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作業工具・電動工具(2024年1月)
作業工具や電動工具は、製造業や建設現場などモノづくりの現場で快適な作業を支える道具として重要な役割を担う。部材の加工や組み立て、施工の作業工程において欠かすことができない。電動工具は電気の力を用いて人力の及ばない大きな力、スピードを得ている。コードレスの電動工具は近年、電池やモーターの性能が高まり、連続使用時間の向上や軽量・高出力化が進む。さまざまな工具類がプロとして仕事に臨む作業者のパートナーとして、モノづくりの現場を支えている。またメーカーはユーザーのニーズに応えるため、デザイン面での高付加価値化も図る。
モノづくり現場で快適・安全な作業支える
色・デザイン―高付加価値化
製造業や建設業などモノづくりにおいて、部材の加工や組み立て・施工でさまざまな工程があり、作業工具や電動工具は幅広い現場で活用されている。出力や強度など人力の限界を補うことで、素早く正確な作業を可能にしている。作業に応じてドライバー、レンチ、プライヤー、ドリル、グラインダー、インパクトドライバー、トリマー、ディスクグラインダーなど多様な種類がある。
作業工具は手を原動力とした工具で、締める、つかむ、回す、切るなどの工程で使用される。力の入り具合など、同じ種類の作業工具でもメーカーごとに差異がある。用途に応じて、適切な工具を選ぶことで安全で快適な作業環境をサポートする。
特定の作業のための専用工具も数多く使われている。作業効率を高めるには、汎用性の高い工具、特定作業向けの専用工具の使い分け、使いこなしが重要となる。
また人力を補助し、さらには人力の及ばない大きな力、スピードを得るためには動力が用いられる。電動工具は電気の力を用い、空圧工具は圧縮空気を用いる。電動工具には作業効率や利便性はもちろん、携帯性や耐久性も求められる。近年は電源が確保できない場所でも使えるリチウムイオンバッテリー搭載のコードレス電動工具が機動性や作業効率の良さから支持されている。電池やモーターの性能が高まり、連続使用時間の向上や軽量化・高出力化につながっている。
国内における工具の市場環境は、高齢化人口の増加で身体への負担低減が求められており、電動工具の需要増加が見込まれる。慢性的な労働力不足といった課題に対して、作業効率の向上や自動化にも貢献が期待される。作業工具は災害などの復興工事向けの需要が拡大する一方、住宅向けの需要が新規着工戸数の減少で伸び悩む。また鋼材価格が原材料高に尾を引いている。
最近ではユーザー自身がホームセンターなどで購入するケースも増えており、色やデザインに対するニーズが高まっている。各メーカーは機能性だけでなくデザイン性にも注力し、製品の差別化を図っている。
全国作業工具工業組合 理事長(ロブテックス社長) 地引 俊爲氏
こだわりに応える製品提供
作業工具メーカーで構成する全国作業工具工業組合の地引俊爲理事長に市場動向や組合の取り組みを聞いた。
―近年の業界の動きをどう見ますか。
「作業服や靴などで、アパレルブランドやスニーカーメーカーなど異業種の参入が目立っている。またカラフルな作業工具など、作業従事者のおしゃれや見た目のこだわりへのニーズが出てきた。同じ現場にいる作業者で同じブランドの腰袋をそろえたり、交流サイト(SNS)で自分の工具を自慢するなどの試みも多い。SNS全盛の時代には見た目やデザイン性が重要だ。従来の製品ラインアップだけではユーザーは満足しない。こうした流れに日本は乗り遅れているが、今後こうした動きが進むと思う」
―工具の電動化が進んでいますね。
「製造現場ではエアツールを使う場面が多かったが、電動工具の需要が増えてきた。かつてはエアツールの方がパワーが出るとされていたが、電池の効率が良くなり、バッテリー型の電動工具でもエア型と同様のパワーが出るため、作業効率が良くなっている。こうした動きは欧州で先行している」
―製造業の減少などで工具の使用場面が減っています。対策は。
「『正しい作業工具の使い方』というマニュアルをウェブで公開しているが、コロナ禍を機に社内研修する企業が増え、ここ1―2年で使用許可の問い合わせが増えた。内容が古くなっているため、今の使い方に合わせ内容を改訂する。その際に組合員の企業が扱う工具製品を新入社員などにアピールできるだろう。内容を見直し、2024年度内に発刊したい」
―ユーザーへのメッセージをお願いします。
「正しい規格の製品での作業が安全の基本となる。日本製にこだわっているので、組合員企業の製品を使ってほしい。細かく作り込んでおり、海外製にはない強みがある。正しい作業ができユーザーのこだわりに応える製品を提供したい」