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第27回フルードパワー国際見本市 IFPEX2024(2024年9月)
3年おきに開催されるフルードパワー技術の専門展「第27回フルードパワー国際見本市 IFPEX2024」が9月18日から20日までの3日間、東京・有明の東京ビッグサイト東展示棟で開かれる。油圧・空気圧・水圧機器に関する最新製品・機器・技術が117社・団体、420小間の規模で披露される。主催は日本フルードパワー工業会と産経新聞社。開場時間は10時から17時まで。入場は無料(事前登録制)。
製造業支える基幹産業
ごあいさつ
日本フルードパワー工業会 会長 川瀬 正裕 氏
「第27回フルードパワー国際見本市 IFPEX2024」が9月18日から20日までの3日間、東京ビッグサイト東館で開催されます。1963年に第1回が開催されて以来、約60年の歴史を経て現在に至ります。今回は中国、台湾、ドイツなど国内外から117社・団体・研究室が参加され420小間の規模となっています。
今回のテーマは油空圧の圧力をもじって「圧いチカラ」です。このテーマはフルードパワーの物理的な力を示すだけでなく、我々業界の結集した力を見てもらうことでもあります。
その一つとして、油空圧合同企画「X24」があります。これは会員企業12社から若手技術者21名が集まり、基礎、既存、未来の3チームに分かれ、基礎技術の紹介から未来のフルードパワー像まで、それぞれのアイデアをパネルにまとめて展示紹介します。業界の将来に向かって若い力を見ていただく企画です。
さらに、日本フルードパワーシステム学会様の協力を得て、カレッジ研究発表コーナーでは各学校の研究成果物展示や、フルードパワーロボットの動態展示などがあります。未来社会における油空圧の新しい活用を示唆する展示となりますのでぜひご覧ください。
若い人たちにこの業界の良さを知ってもらうことも、IFPEX2024の大きな役割と考えています。そこで、今回初めてマイナビと協力した就活フェアを実施いたします。
単なる企業説明会ではなく、実際の製品を熱く語る説明員の方々を間近に見ることのできるハイブリット型の企画です。元気の良い若者たちにこの業界を認めていただき、この業界に入って来ていただけるチャンスと捉えています。
フルードパワー業界の新たな時代に向けて、フルードパワーシステムの最新技術や新製品などを、広く国内外関係者そして次世代を担う若い人たちに向けて発信していきます。
イノベーションのさらなる誘発が起こり、そしてビジネスチャンスの拡大、当業界の一層の発展になることを期待しています。ぜひ、多くの皆さま方にご来場いただきたく思っています。
最後になりますが、IFPEX2024の開催にあたり、文部科学省、経済産業省をはじめ、多くの団体、企業から後援と協賛をいただき、心より御礼申し上げます。
メッセージ
経済産業省 製造産業局 産業機械課長 須賀 千鶴 氏
「第27回フルードパワー国際見本市 IFPEX2024」が開催されますことを心よりお慶び申し上げます。
日本経済はこの数年の産業政策や産業界の皆さまの努力の成果もあり、長年続いたデフレ構造から新しい経済ステージへと移っていく、千載一遇のチャンスを迎えています。国内投資は2年前から拡大が続き、賃金も今年の賃上げ率は直近の集計で5・10%と昨年を大きく上回る33年ぶりの高水準となっています。今まさに「潮目の変化」が起きています。この「潮目の変化」を「投資も賃金も物価も伸びる成長型経済」につなげ、デフレ経済から脱却するためにはこれからが勝負です。
政府では昨年末に国内投資を強力に後押しするための「国内投資促進パッケージ」をとりまとめました。官も一歩前に出て、大規模・長期・計画的に取り組む「経済産業政策の新機軸」を強力に推し進めてまいります。
具体的には、国内投資の促進のため、社会課題解決分野での戦略投資を支援します。グリーントランスフォーメーション(GX)分野においては、成長志向型カーボンプライシング(炭素排出に価格付けを行う仕組み)や国内投資促進税制、GX経済移行債による各種投資促進策などを措置します。
また、デジタル変革(DX)や経済安全保障などでは、先端半導体の拠点整備や生成人工知能(AI)の基盤的な開発強化などに取り組みます。国内投資の拡大、イノベーション、所得向上の3つの好循環の「持続化」に向けて政策を総動員してまいります。
IFPEX2024は今年で27回目となり、第1回開催から約60年の歴史がある日本で唯一のフルードパワー技術・機器・システムの国際的な展示会です。今回展示されるフルードパワー機器は、自動車や航空機、産業機械、半導体製造装置をはじめとしたあらゆる工業製品に組み込まれる必要不可欠な機械装置であり、わが国のGX・DX推進や産業競争力強化の基盤となるものと認識しております。これまでのフルードパワー業界の皆さまの取り組みに敬意を表します。
