-
業種・地域から探す
鍛造技術
鍛造技術は金属をハンマーやプレスでたたいて、目的の形状に成形する塑性加工の一つ。余分な材料を使わず、少ない工程で強靱(きょうじん)な部品を生み出せる。複雑な形状の部品の大量生産に貢献している。鍛造品は主要な用途先である自動車業界をはじめ、さまざまな産業を支えている。一方で、製造業全体で人手不足は深刻化しており、鍛造業界でも技術者の確保・育成が重要な課題となっている。鍛造企業では、若手技術者の早期習得を目指し、技術の共有化に力を入れている。
米関税が影響
鍛圧機械、昨年受注低調
鍛造は機械部品の製造工程に欠かせない技術の一つ。鍛造技術で生み出された製品は自動車業界を中心に、航空機、船舶、農業・建設機械など幅広い分野で活躍している。
鍛造に関わる市場環境をみると、米国の関税政策により自動車関連が影響を受け、減少傾向が続いている。日本鍛圧機械工業会(日鍛工)がまとめた2025年(暦年)の鍛圧機械の受注実績は、前年比1・3%減の3384億9700万円と、3年連続で減少した。板金系機械、補修部品や金型を含むサービスは増加したものの、プレス系機械の減少が響いた。
機種別ではプレス系機械は同11・2%減の1193億3100万円と3年連続で減少。国内は同3・4%減、輸出は同20・7%減だった。内訳は小型プレスは同20・7%増、超大型プレスは同0・2%増だった。
板金系機械は同6・7%増の1227億2300万円と3年ぶりに増加。国内は同2・9%増、輸出は同13・5%増だった。内訳はパンチングが同12・0%増、プレスブレーキ・シャーリングが同12・3%増、レーザー・プラズマは同3・2%減となった。
板金系とプレス系の両機械の合計は同2・9%減の2420億5400万円と3年連続で減少した。うち国内は同0・2%減の1471億900万円。業種別では輸送用機器は同17・5%増、金属製品は同8・2%増と増えたが、鉄鋼・非鉄金属は同2・5%減、一般機械は同2・5%減だった。
輸出は同6・8%減の949億4400万円。地域別では中国向けが同42・2%増、韓国・台湾向けが同27・2%増と伸びた。一方、北米向けは同12・6%減、欧州向けは同18・4%減となっている。
熟練技術共有、早期習得へ
-
ハンマー鍛造での作業者の感覚を共有し、技術力の向上を図っている(大智鍛造所 提供)
鍛造の加工方法は型鍛造と自由鍛造に分けられる。型鍛造は目的とする製品の金型をつくり、これを元にプレスやハンマーで加圧し、成形する。寸法精度が高く、品質のバラつきが少ないといった強みがある。
自由鍛造は金型を使わず金敷と呼ばれる台に加熱した金属を載せ、ハンマーでさまざまな方向からたたき、断続的に変形させることで成形する。大きなものや任意のサイズの加工にも対応できる。
加工温度によっても、熱間鍛造、冷間鍛造、温間鍛造に大別される。熱間鍛造は高温で材料を加熱するため、変形抵抗が小さく、成形の自由度が高い。複雑で大きな部品の成形に適している。
冷間鍛造は金属を常温の状態で外力を加え成形する。熱間鍛造に比べて材料の変形抵抗が大きく、加工機械や工具に制約があるが、素材に熱を加える必要がないため、寸法精度が高いといったメリットがある。小さな部品の成形に適用されることが多い。温間鍛造は金属を常温より加熱することによって、熱間鍛造と冷間鍛造の両方の強みを兼ね備える。
一方、製造業全体で人手不足が深刻化しており、技術者の確保と育成は経営の重要課題の一つとなっている。鍛造業界においても例外ではなく、鍛造企業の中には、熟練技術の早期習得に向けた取り組みを進めている。
大智鍛造所はエアスタンプハンマーを使った熱間型打鍛造の技能継承のため、技術の共有化とデータの蓄積・活用に力を入れている。技術の共有化の取り組みでは、300種類以上ある金型に合わせて「金型診断書」を用意。鍛造後に作業者が打ちにくさなどの感覚を診断書に記録し、共有化している。また熟練技術者の鍛造作業している様子を撮影し、動画を若手技術者に共有している。熟練技術者の動きを可視化することで、比較・改善につなげている。
さらに、鍛造の作業現場をモニタリングし、機械の不具合による停止や、製品の不良発生時の映像をデータ化して蓄積している。映像記録を確認することで、不良率の低減などの改善に活用する。
エアスタンプハンマーを使った型打鍛造は、複雑な形状の加工に強みを持つ。ただ、技術者によって品質が左右されやすいといった側面がある。同社によると、ハンマーを使った熱間型打鍛造に関しては「製品の品質を担保するには3年から5年くらいはかかる」という。このため、同社はこれまで暗黙知になりやすい技術の可視化、共有化のための体制づくりに注力。若手技術者の技術の底上げを図ってきた。
顧客ニーズに細やかに応えるためにも、技術者の育成と技能継承がカギを握る。
「INTERMOLD2026」 来月15日から大阪で開幕
4月15日から17日までの3日間、インテックス大阪(大阪市住之江区)で、金型加工に関する展示会「INTERMOLD2026(第37回金型加工技術展)」が開催される。日本金型工業会とテレビ大阪が主催し、インターモールド振興会が運営する。金型の設計・製造や各種成形加工の最新技術、それを支える工具などが集結する。
来場は事前登録制(無料)。来場者証を持参しない場合は入場料3000円が必要。開催時間は10―17時。「金型展2026」「金属プレス加工技術展2026」と同時開催される。3展示会合わせて4万人の来場を見込む。
同3展示会は5月20日から22日まで、ポートメッセなごや(名古屋市港区)でも開かれる。
