-
業種・地域から探す
フィルム・シート・紙加工機(2023年12月)
フィルムやシート、紙の加工機は切り分けや貼り合わせ、液体の塗布、乾燥など各工程を通して活躍し、加工現場を支えている。加工された製品は、印刷業界をはじめ、食品、医療、エレクトロニクス分野など幅広く活用されている。加工対象物(ワーク)となる素材市場では、脱炭素社会に向けた取り組みから、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池(LiB)や太陽電池向けのフィルムの需要拡大が期待される。また環境に配慮した素材の開発が進む。これに伴い、加工機メーカーでは機能性フィルム用の成形機の開発に力を入れている。
品質の安定性を支える
フィルムやシート、紙加工機は、スリッターや塗工機、乾燥機などがあり、各工程に応じて役割を果たしている。加工機のニーズには、作業効率向上や品質の安定化などがある。特に品質の安定化は重要な課題の一つ。加工現場では、静電気による異物の付着や、フィルムの蛇行によるシワやたるみなど不良になりうる要因がある。これらの課題解消のため、メーカー各社は除電器や蛇行制御装置などを市場に展開し、生産現場の歩留まり向上をサポートしている。
一方で、用途先である素材市場では、環境に配慮した機能性フィルムの開発を進めている。素材メーカーの中には、EV用LiBのセパレーターフィルムや、太陽電池用フィルムの生産体制を強化している。またリサイクル可能なフィルムの開発も活発化している。
加工機メーカーでも環境ニーズに対応した製品を市場に投入している。メーカーの中には、試作・開発用に少量生産に対応した超小型Tダイ成形装置を展開している。また別のメーカーでは、電池部材のシート切断用の刃物を販売。独自の表面改質によってワークの切断面品質を向上する。こうした加工機メーカー各社の取り組みが製品の付加価値を高め、幅広い業界の競争力強化に貢献している。