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ダイヤモンド・cBN工具
ダイヤモンドは硬度、強度、耐摩耗性に優れ、産業界において重要な役割を担う。ダイヤモンドに次ぐ硬度がある立方晶窒化ホウ素(cBN)は鉄系金属の加工で使われる。炭化ケイ素(SiC)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など難削材・硬脆(こうぜい)材の加工でも活躍し、各社はニーズに応えて製品開発に取り組んでいる。
半導体・難削材—高精度に加工
ダイヤモンド工具は高硬度かつ高強度で、熱伝導率や耐摩耗性が高く、自動車、産業機械、建設など多岐にわたる産業分野の切削・研削・研磨加工などを支えている。また刃先寿命が長く、長期にわたって加工を行える。
しかし加工対象物(ワーク)が鉄系素材の場合、加工中に発生する高熱によって、ダイヤモンドの炭素原子が鉄に吸収されてしまうという弱点がある。そこで鉄系素材の加工には、鉄との反応を起こさず、工具材料としてはダイヤモンドに次ぐ硬さを誇るcBNが用いられる。
合成ダイヤモンドの微結晶と金属やセラミックスなどの結合材を高温・高圧で焼結させた多結晶ダイヤモンド(PCD)は、主に切削工具の先端で使われている。非鉄金属や複合材の高精度切削に威力を発揮する。
5月、富士経済(東京都中央区)はパワー半導体向けウエハーの世界市場調査をまとめ、2035年のSiCウエハーの市場規模が24年比4・3倍の6195億円になると予測を示した。SiCは非常に硬く、加工にはそれに負けない強さが求められるため、SiC向け工具の開発に注力するメーカーが増えている。
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CFRPの加工需要に応えた住友電気工業のスミダイヤコートエンドミル「AVIX型」
また航空宇宙分野などではCFRPの加工需要が高まっている。住友電気工業はCFRP加工用スミダイヤコートエンドミル「AVIX型」を昨年発売した。独自の複合ニック形状(大小2種類の半円径の溝を組み合わせた形状)を採用し、切削抵抗を低減。生産性向上や加工面品位向上を実現する。
今後はSiCやCFRPなどの難削材や硬脆材加工向けの受注による、生産額の伸長が期待される。