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地球温暖化防止に向けて
環境省は気候変動の緩和・適応に貢献した企業などを表彰する「気候変動アクション環境大臣表彰」事業を毎年行っており、12月5日に今年度の受賞者を表彰した。地球温暖化が深刻化する中、二酸化炭素(CO2)の排出量取引制度の義務化や、温室効果ガス(GHG)の「削減貢献量」の国際規格化など、温暖化防止に向けた新たな動きも見られる。環境問題は大人だけの問題ではなく、次世代への教育強化も進む。
気候変動アクション環境大臣表彰 29件受賞
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「令和7年度気候変動アクション環境大臣表彰」の表彰式が行われた(12月5日) -
気象庁によると、2025年夏(6—8月)の日本の平均気温の基準値(1991年—2020年の30年平均値)からの偏差はプラス2・36度Cで、1898年の統計開始以降、最も高い値となった。地球温暖化の原因とされるCO2などのGHGを減らすための取り組みが、社会全体で求められている。
環境省は気候変動対策推進の一環として、毎年「気候変動アクション環境大臣表彰」を行っている。同表彰は気候変動の緩和(GHG排出抑制対策)や、気候変動への適応(気候変動の影響による被害の回避・軽減対策)に関して、顕著な功績があった個人や企業、団体などをたたえる。
今年度の応募数は107件で、その中から「開発・製品化部門」7件、「先進導入・積極実践部門」11件、「普及・促進部門」11件の計29件が受賞した。そのうち各部門2件ずつの計6件は、特に著しい功績をあげた「気候変動アクション大賞」に輝いた。
開発・製品化部門の緩和分野で大賞をとったブラザー工業は、省スペース性を維持しつつ電気自動車(EV)部品の加工カバー率を大幅に向上させた、主軸30番のマシニングセンター(MC)を開発。加工時のCO2排出量削減と生産性向上を実現した。EV化が進む自動車業界の脱炭素化を支える技術開発として評価された。
また未来の気候変動アクションを担うユース層(大学生以下が主体となる団体など)が対象となる「気候変動アクション ユース・アワード」には1件が選ばれた。
削減貢献量—国際規格化/排出量取引制度—義務化
今年5月に改正グリーン・トランスフォーメーション(GX)推進法が可決され、26年度から排出量取引制度の運用が始まる。制度の対象はCO2の直接排出量が前年度までの3カ年度平均で10万トン以上の企業。政府が企業ごとに排出枠を無償で割り当て、CO2排出量が枠を超過した企業は、超えた分の枠を市場で調達することが義務づけられる。
日本における排出量取引制度は、産学官によるコンソーシアム「GXリーグ」により23年に始まった。CO2排出量の削減に積極的に取り組む企業が自主的に参加。各社が自ら削減目標を設定して進捗(しんちょく)を開示、目標達成に向けて取り組んできた。
また国際電気標準会議(IEC)により、削減貢献量が26年2月に「IEC63372」として国際規格化されることが決まった。削減貢献量はその技術や製品が使われることで、排出を避けられたと推定されるGHGの量。企業は削減貢献量を示すことで、自社製品・サービスの優位性をアピールできる。GXリーグは削減貢献量の規格化も後押ししてきた。
エコプロ開催/子どもたちが楽しく環境学ぶ
地球温暖化をはじめとした環境問題については、次世代への教育も熱心に行われている。
今月10日から12日までの3日間、「SDGs Week EXPO 2025」が東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。同イベントは5展示会で構成され、合計で6万人近くが来場した。
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生分解性素材で作られた巾着の製作キット。端切れはコンポストに入れて土に還せるため、「ゴミはゴミじゃない」という意識を自然と身につけられる
1番規模が大きい「エコプロ2025」(日本経済新聞社主催)は、複数の教育委員会や校長会など教育関連機関が後援・協力しており、多くの児童・生徒・学生も参加した。体験型ブースやワークショップが多数出展され、積極的に参加する姿が見られた。
愛知県立芸術大学美術学部デザイン専攻の春田登紀雄研究室は、共同研究を行う企業・大学とともに、同展に出展した。生分解性素材で作られたランドセルや傘、家庭科の授業などで使われる体験学習キットなどを展示。サーキュラーエコノミー(循環型経済)を楽しく学べる提案を行った。
