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宮崎県えびの市
宮崎県えびの市は県最西部にあり、南九州の中央部に位置する自治体だ。えびの高原や霧島連山を擁し、ふもとに広がる平地では畜産や稲作が盛んに営まれている。熊本、鹿児島の両県と接するほか、高速道路網の利便性から交通の要衝と位置づけられてきた。この地の利から、企業が物流拠点を設ける動きが加速している。さらに市では、半導体を含む産業のサプライチェーン(供給網)を支えるべく、企業誘致を積極化している。
南九州の要衝 立地相次ぐ
福岡・熊本/鹿児島/宮崎市内 3方面にアクセス至便
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9月に実施したwelzoとの企業立地協定調印式
えびの市は逆三角形のような形をし、北側で熊本県、南西側で鹿児島県と接する。九州を縦貫する九州自動車道が南北に走り、えびのジャンクションを通じて宮崎道が東に分岐する。九州道・えびのインターチェンジ(IC)を通じた福岡・熊本、鹿児島、宮崎市内の3方面へのアクセス利便性が高い。
これまでも物流企業やメーカーが拠点を置いてきたが、市は企業誘致の促進に向けて「えびのインター産業団地」の造成を決め、2021年に分譲を始めた。えびのICから約500メートルの好立地も奏功し、分譲面積11万3700平方メートルのうち約5割が分譲済みとなっている。
南九州の拠点都市へのアクセス性を評価した企業の進出が堅調に進む。24年に物流企業のマルゼングループ協同組合(福岡県久留米市)が物流センターを団地内に開設。医療機器商社のキシヤ(福岡市東区)、農業・園芸用品商社のwelzo(同博多区)がテナントとして入居した。
「物流の2024年問題」を背景とする労働時間の上限規制などの中で、進出企業の経営者は「即日・翌日配送のため、えびのは絶対的に必要な地域」と強調する。
同団地はマルゼングループ系が追加で2区画(計約1万6200平方メートル)を取得するなど需要は高い。市は九州で再集積が進む半導体関連についても誘致を呼びかける。隣接地への団地拡張について地権者に説明済みで大型案件に対応する準備も整っている。
市内には複数の自動車、電子機器の関連サプライヤーも製造拠点を構える。コカ・コーラボトラーズジャパンえびの工場も長く操業しており、水の豊富さは折り紙付きだ。
用地 設備 人材に補助も
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進出企業の人材マッチングも支援する(就職説明会)
労働力確保では、助成金として1人最大40万円を従業員に直接給付する。近隣6市町を含めると労働力人口は約7万人で、アクセスの良さは通勤にも追い風になる。
立地企業への助成金でも最大1000万円の雇用促進助成金のほか、用地取得や工場建設にかかる市独自の優遇制度を設けた。テナント型物流施設を設ける事業者にも優遇制度がある。
さらに宮崎県としても九州で最高額となる限度額50億円の立地促進補助金を用意している。
村岡市長に聞く 「多様な働く場つくりたい」
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えびの市長 村岡 隆明 氏
村岡隆明えびの市長に企業誘致に対する思いを聞いた。
物流2024年問題が追い風に 半導体も視野
―物流に関連した企業進出が続きます。
「これまでの誘致の成果に加えて『物流の2024年問題』が後押しになっています。進出企業に対しては、人材採用を含めて期待に応えられていると自負します。用地も人も確保できる、というメッセージが広く伝わるとうれしいです」
―九州では半導体関連産業の再集積が進んでいます。
「多様な働く場をつくることが私の思いですので、製造業にも立地してほしいです。物流の利便性は、部品や原材料の仕入れ、生産品の出荷にも利点となります。熊本県の台湾積体電路製造(TSMC)の工場まで車で1時間半ほどの距離ですので、関連企業の進出にも期待しています」
―災害リスクの面ではどうでしょうか。
「宮崎県として見ると南海トラフ巨大地震の懸念はあります。他方、えびの市は都城市とともに発災時の後方支援基地となる想定です。レジリエンス(復元力)は高いと考えます。また東九州道が全線開通すれば九州の高速道が環状につながり、アクセスの冗長性が高まります。この点からもBCP(事業継続計画)に資する土地だと言えるでしょう」
―交通だけでなく、えびのはユニークな魅力を持っています。
「雄大な自然と、その恩恵としての温泉や畜産、米といった、えびのにしかないものが多くあります。鹿児島、熊本の風土も融合した独自の文化が息づいています。長く住んでいる私からすると『なぜ住まないの』と思うほど、すばらしい地域だと実感します」
―進出を検討する企業にメッセージを。
「企業誘致としては土地を引き渡して一区切りですが、企業にとってはスタートです。末永く収益を上げてもらうことも市の大きな役割です。進出企業の飛躍を願い、立地後も支援をしていきます。えびの市に全国からぜひお越しください」
食、住、教育 豊富な魅力で企業、移住者を歓迎
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豊かな自然から育まれる良質な食材を楽しめる(宮崎牛)
えびの市は3方面に向けた交通アクセスが強みだが、「食」「住」「教育」という生活環境の面でも〝三方良し〟と言える。
食では日本一にたびたび輝く「宮崎牛」の産地として最高峰の牛肉を提供している。畜産王国・宮崎にあって、良質の豚肉や鶏肉、卵もそろう。「特A」の実績がある「えびの米」、豊富な水に育まれた野菜、本格焼酎が彩りを添える。
住環境については、新婚世帯の家賃や移住者の住宅取得、若者の定住促進などを支援する助成金を整備。移住者は増加傾向にあり、労働力を支える。
観光でも、日本初の国立公園の一角にある「えびの高原」をはじめ、雄大な自然を堪能でき、日々の疲れは京町温泉でいやせる。市中心部から宮崎・熊本・鹿児島の県庁所在地へは車で70―90分の距離。鹿児島空港まで約30分で着くなど、市外に出かける際も便利だ。
子育て支援も手厚く、保育料や子どもの医療費、小中学生の給食費をいずれも無償化した。市立小学校は全クラスを30人学級とするなど、教育に力を入れる。市内の県立飯野高校に対する支援もしており、全国から入学できる宮崎県内初の高校として、高い志を持った学生が集まっている。