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金融機関トップが語る 地元中小企業支援の取り組み
常陽銀行/人材の確保や育成を支援
茨城県経済は、物価高などの影響を受けつつも、持ち直している。ただし、物価高、為替変動が企業や家計にもたらす影響、さらに海外経済減速の影響に引き続き注視する必要がある。
こうした中、ゼロゼロ融資の返済開始、物価上昇、人手不足などにより影響を受けているお客さまとの対話を重ねることで、資金繰り支援の強化をはじめ、仕入れ先や販路の拡大、経営の効率化、事業転換・事業承継支援など、幅広いサポートを実施している。
多くの企業で人材の確保や育成が課題となる中、当行ではさまざまな角度からのデジタル化による生産性向上や、業務効率化を支援しているほか、専門家や技術者などの高度人材を紹介している。また人材の確保や定着に向け提供している福利厚生代行サービスでは、地域の商品・サービスと結びついたコンテンツ提供により、企業に勤める従業員とコンテンツ提携企業を結び付ける地産地消型のビジネス拡大にも貢献していく。
SDGsの取り組みでは、CO2排出量の把握や削減計画の策定支援等に加え、当行自らも脱炭素化に取り組んでおり、引き続き地域の皆さまとともに脱炭素化を推進していく。当行は、持続可能な地域社会の実現に向けて地域の皆さまの課題に寄り添い、ともにあゆみ解決することで、新たな価値を創り続けていく。
筑波銀行/地元中小の「本業支援」に全力で取り組む
茨城県経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の全面解除に伴い、商業施設や観光地への人流が活発化し、旅行需要の増加や宿泊・飲食などの個人消費が回復するとともに、半導体などの供給制約が一部緩和されたことにより新車登録台数が前年を上回るなど、サービス業および製造業ともに持ち直しの動きが続いている。
一方、地元中小企業を取り巻く環境は、資源高による生産コスト上昇や慢性的な人手不足に加え、「ゼロゼロ融資」などコロナ関連融資の返済が本格的に開始されたことから、多くの事業者にとって厳しい経営環境にあると捉えている。
こうした中で当行は、地域経済を支える地域金融機関の責務として、地元中小企業への支援が従来以上に必要であるとの認識のもと、リファイナンスプランによる資金繰り支援や商談会による販路拡大支援、M&Aによる事業承継などの「本業支援」にグループ一体となって積極的に取り組んでいる。
来春は「第5次中期経営計画」が最終期(3期目)に入る。地元中小企業の徹底的な支援をはじめSDGsの取り組みを通した社会的課題の解決、 DXへの対応、人的資本経営の実現などの諸施策を推進することで、計画に掲げる「サステナブル経営への転換」を目指すとともに、豊かで持続的な社会づくりに貢献してまいりたい。
茨城県信用組合/ゼロゼロ融資全利用先を訪問 新規や借り換えを提案
茨城県経済は、コロナ禍が収束に向かう中で宿泊・飲食サービス等の消費が持ち直しており、海外経済の情勢が不安定であるものの、基調としては緩やかに回復している。一方、物価高騰によるコスト増が企業収益や家計を圧迫しているほか、ゼロゼロ融資の返済本格化と利子補給の終了、人手不足とそれに伴う人件費の増加など、中小・小規模事業者を取り巻く環境は厳しい状況が続いている。
このような中、当組合は第10次中期経営計画に基づき、「笑顔と活力のある地域社会を お客さまと共に創る金融機関」を目指し、お取引先の皆さまの資金繰り支援や本業支援に取り組んでいる。
特に、資金繰り支援に関しては、全てのゼロゼロ融資利用先を訪問し、経営状況を確認した上で、新規融資・借り換え提案などを実施している。
また、本業支援に関しては、JR東日本と連携した販路拡大の取り組みに力を入れており、商談会や産直市への出展を支援している。実際に、JR関連の高級スーパー等に商品として採用されている。
そのほか、フードドライブなどSDGsに関する活動にも積極的に取り組んでおり、金融分野以外での課題解決にも貢献していきたいと考えている。地域の皆さまと一体となり、地域経済に活力をもたらすことができるよう、役職員一丸となって尽力してまいりたい。
水戸信用金庫/県内経済活性化に向けて創業支援に注力
茨城県経済は、エネルギーや食料品、耐久財などの物価上昇の影響が大きいものの、価格転嫁や賃金の上昇によってある程度の下支えができていることから、経済活動の正常化が進み、緩やかに回復していると見ている。
当金庫では、お客さまとの「対話」を通して事業に関するさまざまな課題を共有し、課題に応じて、全国254金庫の信用金庫ネットワーク等を活用した「販路拡大・販促情報支援」や補助金の情報および申請をサポートする「補助金申請支援」、外部専門機関等を活用した「経営改善支援」、「事業承継・M&A支援」等のサービスを提供し、事業の成長から次世代への事業承継までサポートしている。
そのような取り組みのなかでも、県内経済の活性化に向けて力を入れているのが「創業支援」である。
創業は、 地域にとって経済を活性化し、雇用を生み出し、新たなイノベーションや地域が抱える問題解決の糸口となる可能性を秘めており、当金庫では日本政策金融公庫や商工会議所等と連携し、勉強会やセミナーの共催、個別相談会等を行ってきたほか、インキュベーションオフィス「夢プラザ」を運営し創業を支援している。
今後もお客さまにとってもっとも身近な金融機関として、お客さま一人ひとりに寄り添い、地域経済の発展に貢献してまいりたい。
