加工業者がどう評価するのか注目しています。また、中国の大手原材料メーカーが初めて出展するなど、巨大な中国市場で力を蓄えた中国企業が販路を日本にも広げようとしています」
―セミナーも充実しています。
「豪華な講師陣の講演を無料で聴講できるとあって毎回好評をいただいています。今回は主催者企画のセミナーとしては合計33セッションを計画しています。聴講にはセミナー開催当日に会場で配布する聴講券が必要になるので、聴講希望の方はぜひ早めの時間帯に来場して聴講券を取得してください。また、出展者によるプレゼンテーションは54セッションを予定しています。こちらの聴講についてはそれぞれ出展者に直接確認してください」
プラスチックとゴムの総合展―充実の企画展示 もっといいプラスチックを、もっといい未来のために。
―企画展示も充実しています。
「IPFでは毎回、注目すべきテーマを取り上げた主催者企画展示を行っています。今回は『サーキュラーエコノミー』『IT/IoT』『コンポジット』の3テーマと『産学連携の広場』を設けました。サーキュラーエコノミー企画展はバイオプラスチックメーカーなどの協力により、プラスチック業界自らが取り組む持続可能性について提案します。バイオプラ製の食器などの販売も行います」
「IT/IoT企画展では、中小のプラスチック成形工場における情報活用事例を紹介します。コンポジット企画展では繊維強化プラスチック(FRP)や、セルロースナノファイバーなどとプラスチックとのコンポジット成形に関する最新の研究成果を紹介します。産学連携の広場は、12の大学研究室が説明員を常駐してパネル展示します」
―「オンラインショーケース」を開設しました。
「リアルの展示会を補完することを目的に公式サイトでの情報発信に注力しています。出展者の情報ページでは出展の見どころや製品紹介のほか、会期前後に開催するセミナーの情報も掲載できるようにしました。プラスチックのポータルサイトとして25年12月まで公開を続けます。チャット機能を省いたオンライン展示会としての活用を想定しており、展示会の新しい付帯サービスとして位置づけています」
「公式サイトの出展者リストには各出展者の社名の横にキャッチフレーズを表示しており、展示会ならではの“偶然の出会い”を促進する工夫もしています。また、オンラインで来場登録された方はマイページを利用でき、気になる出展者や製品を事前に登録しておくことで、展示会場での時間を無駄なく活用いただけます」
―出展者も来場者も“待ちに待った6年間”だと思います。
「6年ぶりとなる対面での開催への期待感をひしひしと感じています。出展者にとっては手間もお金もかかり、来場者にとっては会場に足を運ぶための時間をかけなければならないなど、展示会には“面倒くさい”こともありますが、実際に動いている機械の前で顔と顔を合わせることで生まれる信頼感や親近感は、展示会でしか得られない価値であることをたくさんの人が再認識したのではないでしょうか。主催者として皆さまからの期待に応えられるように万全の準備をしてきましたので、ぜひ一人でも多くの方にご来場いただきたいと思います」