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省エネ機器&ソリューション
現在、国は事業者の省エネルギー支援を強化している。資源エネルギー庁の2024年度補正予算における省エネ支援パッケージでは、従来に比べ中小企業への支援強化がみられる。「省エネ・非化石転換補助金」では事業区分Ⅰの工場・事業場型に「中小企業投資促進枠」を新設。この新規枠では補助対象となる省エネ率や省エネ量などの要件が従来に比べ緩和されている。事業区分Ⅳのエネルギー需要最適化型でもデジタル技術を活用したエネルギー消費の見える化および最適化や、グリーン・トランスフォーメーション(GX)などを加速する事業者支援の観点から従来の要件を見直した。効果が高いと指定されたエネルギーマネジメントシステム(EMS)導入に設けられていた、省エネ効果2%の事前確認と投資回収年数の要件も25年度は撤廃された。
中小企業の省エネ後押し
エネルギー見える化 カギ
省エネに係る事業の推進のため国は「エネマネ事業者」を採択している。このエネマネ事業者としてアズビルは10年以上さまざまな企業の省エネ支援を行ってきた。アドバンスオートメーションカンパニーSSマーケティング部の野原亮マネージャーは「エネルギー価格高騰が特に中小企業の経営環境を圧迫しており、省エネ対策を実施しようにも困難な企業は多い。今回の省エネ関連事業の要件緩和で中小企業の省エネへのハードルが下がったのでは」と評価する。
省エネ対応の設備を導入した企業でも、その効果を最大化するには運用改善が必要であり、そのためにはエネルギーの見える化とデータ解析が欠かせない。それを可能にするのが長年エネマネ事業者として蓄積してきたノウハウだ。
24年度、EMSで収集したエネルギーデータの活用を支援する「ENEOPT運用支援サービス」を試行したところ、想定より多くの企業から好評を得たという。さらに同社ではプラントの制御高度化ソリューション「SORTiAシリーズ」にAI(人工知能)を活用したモデル自動更新機能を追加。さらにEMSによる省エネソリューションの強化に努めている。
付加価値向上に貢献
効率化や省力化などの企業の課題を解決した結果、カーボンニュートラル(CN)や省エネにもつながる場合がある。そうしたソリューションの一つが、安川電機が22年にリリースした永久磁石同期(PM)モーター「エコPMモータ フラットタイプ」だ。高効率化と小型化を追求した結果、機械設備の省スペースを実現するだけでなく、原材料調達や使用・維持管理など、ライフサイクル全体のCO2削減に貢献する。
また、同製品と同社製の小型高機能インバーター「GA500」の組み合わせにより消費電力を最小限に抑えることが可能で、同社従来品の組み合わせと比較して、5-6ポイント効率が向上した。
インバーターは産業の高度化に伴う電動化でCNの実現に寄与する。同社が提供する工場の自動化・最適化を推進するソリューションコンセプト「i3-Mechatronics(アイキューブメカトロニクス)」 でもインバーターの果たす役割は大きい。機械の異常予兆検知で重大トラブルを未然に防止するなど、ユーザーの予防保全の課題も解決し、省エネだけでなく付加価値向上にも貢献する。
快適性・省エネルギー 両立
社員の働く環境の改善と省エネの両立も重要だ。内田洋行が提供する「Smart Building Integration(スマートビルディングインテグレーション)」はさまざまな建築設備と情報通信技術(ICT)をつなぐことでオフィス空間を最適化。IoT(モノのインターネット)センサーや会議室予約システムなどのアプリケーションと照明や空調、換気といった設備を連動させることで、建物の省エネを実現する。
また、AIによる空調制御で温度ムラをなくし、オフィスの快適性と省エネを両立。各種センサーで取得したデータをクラウド型の中央監視システムで収集・分析して継続的な運用改善を図り、人手不足が課題となっているビルの運用管理の省力化にも寄与する。
同社スマートビル推進部事業推進課の大矢訓寛課長は「当社の強みはオープンテクノロジーを駆使することでベンダーを問わず各設備とアプリケーションを接続できる点。新築のみならず既存ビルにも後付けでき、設備の一元管理も可能になる。利用者や管理者に使いやすいユーザーインターフェース(UI)も提供している」とサービスに自信を見せる。
同社のサービスはオフィスだけでなく物流施設や研究施設などでも、快適に働く環境と省エネの両立に貢献している。