結城信用金庫/将来見据え モニタリング活動を強化
茨城県西地域を主なエリアとする当金庫の景気動向調査では、6―9月期の全業種の景気判断DIはマイナス16・5と、前回調査に比べ0・5ポイント上昇し、景況感はわずかに良化した。
しかしながら、原材料高や売り上げの停滞、人手不足感を抱えている状況にあり、今後の景気回復ペースは緩慢な状況が続くと予想される。
また、ゼロゼロ融資の返済が本格化する中、当金庫は、地域・お客さま支援を重要課題として位置づけ、顧客訪問モニタリングを強化している。お客さまと直接接することで見えてくる現状・経営課題を共有することで、早めの支援に取り組んでいる。資金繰り支援に限らず、外部専門家を活用し、将来を見据えた事業承継の相談支援を行っている。
今後も全国254の信用金庫業界ネットワークを活用しながら、地域を超えて事業承継支援に取り組み、事業基盤強化を加速させていく。
当金庫の経営方針は「小口先数主義」である。小口先数主義とは、お客さまとの接点から信頼関係を築き、蓄積した定性情報から、課題解決に取り組むものである。
今後とも、地域金融機関として「地元とともに心はひとつ」の精神を忘れることなく、一人ひとりのお客さまとしっかり向き合い、地域社会の発展を目指していく。
商工組合中央金庫 水戸支店/県内企業の採用環境を分析しお客様へ提案
県経済は物価上昇の影響を受けつつも緩やかに回復している。一方、人手不足が続き、業績に与える影響が大きいとの声も多い。商工中金は人材戦略支援として、従業員の幸福度を可視化する「幸せデザインサーベイ」という独自サービスや外部提携機関を活用し、人材確保・定着のお手伝いをしている。
当金庫自身も人的資本経営を掲げ、人財育成、リスキリング、キャリアサポートなどの人財投資を積極的に行っている。
当支店独自の取り組みとして、新入社員が毎年、地元企業の課題を調査し、解決策を提案している。昨年は茨城大学産学官連携機構の相馬憲一特命教授や鈴木裕宣連携コーディネーターのサポートを得て「日立製作所と協力企業の変遷」というレポートを作成、協力企業に対する本業支援策をとりまとめた。
今年も茨城大学の全学教育機構キャリアセンター小磯重隆准教授や、茨城いすゞ自動車 (水戸市)の人材紹介事業部門であるCRANカンパニーの三上陽香氏と同社採用担当である野村拓真氏のサポートを得て、続編として「自立化のための人材採用戦略」を作成した。完成したレポートは、SNSの活用をはじめZ世代の価値観が十分に反映されており、お客さまに新たな視点を提供できたと考えている。職員には金融という枠組みにとらわれず主体的・自律的に新たなことに挑戦してほしいと思っている。
日本政策金融公庫 水戸支店/ネットを活用した情報提供にも注力
日本公庫が実施している全国小企業月次動向調査によれば、コロナ禍での落ち込みから持ち直しの動きがみられ、足元でも安定して推移している。インバウンド需要の回復や人の動きが活性化したことにより、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている企業は着実に少なくなってきていると言える。しかしながら、物価・原材料高や人手不足など、事業者を取り巻く環境は依然として厳しい状況にある。
当庫としては、コロナ関連融資の元金返済が開始する中、事業者の皆さまからのご融資、条件変更などのご相談に対し、民間金融機関とも連携しながら、引き続き資金繰り支援や本業支援にきめ細やかに対応していく。
あわせて、スタートアップなどの創業・新事業や、事業承継、海外展開、農林水産業の新たな展開など、成長分野等への支援にも力を注いでいく。
デジタル化・ DXの取り組みについては、新たな情報提供ツールとして、経営に役立つ情報をお届けする「LINE公式アカウント」や、経営のプラスになる情報を案内する特設サイト「日本公庫事業者Support Plus」を開設しており、インターネットを活用した情報提供にも力を入れていく。
当庫は全国152支店のネットワークを活用し、また地域の関係機関とも連携しながら、事業者支援や地域の課題解決に全力で取り組んでいく。
JAバンク 茨城県信連/大胆な改革に向けグループで議論を強化
アフターコロナと言える状態になっても、異常気象による被害や鳥インフルエンザ、紛争や世界の人口爆発による穀物不足、農業資材の高騰と、農家は資金的にもメンタル的にも厳しい状況に置かれている。さらに超高齢化が茨城農業にも待ったなしの状態を突きつけており、大胆な改革が必要である。
この状況で、まず取り組むべきは目先の支援である。政府、地方自治体からの交付金等については、支給までの資金繰り対策として『JA交付金等つなぎ資金』を設立し、スピーディーに展開している。また原油価格・農家仕事価格等高騰の影響を受けた組合員には『ウクライナ情勢に伴う原油価格・物価高騰等対策資金』を創設し、こちらもスピード優先で支援を進めている。
しかしながら従来の施策には限界もあり、大胆な打開策を打つべきタイミングである。JAグループ茨城全体でその検討と議論を強化し、実行していく。
キーとなるのは『食料安全保障』と『みどりの食料システム戦略』だ。グローバル化により世界から調達できるものは自国で作らないといった時代は終わり、世界は一気に狭まった。食料自給率38%の現実に対して農地活用が動き出す。また『みどりの食料システム戦略』によって、より地球環境に寄り添う農業が必須となる。この大きな転換期をJAグループ茨城一体となり、推進していく所存である。