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次世代自動車充電インフラ技術
次世代自動車と呼ばれる電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)は国連の持続可能な開発目標(SDGs)やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現を目指す上で、大きな役割を期待されている。走行時にCO2を排出しないことや、EV・PHVが搭載する大容量の蓄電池が再生可能エネルギーで発電された電力の蓄電デバイスとなり得る。こうした次世代自動車普及に不可欠な充電インフラの整備が急がれている。
新型軽EVが追い風に
着実に普及する電動車
次世代自動車振興センターの資料によると、2021年度のEV・PHV国内販売台数はEVが2万5753台、PHVが2万6977台、合計で5万2730台となり、20年度比1・6倍を記録した。また、21年度末の国内EV・PHV保有台数は33万5594台となった。自動車全体から見ればまだ少数だが、着実に普及が進んでいる。
EV・PHVが稼働するためには充電が必要だ。それら次世代自動車の普及には充電設備の普及も不可欠となる。車両の普及とインフラの拡充は両輪だ。
日本自動車工業会の21年度乗用車市場動向調査ではEV購入意向のある人は約3割で増加傾向にある。その中で、EV購入に当たって懸念している点として「車両価格」「充電時間」「1回の充電での走行距離」「充電施設の場所や数への不安」などが挙げられている。充電設備の設置増、とりわけ急速充電器の拡充は、次世代自動車を利用したい潜在ユーザーの懸念事項の解消に有効だ。
「車両価格が高い」という懸念については、昨年大手自動車メーカー2社から軽自動車規格のEVが発売されたことが市場拡大の追い風になると見られている。
車両価格は小型車よりも軽自動車の方が低い。購入時の補助金を、比率で見ると軽自動車の方が補助率が高い。言ってみれば「お買い得感」があり、購入ハードルは低くなる。
新型軽EVの市場投入について、充電インフラサービス事業を展開するENECHANGEでは「EV市場の裾野拡大に追い風となる。当社サービスへの問い合わせも昨年末以降、感覚的には倍増している」という。
補助金も規模拡大を/V2H、ワイヤレスにも期待
充電設備の導入・設置の機運が高まっている一方、補助金については限りがある。充電設備・V2H(ビークル・ツー・ホーム)充放電設備、外部給電器補助金は、22年度補正予算・23年度当初予算分についてはすでに締め切られている。
次世代自動車振興センターは充電インフラ導入促進補助金の22年度補正予算・23年度当初予算の予備分について、主に普通充電に関して申請手続きの説明会を8月29日にオンライン方式で実施する。定員500人。申し込み締め切りは8月21日。詳細は同センターホームページ(https://www.cev-pc.or.jp/)へ。
30年に急速充電器を含めて15万基設置という政府の目標と比較すると、現状の補助金の予算規模が小さいと言える。導入希望者が後年度まで待たなければならない。新たな時代の交通インフラとして社会に広げるためには、予算の規模や配分の仕方に工夫が求められている。
次世代自動車が搭載する大容量の蓄電池を家庭やビルの非常用電源として活用するV2H、V2B(ビークル・ツー・ビルディング)の提案も盛んになっている。また、集合住宅の駐車場などへの充電器設置ニーズも年々高まっている。
ワイヤレス充電技術の実用化・可能性拡大に取り組むダイヘンは機械式駐車場での実用化を目指している。ワイヤレスシステムであれば、入庫するだけで自動充電も可能になる。手動でケーブルを接続するプラグイン方式よりも利便性が向上する。