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工業炉と関連機器
工業炉は材料や部品の物理的・化学的・機械的性質などを変化させるための加熱設備の総称だ。国内に約3万7000基存在し、産業の各分野で利用されている。産業分野で使用する材料(鋼材、炭素材など)は、工業炉を用いて加熱、溶解、製錬、金属熱処理を行うことにより、高品質な工業製品で使用される。一方で、工業炉からは大量の二酸化炭素(CO2)が排出されるため、脱炭素や省エネルギーの促進が求められている。
日本のモノづくり支える
工業炉は鉄や銅、アルミニウムに熱を加えて加工するための設備で、日本のモノづくりを裏方で支えている。主に鉄鋼や機械、電機・電子、自動車、化学および環境関連産業などで幅広く利用されている。原料から最終製品に至る加工プロセスを担い、製造現場では欠かせない存在だ。身近な例では鉄道、航空機、スマートフォン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの製造過程でも工業炉が利用されている。
工業炉は加熱方式によって燃焼式工業炉(燃焼炉)と電気式工業炉(電気炉)に分類される。燃焼炉の加熱方式は「直接加熱方式」と「間接加熱方式」に分けられ、化石燃料が主な熱源となっている。
一方、電気炉は金属やセラミックス、ガラスの溶解、焼成のほか、自動車部品やエンジン部品などの硬度を上げる熱処理に用いられる。電気ヒーターで加熱するため、精緻な温度制御が可能だ。
工業炉が消費するエネルギーは日本全体のエネルギー消費量の15%に相当するといわれている。工業炉業界では脱炭素や省エネルギーに向け、アンモニアや水素への燃料転換に向けた技術開発などが進められている。
【ごあいさつ】 日本工業炉協会 会長 髙橋 愼一/創立60周年 「火」を原動力に新たな挑戦へ
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日本工業炉協会 会長 髙橋 愼一
謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
今年、日本工業炉協会は創立60周年を迎えます。当協会は1966年の設立以来、日本の産業基盤を工業炉技術で支え、鉄鋼、非鉄金属、化学、さらには新素材の分野に至るまで、モノづくりの根幹を担ってまいりました。この間、私たちは時代の要請に応えるべく、省エネルギー化、安全性向上、環境負荷低減に取り組み、技術革新を積み重ねてまいりました。これもひとえに会員各位のご尽力とご支援のたまものです。
今年は干支で「丙午(ひのえうま)」にあたります。丙午は古代中国で生まれた十干(じっかん)の「丙」(陽の火)と十二支の「午」(陽の火)が重なる、火の象徴性が極まる年です。
火は工業炉業界にとって単なるエネルギー源ではなく、技術革新と産業発展の原動力そのものです。そして、協会が発足した66年も丙午の年であり、創立の精神と火の力が再び重なることは、非常に意義深いものと感じております。
今日、世界は脱炭素社会の実現に向けて大きな転換期を迎えています。工業炉業界も例外ではなく、カーボンニュートラルの達成は喫緊の課題です。私たちは、従来の燃焼技術に加え、水素燃焼や電化技術、再生可能エネルギーとの融合など、革新的な取り組みを加速させています。協会としても、人材育成のサポートや国際的な技術交流などを通じて、業界全体の変革を後押ししてまいります。
また、今年9月には「サーモテック2026 第9回国際工業炉・関連機器展」を東京ビッグサイトで開催いたします。この展示会では「環境・熱・未来 ~ともに考えよう 高効率な熱技術と持続可能な未来~」をテーマにカーボンニュートラル対応技術、デジタル化によるスマートファクトリー、そして安全性・効率性を高める最新ソリューションを一堂に紹介し、工業炉業界の新たな方向性を示す場といたします。当業界に関連する企業・研究機関・ユーザーが集い、日本の工業炉技術を国内外に向けて力強く発信する機会としたいと考えております。
我々は創立60年の歴史に誇りを持ち、次の時代に向けて新たな挑戦を続ける協会でありたいと考えております。本年も皆さまの変わらぬご協力とご支援をお願い申し上げますとともに、新しい年が希望に満ちた年となりますように心からお祈り申し上げます。
