-
業種・地域から探す
持続可能な地球―次世代へ継承
一番暑い夏…脱炭素加速
今年の夏は気象庁が1898年の統計開始以降、一番暑い夏となった。これは太平洋高気圧勢力が強く、北日本を中心に全国的に暖かい空気に覆われ、また南からも暖かい空気が流れ込みやすい状況が続いたことによる。5―9月における熱中症で救急搬送された人は全国で9万人を超えるなど、この夏の暑さは苛烈を極めた。
また、気温と同時に海水温も記録的な高温であり、台風の大型化や前線の停滞などで局地的豪雨による被害も発生した。
地球温暖化の原因と言われる温室効果ガス(GHG)。特に二酸化炭素(CO2)の排出には産業活動が大きく影響しているとの指摘もあり、各国・各企業が最新の技術開発・経営工夫によって脱炭素化への取り組みを加速させている。
国連が提唱する、2030年までに達成すべきとする「持続可能な開発目標(SDGs)」の13番目には「気候変動に具体的な対策を」という項目が盛り込まれている。GHG排出量増加、森林伐採や焼失などの森林破壊に端を発する地球温暖化をいかに抑えていくか。目標達成まで残り7年を切る中で、各人の取り組みが喫緊の課題となっている。
わが国は30年度までに13年度比46%のGHG削減を目標に掲げており、経済、社会、産業、そして消費者自らの大胆な行動変容とライフスタイルの変革が求められている。
環境大臣表彰、応募30件増
そのような中、環境省は気候変動対策推進の一環として、毎年「気候変動アクション環境大臣表彰」を行っている。気候変動の緩和(GHG排出抑制対策)や気候変動への適応(気候変動の影響による被害の回避・軽減対策)に関し、顕著な功績があった個人や団体(自治体や企業、学校などを含む)の功績をたたえて表彰する事業だ。「開発・製品化部門」「先進導入・積極実践部門」「普及・促進部門」の3部門を設けており、各部門のうち「緩和分野」として省エネ技術や新エネ技術、省エネ製品など、国内外のGHG排出を低減するような優れた技術開発・その製品化を進めた功績を取り上げている。また「適応分野」では農林水産、自然災害、水資源、自然生態系、健康などの各分野で気候変動の影響による国内外への被害を回避し、または低減するような優れた技術開発を進め、その製品化を後押しした功績を取り上げている(各部門により若干の内容変更あり)。
今年は応募件数が106件に上り、昨年より30件ほど増加した。その中から25件が各賞を受賞した。また他薦より自薦が8割を超える中で、「先進導入・積極実践部門」の「緩和分野」においては他薦が多い結果となった。
地球温暖化防止は国内だけの取り組みにとどまらず、他国との連携・地球規模での防止活動が重要だ。同表彰事業も、国外への技術・製品の普及の可能性も勘案し、国際貢献の一助となる活動なども選考対象としている。
地球環境はとりわけ次世代に大きな影響を及ぼす問題だ。産業・経済を担う各社がどのような努力を持って気候変動問題に取り組んでいくのか。その経営姿勢は常に若い世代から注目されているといえよう。