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ダイヤモンド・cBN工具
ダイヤモンドは硬度や耐摩耗性に優れ、切削や研削などの各加工で重要な役割を担う。ダイヤモンドに次ぐ硬度を持つ立方晶窒化ホウ素(cBN)は、高温や鉄系材料に対する安定性が高い。ダイヤモンド・cBN工具メーカー各社は、顧客や社会のニーズに応えるべく、常に新たな工具の開発に取り組んでいる。
中国砥粒規制に対応
メーカー、安定供給に備え
高い硬度や耐摩耗性を備える人工ダイヤは、非鉄金属や樹脂のほか、石材やガラスなど硬脆(こうぜい)材の加工に用いられる。ダイヤ工具の用途は自動車部品加工や半導体製造、精密加工など多岐にわたる。
そのダイヤ工具の原料となる人工ダイヤ砥粒(とりゅう)の供給不安が、中長期的に高まっている。2025年10月、中国商務部が人工ダイヤモンド砥粒の輸出規制を発表した。世界の人工ダイヤ生産量の95%は、中国産が占めるといわれている。人工ダイヤの原料となる黒鉛も、世界生産量の7割が中国で産出される。
これを受け、ダイヤモンド工具メーカー各社は在庫積み増しに動いた。ダイヤモンド工業協会事務局は「メーカーが在庫として抱えるのは通常1-3カ月分だが、3年分確保している企業もあると聞いている」と話す。中国は同年11月に規制を実施する予定だったが、実施直前に1年間の延期を表明した。
在庫積み増しの動きはその後も続いた。25年10月から対中輸入量は急増し、25年暦年の対中輸入量(4億2160万カラット)は24年の同輸入量(1億5777万カラット)の3倍に迫った。今年1-5月の対中輸入量は3億8704万カラットとなっている。
一方で、2月に日本政府は日米共同の人工ダイヤ製造プロジェクトを発表した。業界は調達先の多様化につながるとして歓迎するものの、量産化の時期やコストなどを慎重に見極めようとする姿勢が見られる。ダイヤモンド工具各社は当分の間、生産を継続できる在庫を抱えているが、先行きには不透明感が残り、中国の動向が引き続き注視されている。
●強断続加工向け cBN焼結体インサート
超硬工具やダイヤモンド・cBN工具を手がける住友電気工業は、工具材料を自社開発できる体制が強み。人工ダイヤモンド素材では、単結晶ダイヤモンドや多結晶ダイヤモンド(PCD)を工業用素材や研究開発用基板向けに製造する。超硬合金素材では、工具向けの丸棒、金型向けの板材、精密切断向けの薄刃などを製造する。これらを自社工具に活用するほか、工具メーカーや光学・半導体関連分野へ供給している。
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住友電気工業の「コーテッドスミボロンBNC2100シリーズ」
同社の「コーテッドスミボロンBNC2100シリーズ」は、焼き入れ鋼の旋削加工に向けたcBN焼結体インサート。cBN母材は独自の超高圧プロセスにより、緻密で均一な組織を形成している。この母材に耐熱性に優れるコーティングを施し、クレーター摩耗を抑制する。これにより、高速・高能率加工時でも工具寿命を延ばすことができる。
25年、同シリーズに強断続加工向け材種「BNC2135」を追加した。住友電工ハードメタルダイヤ・CBN開発部の松田裕介材質開発グループ長は「ギアの側面加工では工具に対する負荷が高く、寿命が安定しないという課題があった」と話す。BNC2135は高強度母材と微細で高強度なコーティングにより、刃先の欠損を防ぐ。同社によると、他社製品と比べて約2倍の工具寿命を実現している。主にトランスミッションギアなどの強断続加工に向けて提案する。
同社は独自の超高圧・高温合成技術を生かして黒鉛原料から単結晶ダイヤモンドを合成する。また単結晶ダイヤモンドを焼結したPCDなどの材料を製造している。そのため「中国から人工ダイヤモンド砥粒の供給が止まっても、対応できる」(松田グループ長)という。
