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集塵機
アルミニウムのような金属だけではなく、小麦粉や木片が空気中に高濃度で浮遊していると、わずかな火花で粉塵爆発につながる可能性がある。また精密機械や電子機器の製造ラインでは、微細なチリやホコリが製品に付着しただけで不良品となる恐れがある。さらに加工機内部にチリが入ると動作不良や故障の原因にもなる。モノづくりの現場で作業者の健康を守り、安全性を確保し、製品の品質を高めるだけでなく、加工機などの設備も守る。それが集塵機の役割だ。
4種の集塵方法—用途別に使い分け
集塵機が主に用いられるのは製造工場や建設現場、木工所、ラボなど。作業環境のクリーン化や作業員の健康被害の防止、機械や各種装置の故障予防を目的に、空気中に浮遊するチリ、ホコリ、削りくずをはじめとする粉塵を吸引し、集めて除去する。集塵方法には「濾過式(フィルター式)」「サイクロン式(遠心分離式)」「電気集塵式」「湿式(スクラバー式)」などがあり、用途に合わせて使い分けられる。
最先端の半導体を製造するファブ(工場)のクリーンルームでは、ナノメートル単位のチリすら許されない。例えばウエハーをチップに切り分ける後工程のダイシングでは微細なシリコンの粉のほか、パッケージ基板を削った際には樹脂の粉が発生する。こうした粉塵がクリーンルーム内で飛散しないよう、微細な粒子を捕集できる高性能フィルター搭載の集塵機が半導体の製造現場では用いられる。
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防爆対応の集塵機は、小麦粉などを扱う製造現場でも活躍
一方、航空宇宙産業や自動車の試作で金属3次元(3D)プリンターを利用する加工現場では、チタン、アルミニウム、マグネシウムなどの微細な金属粉末が発生する。粒径が非常に小さいこれら金属粉末が空気中に浮遊して、わずかな静電気や火花に触れると、大きな粉塵爆発を発生させる恐れがある。そのため、湿式の防爆集塵機が採用されている。
防爆集塵機は可燃性の有機粉末を扱う化学プラントや製薬工場においても利用される。また、一定の濃度で空気中に舞うと、ガソリン並みに引火しやすいのが小麦粉、コーンスターチ、砂糖、粉乳など食品の粉。こうした粉末の製造現場に設置される集塵機も防爆対応となっている。
LiB製造プロセス/品質・安全の観点から重要性高まる
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LiBの製造現場では集塵機の性能がより重要に
日本政府は2050年カーボンニュートラル実現に向け、2035年までに乗用車新車販売の電動化率100%を目標に掲げる。対象となる電動車は電気自動車(EV)だけでなく、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)といった車両も含まれる。
そのような状況のもと、電動化のキーデバイスである車載用リチウムイオン電池(LiB)を海外調達に依存しているのは地政学的なリスクになりうる。今後は日本国内で完結するLiBのサプライチェーン(供給網)構築による安定供給の実現が急務となってくる。そしてLiBの生産が国内でも活発化すると、おのずと重要性が高まるのが集塵機だ。
LiBの製造で集塵機の性能が重要とされるのは「品質」と「安全」という二つの観点から。まず品質面においては、電極製造プロセスでの合剤塗料のスラリー塗工、必要幅に切断するスリット加工、セル組み立てプロセスでの巻き取り・積層といった工程が挙げられる。これらの工程で粉塵が電極に混入すると、ショートや不良品発生の原因になることから、極めて高い集塵性能が求められる。
他方、安全面においては、合剤を扱うプレスやスリット工程での「可燃性粉塵」、電解液を扱う注液工程などでの「有機溶媒の蒸気」への対策が必須となる。これらが着火源に触れると爆発や火災につながることから、集塵システム全体での防爆・安全対策が極めて重要だ。
HV、EV向けのLiB製造が拡大していくと、各工程も大規模化・高速化していく。そのため集塵機にかかる負荷と安全要求は高まる。メーカー各社はそうしたニーズに応えるべく、技術開発を進めている。
