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熱中症対策
今年の夏も暑くなりそうだ。気象庁は6月から8月は全国的に暖かい空気に覆われやすく、気温が高くなるとの予報を発表した 。猛暑で心配なのが熱中症だ。近年では4月でも急に暑くなる日もあるため、対策が早すぎることはない。従業員の安全を守るため、早めの対策を徹底したい。
熱中症対策 待ったなし
2024年は各地で猛暑日の日数が過去最高を上回り、熱中症患者が増加した。消防庁の発表によると24年5月から9月にかけて熱中症による救急搬送者数は累計9万7578人で、08年の調査開始以降最多となった。道路工事現場、工場、作業所などからも9870人が搬送され、死亡者も出ている。そのため作業者を熱中症から守ることは、企業にとって喫緊の課題だ。
熱中症対策で重要なのは、作業環境の暑さ対策。その指標となるのが暑さ指標(WBGT)で、気温・湿度・風速・輻射(放射)熱から算出される。作業や運動の度合いに応じたWBGTの基準値があり、それに応じて通風や冷房設備、ミストシャワーなどの散水設備で対策できる。
涼しさ—「風」ポイント
熱中症対策のポイントは温度だけではない。汗が蒸発するときに周囲の熱を吸収する気化熱の作用で人の体感温度が下がる。風はその作用を促進するため、熱中症予防の要といえる。
製造業では工場の構造上の問題から、冷房しても冷風が届かず部分的に高温になってしまう場所が多い。また機械設備も熱を発することがあるため、ますます高温になり作業者が熱中症のリスクにさらされる可能性がある。このような問題の改善のため、大型の扇風機やスポットクーラーなどで対策をしている工場も見られるが、風の流れが一定なので、作業者の位置や動きと風の向きが合わず効果が限られる場合もある。
人を追いかける空調の効果
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フォロアス(使用イメージ)。人の動きに追従して風を送るため給気の無駄を減らし、快適性も維持できる
こうした課題を解決するため、大気社は「FOLLOAS(フォロアス)」を開発。「人を追いかけて風をとどける吹出口」をコンセプトに、新たな暑熱対策の提案として展開している。
フォロアスのノズル先端には人の頭部を認識するカメラが搭載されており、自動的に対象にノズルが追従して送風する。同社グリーン機器事務所の中村学営業部長は「人はドラフト(空気の流れ)で涼しさを感じる。常に作業者に風が当たるようにしたのがフォロアスの特徴。一番の目的は工場の暑熱対策であり、作業者に快適に働いてもらうためにも不可欠だ」と強調する。
特に有効なのは全体空調が難しい場所で、自動車や各種部品の組み立てラインのような、大空間に人が点在する工場などでの使用を想定している。1台で送風できる範囲はノズルを中心に直径5メートル程度。複数台の使用で作業者全員の快適性と安全が保てる。人の動きに追従して送風するため、エネルギーロスも少ない。同社によると、従来のスポット空調と比べ吹き出し口を減らすことでエネルギー使用量を約25%削減できたという。フォロアス本体はユニット化されているため設置工事もシンプルだ。設置場所がフォロアスの設置条件に適合すればすぐに設置することができ、短工期で済む。
熱中症対策 職場の安全直結
職場において何よりも優先すべきは作業者の安全だ。その副次的効果として、職場の快適性を高めることは従業員の満足度の向上につながり、離職防止の効果も期待できる。水分や塩分の補給、適度な休憩や声かけといった基本的な対策はもちろんのこと、空調設備も含めさまざまな対策を検討したい。