-
業種・地域から探す
工業用ヒーター
電気エネルギーを熱エネルギーに変換して利用する工業用ヒーターは脱炭素社会を実現する一手として、製造現場で導入が進む加熱機器だ。①温度を自在にコントロールできる②エネルギー効率が高い③発熱時にガスや塵などが発生しない―などの特徴から、高品質でクリーンな加熱を実現する。産業用電熱技術の普及と発展を目指す日本エレクトロヒートセンターでは、毎年シンポジウムを開催して、最新技術動向などの普及に務めている。
電気加熱―製造現場の効率向上/温度―緻密な設定・制御
脱炭素社会へ加速
産業活動において用いられる加熱方式は、石油や石炭、ガスなどの化石燃料を燃焼して熱利用する方法や、ボイラで製造する蒸気を利用する方法が主流だった。しかし、化石燃料への依存は大気汚染だけでなく、二酸化炭素(CO2)排出による地球温暖化の原因となり、脱炭素化社会を進める中で課題となっている。
そのような中で、熱源に電気を使用する電気加熱に注目が集まる。燃料を必要とせずに熱を供給するため、環境にも優しい選択肢として採用が進む。
電気加熱には抵抗加熱、アーク・プラズマ加熱、誘導加熱、誘電加熱、赤外加熱、電子ビーム加熱やレーザー加熱が挙げられる。またヒートポンプを使った加熱方法も加わり、工業プロセスや製造業において広く利用されている。
電気加熱の特徴として①被加熱部分を直接加熱するため、エネルギー消費量を削減でき加熱効率が高いこと②局所加熱に適していること③被加熱部分を短時間で加熱できること④不活化ガスや真空状態での加熱が可能であること⑤高温加熱に優れていること⑥細かい温度調整ができること⑦炉体と蓄熱量を小さくできること⑧廃熱や水蒸気、汚染物質の発生を抑えたクリーンな作業環境を構築できること―など、優れた特性がある。
これらの特徴を踏まえ、電気加熱は溶接や溶解、溶着、熱処理、焼成、接着、乾燥、殺菌、調理などのさまざまな工程で用いられている。利用環境や条件によって緻密な温度設定や迅速な温度制御が可能であり、製造現場における効率性を向上させている。大幅な省エネ化と作業環境の改善、作業時間の短縮を図れるなど、製造業における持続可能な生産プロセスの実現に貢献する電気加熱の採用が、今後一層加速する。
日本エレクトロヒートセンター/シンポジウム 毎年11月に開催
研究開発・情報交換
日本エレクトロヒートセンターは国内外の産業用電熱技術の普及と発展を目指す団体。産業界や学術界、関連団体などと連携し、エレクトロヒート技術の研究開発や情報交換を促進し、技術の向上と産業の発展に貢献している。
産業界のニーズに応えつつ、エネルギー効率の向上や環境負荷の低減など、持続可能な技術の普及にも力を入れている。毎年11月にシンポジウムを開催しており、キーパーソンの登壇をはじめ、業界における課題や技術動向を広く紹介。最新情報を求めて多くの聴講者でにぎわう。