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第79回 インド共和国 独立記念日
1947年8月15日に英国から独立したインド。今や世界1位に躍り出た人口や強力な産業振興策と都市化の進展を背景に各地から投資を引き寄せ、世界の成長センターとしてのポジションは明確になっている。同国のさらなる成長を日本はどう生かすべきか。経済面のみならずさまざまな分野で、印日パートナーシップの拡大が注目されている。
躍進 「世界の成長センター」
【インタビュー】 駐日インド大使 シビ・ジョージ 氏
印日科学技術イノベーション交流年—連携拡大
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駐日インド大使 シビ・ジョージ 氏
印日の経済連携は従来のインフラ関連や大手製造業にけん引されて、中堅・中小企業へも多層的に広がっている。シビ・ジョージ駐日インド大使は、両国のパートナーシップをさらなる高みへ引き上げるべく、2025年から2026年を印日科学技術イノベーション交流年として、連携拡大を呼びかけるなど精力的な活動を続けている。79回目の独立記念日を迎えて、その意義やさらなる連携策の進め方を聞いた。
DXの旗手
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大阪・関西万博のインド館「バーラト」では、月探査機のチャンドラヤーンを紹介
—インドにとって、独立記念日はどのような意味を持つ日ですか。
「独立記念日はインドが変容していくうえで非常に重要なマイルストーンだ。2047年の100年の時には貧困をなくし、先進国となることを目標としており、毎年そこに近づくための指標となる。インドは世界最大の民主主義国家であり、昨年は有権者10億人近くが参加した選挙が行われた。COVID—19の後も急速な経済回復で毎年、6—7%の成長を維持し、国中のどこでもデジタルで決済や手続きが行えるようデジタル変革を成し遂げている。科学技術も飛躍的に発展しており、月探査機が月面着陸を果たした。こうした社会基盤や科学技術や経済面の成長だけでなく、独立国としてテロリズムを一切許さない、強固な国になっていく」
日系進出10倍目指す
—印日の経済関係強化をどう評価していますか。また今後10年後を見据えた場合、どの分野での連携強化を考えますか。
「インドの経済発展において特にベースとなるインフラ面で、日本との重要なグローバルパートナーシップなしでは説明することはできない。スズキが40年以上前に進出し、インドの自動車産業成長を実現した。20年ほど前に日本の支援でできたデリーメトロは都市モビリティーの変容をもたらした。今は工事中を含め、インドの20都市でメトロ交通網が実現されようとしている。現在、約1500社の日系企業がインドへ進出しているが、私のビジョンは早期に10倍の1万5000社に増やすことだ。 メイク・イン・インディアからメイク・フォー・インディアへ、さらにアフリカや中東、日本の成長にもつながる“メイク・フォー・ワールド”を実現できる」
大学・研究機関が交流
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インド政府科学技術省に属するアリヤバッタ観測科学研究所では印日国際研究が進む
—日本との関係をさらに強化すべく、印日科学技術イノベーション交流促進年として、特に科学技術分野での連携にスポットをあてておられます。
「40年前、日印科学技術協力協定締結が結ばれたのに起因する。交流促進年を進めるにあたり重視するのは、印日での大学や科学技術研究機関同士の交流拡大だ。インド工科大学やインド科学研究所など著名な研究機関が多数あり、そういうところを中心に日本の大学や研究機関との共同研究、学生や教員間での交流を強化したい。インドの基幹技術として、半導体、レアアース、ロボット、ドローン、宇宙の分野を特に注視して、イノベーション交流を進めていく。地震や洪水、津波などの災害対策強化や、また世界が直面している気候変動を乗り越えていきたい。防衛技術や防衛装備の点でもさらなるテクノロジーでの連携強化により、平和と安定、繁栄を実現できるのではないか」
大使館に中小支援組織
—日本の中堅・中小やスタートアップがインド市場で活躍するための支援の状況は。
「大使館内に2年前から中小企業連携を実現していくための組織体を設立しており、さまざまな相談が寄せられている。日本の10万の企業にインドとのビジネスを検討していただきたいと考え、目標を達成するため、東京だけではなく地方も含めて47都道府県すべて訪問している。商工会議所、地方銀行など、地方にある中小企業にリーチするさまざまな関係者と懇談を重ねている。インドの成長の機会を逃さないでいただきたいということを今後も伝えていきたい」



