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住宅産業(2023年10月)
ハウスメーカーの新製品・新技術 ―ライフスタイルに合わせ提案
住宅へのニーズは省エネルギー性、高い耐震性・耐久性、快適な生活環境、ワークスペースの確保など多種多様である。ハウスメーカー各社はそうしたニーズに応えるべく、最新技術を盛り込んだ住宅を提供している。
積水ハウス 感性に響くデザインで愛着深まる
積水ハウスはデザイン提案システム「ライフニットデザイン」を開発した。ソフトとハードの融合により実現した安全・安心・快適で良質なストックに、顧客の感性に響くデザインを提供する。住まいに愛着がわき、大切に長く住み継がれることを目指す。
インテリアは従来のはやりすたりの激しい「和」「洋」などのテイスト提案から脱却。空間の色や素材、カタチなどから受ける印象を言語化し導き出した独自の「六つの感性フィールド」に基づき、顧客の感性を探る。全国で展開する「ライフニットアトリエ」を活用して的確な提案を行う。エクステリアもテイスト提案から、街並みや緑との調和を重視した提案に見直した。今年春には「ライフニットデザイン」を体現する一例としてミナペルホネンとコラボレーションした「駒沢シャーウッド展示場HUE」をオープンした。
旭化成ホームズ 広がる空間演出/全館空調
旭化成ホームズは2階建て邸宅専用の重鉄制震・デュアルテックラーメン構造ラティウスシリーズの新商品「ラティウス ジーアール」を発売した。年間で300棟の受注を目指す。
同社は陸屋根モデルを中心に展開してきたが、同商品は重鉄と屋根を掛け合わせ、深い軒と大屋根が創り出す重厚感と高級感のあるダイナミックな外観に仕上げた。
1階階高アップや2階ロフティルーフで創る大空間は、縦横ともに伸びやかに広がる空間を演出した。またロングライフ全館空調の導入で「健康」「快適」「美観」「経済性」を叶える上質な空気環境を実現しつつ、ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)基準にも標準で対応する仕様とした。さらに生物多様性を保全する独自の外構計画「まちもり」提案と合わせ、自然と共生した快適な住まいを提供する。
住友林業 自由な屋根裏空間の平屋住宅
住友林業は10月1日、注文住宅の平屋商品「グランドライフ」をリニューアルした。
平屋は効率的な家事動線を取りやすいため、多忙な子育て世代やファミリー層から人気を集める。
グランドライフは同社独自のビッグフレーム構法により大間口・大空間を持ち、平屋の特性である高天井を備える。また同社オリジナルのウッドデッキで庭と室内との一体感を生み、屋外で過ごす時間を作り出す。
今回のリニューアルでは、人気の5樹種を生かした7色の木質内装を取り入れた。さらに1・5階建ての設計「プラスカイ」を、同商品に初めて盛り込んだ。大きな屋根裏空間を生かし、新築時は子ども部屋に、子どもが巣立ってからは趣味の部屋にするなど、ライフスタイルの変化に合わせて多目的に使える。年間3000棟の受注を目指す。
大和ハウス工業 図書館並みの静けさを実現
大和ハウス工業は今年4月に快適防音室・快適静音室の提案を始めた。同社は2006年から、室内の心地よい響きと外部への遮音を両立させた防音室を提案しており、これまでに約3000室提供している。
今回、同社が提案してきた防音室を「音の自由区」と名付け、防音仕様が異なる三つのグレードを用意した。快適防音室の「奏でる家+(プラス)」は室外に伝わる音を70デシベル減音し、ドラムやバンド演奏ができる。「奏でる家」は55デシベル減音し、ピアノやカラオケ、ホームシアターが楽しめる。いずれも独自に開発した音響アイテムにより、低音から高音まで美しい響きを奏でることができる。
快適静音室「やすらぐ家」は防音室で導入した防音設備などを用いて、図書館並みの静けさを実現した。テレワークや勉強部屋、寝室として活用できる。
ポラスグループ 永く使い続ける強靱な住宅
地震多発国である日本では、災害に強い住宅のニーズが増えている。ポラスグループのポラテック(埼玉県越谷市)は注文住宅ブランド「PO HAUS(ポウハウス)」で、「永く使い続ける住宅」を提案している。
激しい揺れに見舞われた際、住宅には変形によるダメージが蓄積していく。そこで変形を抑制し、自由な間取りを実現するために独自開発した技術が「ダブルモノコック構造」だ。地震の揺れを建物全体で受け止めて力を分散・吸収する「PO Design モノコック構造」を、「高靱性モルタル」で覆う。繰り返しの地震波を受けても損傷が少なく済み、安心して住み続けることができる。住宅展示場「体感すまいパーク朝霞」には、ダブルモノコック構造を活用したモデルハウスを設置。強靱ながら洗練されたデザインとなっている。
積水化学工業 高い自給自足率―省エネ住宅
積水化学工業は大容量の太陽光発電(PV)と蓄電池を搭載し、高いエネルギー自給自足率を実現する「グリーンモデル」シリーズの展開を加速する。2020年の発売以降、累積引渡は4000棟を突破。これによる居住時のCO2削減効果は年間約1・6万トン(杉116万本の植林効果に相当)と見込む。
今年10月に発売した同シリーズ初の多雪エリア商品「スマートパワーステーションN―FX GREENMODEL―S」では、エネルギー管理システム(HEMS)が季節に応じて蓄電池の運転を自動で切り替える新機能を搭載。冬季は積雪で発電できない恐れがあるため、深夜電力を蓄電池にため突然の停電に備える。夏季はPV電力を活用しエネルギー自給自足率85%を実現する。同シリーズの普及により、レジリエンス・環境貢献・経済性を兼ね備えた先進の暮らしを広げていく。