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繊維スリング
繊維スリングは玉掛け作業を効率的に、かつ安全に行うためのツールだ。ワイヤロープやチェーンなどと比べて軽く柔らかいため扱いやすく、荷物を傷つけない特徴を生かして土木・建築や物流、製造業などの業界で活躍している。かさばらず収納・保管がしやすいため作業者の負担軽減に貢献する。原材料にナフサ由来の素材を使用する繊維スリングは、昨今の中東情勢の影響を受ける可能性がある。こうした中、メーカーは新規需要の開拓を見据えて生産能力の拡大を目指す。
付加価値高め市場広げる
スリングメーカーはユーザーニーズに応え多様な製品展開を行っており、その中でも高機能繊維を使用した付加価値の高い製品が注目されている。高機能繊維の特徴である高強度、耐薬品性、耐熱性、難燃性などを生かし、超重量物の運搬や高温・高熱作業に耐える製品を開発。幅広い用途に応えている。
中東情勢、原料に影響の可能性
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超重量物の運搬で活躍する繊維スリング(明大提供)
繊維スリングは一般的にポリエステルなどの合成繊維が使用されている。これらの材料はナフサを熱分解、あるいは改質することで生成される成分を原料として製造されている。繊維スリングの強みである軽さ、柔らかさ、扱いやすさと強度の両立は化学繊維を使用しているからこそ成り立つ。ただ、今後の中東情勢の変化に伴い、原材料調達や生産体制、価格転嫁などに影響が生じる恐れがある。メーカーの今後の動向が注目される。
新規開拓、生産増強目指す
最近の市場動向について、明大の小河原敏嗣社長は「前年度の繊維スリング業界の需要の動きは伸びている」と見る。「繊維スリングの認知が高まっていることや作業者の安全性の観点から、使用する産業が広がっている」(同)と分析する。また「繊維スリングの用途は幅が広く、洋上風力発電は新規分野として期待している」とともに「物流用途など多彩な川下まで市場の裾野が広がることで需要が見込める」と述べる。
今後、同社は生産増強を視野に入れる。生産体制を見直し、人員の配置や設備の効率化を目指す。
さらにコンドーテックの営業担当者は、労働力不足や作業者の高齢化が進んでいることから「作業効率や安全性の向上の観点から軽量で扱いやすい繊維スリングの切り替え需要が広がっている」と話す。大型構造物の輸送、据え付け案件の増加に伴う高強度・大容量タイプへのニーズも高まっているという。
また同担当者も洋上風力発電関連の需要に期待を寄せる。洋上風力発電設備は大型かつ重量物の荷役作業が多い。脱炭素社会の実現に向けた動きを受けて、今後も洋上風力関連設備の建設需要は継続的に増加する見込みと推測する。「大型物流設備の設立や老朽化したインフラの更新工事、生成AI(人工知能)ブームに伴う半導体工場建設などの需要拡大も期待する」(同)。
深刻な人手不足の中、作業者の負担軽減や安全性の向上に貢献する製品として繊維スリングの需要が広がっている。
メーカー各社の新規開拓が進み市場が大きくなれば、新たなニーズをきっかけに製品開発が活発化する可能性もある。繊維スリング市場の今後の発展に期待が高まる。
