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兵庫県三木地区
兵庫県三木市は古い歴史と自然に恵まれた地域で、金物生産を主な産業として栄えてきた“金物のまち”として全国的なブランド力を誇る。また、ゴルフ場も数多く、酒米「山田錦」の一大産地としても名が知れ渡る。市では歴史に培われた金物技術のPRと、自然に恵まれた地域資源の活用など、さらなる活性化に取り組んでいる。
全国有数“金物のまち”
新産業創造拠点を形成
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プロ仕様の大工道具まで評価は幅広い
三木市は兵庫県の中南部に位置する。隣接する神戸市北区との市境には「人、もの、情報が交流する魅力ある都市の創造」をコンセプトに県が整備した「ひょうご情報公園都市」があり、モノづくり関連だけでなく情報関連や流通関連など多様な企業が集積する新産業創造拠点が形成されている。
三木市のモノづくりをけん引するのは金物生産で、三木金物は全国的な評価とシェアが高い。金物生産発展の歴史は戦国時代にまでさかのぼる。天正時代の「三木合戦」によって荒廃した町は豊臣秀吉の復興策に伴い大工道具の需要が高まり、全国から腕のよい鍛冶職人が集められた。そして徐々に商工業化が拡大し、現在の金物産業の礎が築かれた。その伝統技術は今も受け継がれ磨き上げられており、三木金物はDIY向けからプロ仕様まで幅広い製品で高い品質を誇っている。
原材料高・人材不足 課題解決が不可欠
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三木市役所の正面玄関では三木金物が展示・PRされている
こうした品質への評価により、2020年から始まったとされる“コロナ禍”の中にあっても、ステイホームなど巣ごもり需要によるDIY向けや、園芸向けなどの出荷は国内外を問わず大きく落ち込むことはなかった。
三木商工会議所がまとめた「産地景気動向調査集計結果報告書」によると、24年1月から12月の三木金物輸出額は約47億4400万円で前年比97%。
金物製品以外の商品を含む総輸出額でも前年比97%と若干のマイナスはあったものの、ほぼ横ばいで推移している。
国内景気については一部に足踏みが残るものの緩やかな回復が見られ、加えて雇用・所得環境の改善も進む中、行政の各種政策の効果もあって回復・改善の動きの継続が期待されている。一方、欧米における高い金利水準の継続や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが国内景気を押し下げるリスクもあり、地域の事業者には慎重な見方もある。当面の課題としては“原材料高”と“人材不足”を挙げる企業が多く、三木市においてもこういった課題の解決が不可欠となっている。
伝統工芸・産地の魅力発信
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2025年大阪・関西万博で展示される三木金物「金物鷲」
このような中、市では内閣府が推進する「SDGs未来都市」の選定を23年に受け、行政や議会、企業・団体、市民の協働によるまちづくりを推進している。地域の魅力を高め人を呼び込み、自立的に発展できる持続可能な社会の構築に取り組んでいる。
24年度から28年度までの5年間で「第3次三木市中小企業振興のためのアクションプラン」を推進し、人手不足・事業承継への対応や中小企業の経営力強化、市内の市場の拡大を基本方針とする多様な施策を展開している。
中でも三木金物のブランディング推進に向けては、三木金物約3000点から造形される「金物鷲」や、越前打刃物約3000丁から造られた「昇龍」を福井県越前市と合同で2025年大阪・関西万博で合同出展する。世界に向けて三木金物と越前打刃物の伝統工芸品としての魅力と産地の魅力を発信し、知名度向上や周遊観光、インバウンドの獲得を図る考えだ。