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防爆対策
石油・化学プラントをはじめ、可燃性液体や高圧ガスなどの製造・貯蔵・取扱所、燃料電池施設など、爆発性の気体が発生する可能性のある環境下で使用される電気機械器具は、防爆構造であることが求められる。企業の社会的責任(CSR)として、リスクを最小限に抑え、信頼を損なわないようにするため、事故を起こさないための防爆対策が求められる。
安全確保・生産性維持
点火源を取り除く
工場や事業場において、操業中に可燃性ガスまたは液体の蒸気が大気に放出・漏えいすると、空気と混合し“爆発性雰囲気”が形成される。ここに爆発を引き起こすのに十分な着火エネルギーのある点火源が共存したときに、爆発や火災が発生する。
可燃性物質を取り扱うプラント・工場で爆発性雰囲気の生成をなくすことは難しいため、点火源をなくす対策が重要になる。可燃性液体などの製造・貯蔵・取扱所、高圧ガス設備が設置された危険物施設の電気機械器具は、防爆構造規格に適合するものでなければならない。防爆電気機器は登録検定機関による防爆型式検定が必要となる。
日本では現在、「工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆2006)」と「国際整合防爆指針」の二つの防爆指針体系が運用されている。法令上の扱いは同じで、どちらの規格に基づいて機器を設計・製作するかはメーカーの方針やユーザーの要求で決まる。
適切な機器選定を
電気機器の防爆構造は耐圧防爆構造、安全増防爆構造、本質安全防爆構造、非点火防爆構造など10種ある。構造によって適用できる機器、使用できる危険場所が変わってくる。
爆発性雰囲気が存在する、あるいは存在する可能性がある区域を危険場所と呼び、爆発性雰囲気の生成頻度と持続時間によって3段階に区分される。最も危険度が高いのは、通常の状態において爆発性雰囲気が連続、長時間、あるいは頻繁に生成する「特別危険箇所」(ゾーン0)。次いで爆発性雰囲気がしばしば生成するおそれがある「第一類危険箇所」(ゾーン1)、爆発性雰囲気を生成するおそれが少ないか、生成しても短時間しか持続しない「第二類危険箇所」(ゾーン2)となっている。
危険度に応じた対応が必要となるので、ゾーン判定と、各ゾーンに最適な機器を選定することが重要になる。
保守点検が重要
総務省消防庁の「令和6年中の危険物施設に係る事故の概要」によると、2024年の危険物施設(37万9120施設)で発生した火災事故は267件(前年比24件増)、流出事故は486件(前年比18件増)だった。危険物施設数は年々減っているものの、事故発生件数は火災・流出ともに増加傾向にある。
発生原因で最も多かったのは、火災事故が「維持管理不十分」52件(19・5%)、流出事故が「腐食疲労等劣化」165件(34・0%)となり、人的要因も物的要因も多い状況だ。
日本電気制御技術工業会(NECA)では防爆委員会を設置し、標準化の推進や防爆安全ガイドブックの作成、「SBA—Ex資格認証制度」などを行っている。
同委員会の上野泰史委員長(IDEC)は事故が増加する現状に対し、「施設・設備の老朽化とノウハウの不足で事故が増えている。安全を守るためには保守点検が重要になってくる」と指摘する。人的リソースが不足する中で、「遠隔監視や常時モニタリングのニーズが多く、防爆機器メーカーではIoT(モノのインターネット)対応機器の開発に取り組んでいる」という。
防爆モーターの故障を未然に防ぐなど予知保全へのニーズもあり、振動センサーなどもラインアップされる。メーカー各社はカメラやガス検知機なども活用して防爆エリアの見える化・省人化を提案している。
防爆機器は定期的にメンテナンスを行っていても、使用年数が長くなると防爆性能の維持が困難になる。適正交換時期は防爆構造によって異なるが、10年から15年とされている。
人材育成を支援
NECAでは防爆電気機器の点検の必要性や効果的な点検方法についてまとめた「防爆安全ガイドブック」を発行している。またセーフティベーシックアセッサ資格制度に防爆電気機器安全分野(SBA—Ex)を設け、安全人材の育成を担っている(運営は日本認証)。SBA—Exは防爆安全ガイドブックでの講習と試験を行い、1日で資格取得できる。
