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事業プラン9件表彰/最優秀賞
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熱意あふれるビジネスプランを発表した学生ら -
学生の力強いプレゼンに審査委員の講評も熱が入る
キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)大阪実行委員会は2023年12月13日、「第25回キャンパスベンチャーグランプリ大阪」(北おおさか信用金庫、日刊工業新聞社共催)の最終審査会、表彰式を大阪市内で開いた。
CVG大阪は関西地域の大学、大学院、専門学校などに在籍する学生を対象とする新規事業提案コンテストで、124件の応募の中から9件を表彰した。
浅見徹審査委員長(=国際電気通信基礎技術研究所社長)は講評でコンペチター(競合)の分析の必要性を語り、「競合との差異を明示してアピールすることで全国制覇が期待できる」と、全国大会へ臨む学生らを鼓舞した。
最優秀賞は神戸大学の福田純礼さんらの「AIによる血管内手術ナビゲーションシステム開発事業」、立命館大学の太田晶景さんらの「めしパシャ」の2件が選ばれた。
この2件は24年2月27日開催の全国大会に進出する。そのほかの受賞テーマと代表者は次の通り。
【特別賞近畿経済産業局長賞】▽アート決済システム「LISAIL(リセイル)」(同志社大学・松崎圭佑さん)
【特別賞中小企業基盤整備機構近畿本部長賞】▽とらんか~旅先でこころが動いた瞬間を短歌に~(同志社大学・内藤有希さん)
【特別賞大和工業賞】▽ECOBUILDERS(エコビルダーズ)〝より緑の未来を作り上げる〟(日本経済大学・レオニダ ランザル ラリオクさん)
【特別賞北おおさか信用金庫賞】▽「ガラスファイバーを用いた細菌感染予防・治療システム」の開発と販売事業(大阪大学大学院・伊与田透碧さん)
【特別賞日刊工業新聞社賞】▽席取座衛門(阪南大学・三戸一輝さん)
【特別賞ベスト高専・専門学校賞】▽One Voice(ワンボイス)(福井工業高等専門学校・内山田湖太さん)
【奨励賞】▽TyTy(ティティー)(同志社大学・藤原ゆいさん)
【主催】キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)大阪実行委員会
【共催】北おおさか信用金庫、日刊工業新聞社
【協賛】大和ハウス工業、大和工業グループ、Monozukuri Ventures、中小企業基盤整備機構近畿本部
【後援】近畿経済産業局、関西経済連合会、関西商工会議所連合会、関西経済同友会、大阪イノベーションハブ、大阪科学技術センター、新鋭経営会、モノづくり起業推進協議会、関西ベンチャー学会、きたしん総合研究所、京都知恵産業創造の森、大阪産業人クラブ
【最優秀賞】AIによる血管内手術ナビゲーションシステム開発事業
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代表の福田さん
神戸大学
福田 純礼さん、岡野 恒輝さん、田中 優花さん、横井 瑞希さん
提案者らが研究している血管内手術を補助するAIシステムを社会実装し、事業化する。血管内手術の治療が必要な脳卒中は日本では4人に1人が発症する病気と言われる。脳血管内手術は、頭を開ける手術より傷が小さく、入院期間が短い。ただ、手術の長時間化が課題となっている。手術が長引くほど、手術後の後遺症などのリスクが高まる。
手術時間が長くなる原因は手術が高難易度であることや、医師不足があげられる。医師は手術中、複数の画面を同時に見ながら施術・作業する必要がある。画面はモノクロで表示されることが多く、カテーテルが見えづらく、ヒューマンエラーの原因となることも指摘されている。
また脳血管手術の治療方法が数万通りあるのも長時間化の原因の一つ。医師が手術前に選択した方針が患者に合わなかった場合、手術中に医療機器や術式を変更しなければならない。さらに、医師不足で緊急時は専門でない医師が手術することもあるという。
提案したAIによる血管内手術ナビゲーションシステムは手術時間を短縮し、これらの問題の発生を抑える。このシステムは、血管内に挿入する医療機器のリアルタイム追跡機能と、血管内手術の最適な手術プランを医師に推薦する機能を備えている。医療機器の追跡機能は、カテーテルなどの機器を音や色で表し、視認性を高めた。
手術プラン推薦機能は、AIが患者に合った手術方針をいくつか提案することで、医師の意思決定を補助する。この推薦機能は現在開発中。今後は、2000の症例と100万枚以上の画像をAIに学習させ、システムの開発を進める。2024年上期に特許出願を予定している。
研修用のトレーニングモードと手術用のオペレーションモードを提供する。トレーニングモードは1施設当たり年間100万円、オペレーションモードは同300万円での販売を予定している。
【最優秀賞】めしパシャ
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代表の太田さん
立命館大学
太田 晶景さん、平田 康介さん
介護施設利用者の食事量の計測・管理に役立つアプリケーションシステム「めしパシャ」を提案する。このアプリは食事前と食事後の食品類を撮影するだけで、AIが画像データを比較し、食べた量を計測する。食事量のデータの信頼性向上と管理の効率化で介護従事者の負担軽減が期待できる。
介護施設の利用者にとって食事量の低下は栄養不足を招き、健康を損ね、病気につながる可能性も高くなる。このため食事量の計測・管理は利用者の健康状態を知るための重要な作業だ。ただ、現状の介護施設では、介護従事者の目や感覚、勘に頼った食事量の計測が行われている。このため、確認した人によって測定結果にバラつきが生じることがあった。また提案者らが介護従事者にヒアリングしたところ、食事量の記録のために目視で計測、記録用紙に記入、管理ソフトに入力するといった作業を行っていることが分かった。
このアプリでは食事の写真を撮るだけで、食事量のデータが管理ソフトウエアに自動入力される。作業の手間を減らし、従事者の負担を軽減。食事量の記録に使っていた時間をほかの作業にも使えるようにする。またAIによる計測で基準が統一され、データの信頼性が高まる。利用者の健康状態をより正確に把握できる。また利用者の家族に食事量のデータが共有されるサービスも行う。
既存の食事記録アプリでは、一般消費者向けのカロリー計測を目的としたものが一般的で、食べ残した分の量は計測できない。このアプリは介護利用者向けとしてターゲットを絞り、差別化も果たしている。価格設定は写真撮影が1回5円。食事前と食事後を撮影する必要があるため、1人当たり1回の食事で10円となる。
今後は、立命館大学で画像認識AIを研究している教授や介護、栄養学の有識者の協力を得てアプリ開発を進める。現状は、スープ状の食品の画像識別技術が課題。画像識別以外の技術も導入を検討している。
