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ガスタービン・ガスエンジン
世界的な電力需要増大を背景に注目が高まっている発電用ガスタービン、ガスエンジン。将来的には生成AI(人工知能)の普及やデータセンター(DC)の建設増を背景に一層の需要拡大が見込まれる。各社は発電設備の提供を通じて社会インフラを支える。長期的な低・脱炭素化ニーズに対応するため、次世代燃料の水素・アンモニアを使用可能な製品の研究開発も進んでいる。
クリーンで高効率
ガスタービン/LNG北米伸長
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JAC形ガスタービン(三菱重工業)
近年、低・脱炭素化に向けたトランジションエネルギーとして液化天然ガス(LNG)の利用拡大が進む。世界的な人口増加などに伴う電力需要増に対応する必要があり、現実的な方策の一つとしてLNGを使用するガスタービンの需要が増えている。「JAC形ガスタービン」など幅広いラインアップを有する三菱重工業は北米を中心に受注を伸ばしており、世界シェアで首位の座を争う。
一方で長期的な低・脱炭素ニーズは変わらず、各社が得意とする分野・燃料を使用できる機器の開発を進めている。
三菱重工はガスタービンのマザー工場である高砂製作所(兵庫県高砂市)内の「高砂水素パーク」で水素利活用に向けた実証を行っている。2023年には水素30%混焼に成功した。水素混焼、専焼に必要な燃焼器などの要素部品開発を推進しており、将来的な需要の本格化に備える。
ガスエンジン/水素30%混焼 投入
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川崎重工業が世界で初めて発売した水素ガスエンジン
川崎重工業は水素サプライチェーン(供給網)全体の中の一つに発電用ガスエンジンを位置づけている。9月、世界に先駆けて水素30%(体積比)混焼が可能な発電設備用大型ガスエンジンを発売した。累計240台以上の納入実績がある「カワサキグリーンガスエンジン」をベースに開発したもので、将来的な水素利活用などエネルギー多様化・脱炭素化に対応できる。同製品の提供を通じて、水素燃料の社会実装を後押しする。
アンモニア活用の動きもある。IHIはアンモニアガスタービン開発に取り組んでいる。既に出力2メガワットのアンモニア専焼ガスタービンを開発済み。25年には、米GEベルノバと相生工場(兵庫県相生市)にアンモニアガスタービン開発向けの大型燃焼試験設備を新設。実機サイズの試験用燃焼器を用いたアンモニア燃料100%での燃焼試験を始めた。30年までにアンモニア燃料100%の新たなガスタービン燃焼器の実用化を目指している。
各社は中長期での社会実装本格化を見据えて、開発に取り組んでいる。徐々に社会実装事例も増えつつある。実績を重ねる中で知見も蓄積されつつあり、“技術Ready”の状態に近づいている。