同展示会を通じて、最新のフルードパワー機器が自動化や省人化、生産性改善に加え、環境面においても大きな効果をもたらすことを期待しています。そして、その可能性を世界中のユーザーへ広く発信いただければと思います。新たなビジネスチャンスを生み出す場になることを祈念しております。
“未来”開く若き技術者の成果展示
フルードパワーは流体のエネルギーを利用して機械や装置を動かす駆動方式で、製造業を支える基盤産業として活用されている。駆動システムは流体の種類によって「空気圧」「油圧」「水圧」に分けられる。
空圧システムは半導体・自動車・食品などの工場で、組み立て・搬送ラインの省力化・自動化を担う。対象物をつかむ、吸い付ける、移動・回転させるなどが基本動作となり、コストが安いのが特徴だ。モノをつかんで別の場所に運ぶといった単純な装置に使われる。
動く速度を変化させるなど複雑な動きの場合は電動を使うほかないが、制御が難しく価格も高価になる。このため使用環境や予算などニーズによって空圧と電動を組み合わせ、最適な設備を構成することが重要だ。今後、医療や介護分野などでの幅広い展開が期待されている。
油圧システムは建設機械車両やプレス機械などの大きな動力を必要とする機械で使用されている。油に圧縮性があるため振動やショックを吸収しやすく、油圧式シリンダーは電動に比べて摩耗などが起きにくい特徴がある。
電動駆動技術の進化によって、産業分野の一部では油圧システムが電動駆動に代わられているところもある。このため電動の利点を生かすための油圧と電気のハイブリッド化も進んでいる。ただ、中・大型の射出成形機やプレス機などでは出力が高い油圧が主で、建機などでも油圧が主流となっている。
油圧、空気圧、電動に次ぐ第4の駆動方式として、省エネルギーや環境対策の観点から新水圧システム「アクア・ドライブ・システム(ADS)」が注目されている。水道水を使用するため衛生的であり、安全な環境づくりが可能だ。食品機械、医療・福祉・介護、防災・レスキューの分野で実用化が進んでいる。
低パワー領域に使われる空圧と、中・高パワーで使われる油圧に対し、水圧は低パワーから中パワーまでと領域が広く、それぞれの強みを生かして展開されている。
見どころ
IFPEX2024は「圧いチカラ」をテーマに実施し、シリンダーや圧力・流量・方向制御弁など油圧・空気圧・水圧機器、センサー類や電気・電子制御機器など関連機器、ロボットや搬送機器類などの応用機器、シミュレーションソフトなどが集結する。産業で使われている歴史の長い油圧機器・ユニット・システムは、産業機械用から産業車両、建機など幅広く展開され、信頼性の高い製品がそろう。
油空圧合同企画「X24」では会員企業12社から若手技術者21名が集まり、基礎、既存、未来の3チームに分かれてフルードパワーに関するそれぞれのアイデアを展示する。業界の未来を切り開く若き技術者たちが結集したプロジェクトの成果をパネルで紹介する。
「水圧テーマコーナー」では「水が機械を動かす!」をテーマにADSを紹介する。ADSは「食の安全・身の安全・街の安全・国の安全」に寄与できるクリーンなシステム技術で、すでに実用化も進んでおり、今後の可能性に期待が高まっている。
「フルードパワーロボット技術ゾーン」では油圧・空気圧・水圧を活用したロボットや製品を展示するコーナーを設置し、ヒューマノイドロボットや水圧ロボットなどを紹介する。
「カレッジ研究発表コーナー」では油空圧技術関連専攻の大学・高専・研究室が最新の研究結果を展示する。
18日には学生への認知拡大の観点から、IFPEX初の試みとして「マイナビ就活フェア」を実施する。
講演セミナー
会期中はさまざまな講演やセミナーが行われる。18日11時からの基調講演では、製造業を巡る現状と課題について経済産業省製造産業局の須賀千鶴産業機械課長が講演する。同日13時からはモノづくり系YouTuber(ユーチューバー)のものづくり太郎さんがフルードパワーの可能性について講演する。
19日の出展社ワークショップでは、カヤバが「ゆめある あしたを、つくろう。カヤバの挑戦」と題して油状態診断システムや油漏れ検知シリンダーなどの状態監視機器を、SMCがエア漏れ可視化技術を紹介する。
19日と20日の「フルードパワーを活用したロボットセミナー」では、産学連携によるロボット開発事例や低コストにこだわった空気圧制御機器の開発、フルードパワーによるさまざまなソフトロボットとその将来性について各講師が講演する。
また併催事業として月刊「油空圧技術」主催の特別技術セミナーも全日行われる。日時によってテーマや講演者が異なり、会議棟101室で行われる。1日間受講料は1万1000円(税込み)、3日間受講料は2万2000円(同)となっている。