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グレーチング
グレーチングは、道路の側溝や集水ますなどにかぶせる格子状のふた。歩道や公園、工場などさまざまな場所に設置され、人や車両の落下を防ぎ、通行を可能にする。注目する機会は少ないが、安全な暮らしを支える重要な製品だ。近年では安全性と景観を兼ね備えた目の細かい製品が主流となり、ウォーカブルな街づくりを支えている。また建設業界の人材不足に対応するため、簡単に設置でき、施工期間を短縮できる製品の開発も進んでいる。足元から暮らしに貢献するグレーチングは、日々新製品の開発が進んでいる。
デザインと機能兼ね備えた製品に需要 目詰まり防ぐ構造
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幅28ミリメートルで目立たない設計(提供:カネソウ)
グレーチングは道路の側溝や橋梁(きょうりょう)に溝ぶたとして設置される。水害から街を守りつつ、人や車の安全な通行を可能にする役割を担っている。鋼製で網目状の構造をしたものが一般的で、設置される環境により網目の幅や素材、色などさまざまな種類が存在する。例えば沿岸部や水産工場など塩害が発生しやすい環境や、融雪剤を用いる地域では、JIS規格に基づく溶融亜鉛アルミニウム合金メッキを施して耐食性を高めた製品もニーズがある。また医薬品工場などでは、樹脂製のグレーチングを使用するケースもある。
市街地に設置するグレーチングとしては、従来は「並目」と呼ばれる幅3センチメートル程度の網目のものが一般的。しかし歩行者の多い都市部ではハイヒールやつえがはまったり、ベビーカーや車いすの車輪が落下したりする危険性があった。こうした事故を防止する観点から、現在では街なかを中心に網目の幅が狭い「細目」のグレーチングの設置が主流になっている。また、溝ぶたが目立ちにくいスリット状の製品も多い。こうした製品は景観に溶け込みやすく、洗練された空間づくりに役立つとして人気を集めている。
2004年に国土交通省が都市再生整備計画事業(旧まちづくり交付金)を創設して以来、全国で歩行者が歩きやすい街づくりが意識されている。さらに近年では東京オリンピックや25年の大阪万博に合わせて大都市圏でも再開発が活発化。今後も都市環境デザインを重視した開発が続いていくと見られる。こうしたニーズに合わせ、グレーチングメーカー各社は路面と同じ表面材を充填したものや、表面に滑り止めを兼ねた模様を施したものなど、工夫を凝らした製品を開発している。
しかし、街中では細目のグレーチングに小石や落ち葉などが挟まってしまい、排水の妨げになっている様子も見受けられる。グレーチングメーカーによると、特に隙間の幅が6ミリメートル以下の製品では安全性や落ち葉などのゴミの侵入防止の効果が期待できるという。
例えば建物のエントランスなど人の往来が多い場所の設置に適した製品として、目詰まりがしにくいよう隙間を2・5ミリメートルまで狭めた製品も開発されている。ゴミが隙間に侵入しにくく、ふたの上で留まりやすい。一方で排水性を保つため、T字状の部材を用いて上面の面積を広く取りつつ、内部は水が通りやすい構造にしたり、底部にV字状の溝を作ることで効率的な排水を促したりという工夫も必要だという。
メーカー各社はデザインと機能性、どちらも追及した製品の開発を続けている。
建築業界の人手不足に対応
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ボルトで連結して設置する(提供:カネソウ)
さまざまな業界で人手不足や熟練者不足が危惧されており、建設業界でもその傾向は顕著だ。24年4月からこれまで猶予期間だった事業者にも労働外時間の上限規制が適用され、建設業にとっても大きな課題となっている。工期が延びればその分人件費が増え、費用も増大する。道路などの公共物では費用は税金で賄われるため、工期を大きく延ばすことは困難。ますますの工期短縮が求められる。
しかし、グレーチング設置の際に現場でコンクリート側溝を形成するための木型職人が不足しており、従来の設置方法では工期短縮は不可能な状態だ。施工の簡略化による工期短縮や省人化が必要とされている。
こうした中、注目を集めているのが受枠一体型の鋼製自由勾配側溝とグレーチングぶたが一体となった製品だ。水路となるコの字形の受枠を基礎に直接固定する製品が一般的で、側溝形成と受枠の設置が不要となり工期を大幅に短縮できる。経験の浅い人材でも、簡単に設置できるのも魅力のひとつだ。さらにグレーチングぶたを受枠にボルトで固定することにより、車両通行時にがたついて騒音を立てたり、跳ね上がる心配もない。各メーカーが設置場所に合わせた製品の開発を進めている。
建物出入口部や、エレベーター・エスカレーターなどへの設置に適した製品もある。受枠一体型なのはもちろん、製品同士をボルトとナットで連結できるため、溶接が不要。現場で施工する手間を省いた。連結部にゴム製の止水パッキンを挟むことで水漏れを防止する。直線や直角などさまざまな形状の製品をそろえ、排水のレイアウトが自由に設計できる。
工期短縮する新工法
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左官工事のみで作業が完了する「無型枠工法製品」(提供:カネソウ)
さらにより工期短縮を可能にする新たな工法も生み出されている。「無型枠工法製品」は、型枠工事や受枠を取り付けるための鉄筋溶接工事が不要で、左官工事のみで作業が完了する。まず設置したい場所にアンカーを取り付けた受枠を設置。設置した受枠に厚さ6ミリメートルの繊維強化セメントボードを取り付け、モルタルで固定する。受枠を養生し、周囲にコンクリートを打設。溝の底面に防水塗装を施せば、溝の形成と同時に、ピットを覆うふたやグレーチングを乗せる受枠を設置することができるため、大幅な工期短縮が可能だ。
さらに同工法に使用する繊維強化セメントボードはコンクリート打設にも耐久可能な強度で、軽量なため工事現場での取り扱いも容易。ダイヤモンドカッターなどで簡単に切断できるので、作業者の負担軽減にもつながる。
人材不足への対応は今後もますます加速すると見られており、各メーカーが技術とアイデアを生かした製品開発を進めている。