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エンジニアリング産業
ゼネコン
ゼネコン各社がエンジニアリング事業に一段と力を注いでいる。施設の計画や設計、施工から機器の選定と調達、維持・管理までトータルで手がけるエンジニアリング事業の基盤となっているのが、主力の建設業で培ってきた技術力とノウハウだ。各社とも顧客ニーズの高度化・多様化にきめ細かく対応することで競争力向上を図っているほか、建設業との相乗効果の創出も見込まれている。
環境配慮型工場ー空調エネ52%減
大林組は2月に着工した愛三工業の「安城新工場(仮称)」の新築工事において、環境配慮型工場の実現に向けた取り組みを進めている。工場全体のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を目標に掲げ、さまざまな省エネルギー技術や創エネルギー技術を導入している。
生産エリアには、地中熱の利用により従来の空調システムに比べ約52%のエネルギー削減が見込める帯水層蓄熱空調システムや、置換空調(成層空調)システムを導入。一方、オフィスエリアにはシミュレーションにより設計された自然換気や採光とともに、高効率空調機や人感センサーによる連動照明など、多様な省エネルギーソリューションを取り入れている。
また屋上の太陽光発電・蓄電池など創エネルギーソリューションの採用に加えて、ビオトープなどの資源循環や自然共生(生物多様性)につながる技術も導入する。今後も脱炭素や資源循環、自然共生に配慮した施設向けに多彩なソリューションの提案を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献していく考えだ。
竹中工務店は直交集成板(CLT)を天井面に使用し、暖かみのある室内空間を実現するための三つの床工法を開発した。いずれもCLTとコンクリートスラブ(床を構成する構造体)の組み合わせによって構成。スラブが持つ構造性能(強度や耐久性)をCLTが高めることで、梁(はり)の少ない開放感のある空間の実現や、施工性向上に伴う工期短縮といったメリットが生まれる。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造の架構の一部に木をあらわしで使用し、遮音・耐震性能などの一部を補完する設計技術体系「KiPLUS(キプラス)」シリーズの第3弾。「KiPLUS DECK(デッキ)」はCLTとデッキ合成スラブ、「KiPLUS SPANCRETE(スパンクリート)」はCLTとプレキャストコンクリートスラブ、「KiPLUS SLAB(スラブ)」はCLTと現場打ちスラブをそれぞれ組み合わせた。
今後も同シリーズをはじめとする中高層木造技術の提供を通じて、木造建築・木質建築の普及と国産木材の活用を推進し、脱炭素社会の実現に貢献していく。
ロボットで部品供給
大成建設はトーヨーカネツと共同で、加工組み立て系の製造工場向けに、ロボットを使って各生産工程への部品の供給や仕掛品の保管作業を効率化する「Tーロボットストレージ生産システム」を商品化した。生産エリアの上部空間にロボット走行路と原料などの一時保管場所を配置することで、生産エリア内のフロアに部品の保管・搬送空間を設ける必要がなくなり、空間利用効率の向上を図れる。
生産エリア近傍にメイン倉庫を配置。倉庫の各コンテナには原料や仕掛品を保管・収納しており、ピッキング機能を搭載したロボットが走行路を移動しながら搬送し、タイムリーに保管・供給するため生産効率の向上につながる。
ロボットが自動で原料や仕掛品の入出庫作業と搬送を行うことにより省人化を実現。工程ごとの生産量に応じて原料や部品の最適な格納場所を設定できる。
また、走行路の変更・延長、サブ倉庫の増設などを容易に行えるため、レイアウト変更や将来的な工場の拡張といったニーズにも柔軟に対応できる。