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エンドミル
近年、加工面の高品質化のニーズが高まっている。これに応え、プラスチック金型で広く使用される硬度30―40HRC程度の中硬度材をターゲットに、ユニオンツールでは2枚刃ロングネックラジアスエンドミル「CLRS」を開発した。本製品は非鉄や生材、調質鋼の荒加工から仕上げ加工まで幅広く対応し、特に仕上げ加工において高い品質を実現する。ここでは、CLRSシリーズの高精度・高品質な仕上げ性能について紹介する。
先端フラット面付きラジアスエンドミルによる加工面の品質改善技術
【執筆】ユニオンツール EM技術部 EM工具開発課 古塩 純一
●CLRSの特徴
図1に、従来のラジアスエンドミルとCLRSの工具先端画像を示す。CLRSの底刃には、従来品にはない微小なフラット面を設けている。同面は工具先端底刃の逃げ角が負角となるように付与している。
また、工具中心にかけての凹状の勾配角である「すかし角」が小さい。これらの従来品と違う大きな特徴により、工具先端を使用した仕上げ加工において、良好な加工面を得られる。
フラット面が過大に設けられた場合、工具先端コーナー部のR輪郭形状精度(R精度)を悪化させたり、加工面への過度な摺接負荷によるむしれを生じさせたりする。CLRSはフラット面の設計を最適化することでR精度を高精度に維持し、加工面品位を向上させた。
R精度はプラスマイナス3マイクロメートルで、直径1ミリメートル以上の際の外径公差は呼び径に対して0―マイナス10マイクロメートル、直径1マイクロメートル未満の際の外径公差は同0―マイナス8マイクロメートル。高精度なこれらの仕様により、精密加工に対応する。
●フラット面の効果
CLRSの工具先端刃形状による加工面の品質向上のメカニズムを、模式図で図2に示す。従来品は底刃に、切りくずが工具の刃先に溶着して新しい刃先のようになる「構成刃先」が生じ、これが加工面に円周状の傷を付ける。構成刃先は加工硬化していることから、円周状の傷は硬度40HRC以下の軟材で生じやすい。
一方、CLRSはフラット面が加工面へ付けた円周状の傷を擦り、ならす効果を与え、加工面を平滑にする。この効果は塑性変形しやすい材料で特に発揮され、同じく硬度40HRC以下の軟材で大きな効果がある。
●底面仕上げ加工事例
ラジアスエンドミルはボールエンドミルと比較し、加工対象物(ワーク)底面をワイドピッチで仕上げられる。CLRSはラジアスエンドミルの一般的な長所に加え、フラット面による仕上げ効果がある。
CLRSと従来品の、工具先端を用いた仕上げ性能の違いを加工事例を基に説明する。被削材には調質鋼(硬度30HRC)を用いて、平面仕上げ加工における加工面を比較した。
加工面の外観と表面粗さを図3に示す。加工面に「UT」の文字を映すことで、鏡面性を比較した。CLRSの加工面は文字が明瞭に反射しており、鏡面性が高く、良好な表面粗さであることが確認できた。
●最後に
ここではCLRSの特徴であるフラット面の採用による良好な仕上げ加工性能と、そのメカニズムについて紹介した。本シリーズはロングネックタイプで、工具外径は直径0・2ミリ―6ミリメートルまでラインアップしている。また汎用加工にも対応可能で、多くの用途で活躍する。本製品が加工の高品質・低コスト化に貢献できれば幸いだ。
