-
業種・地域から探す
建設機械
人手不足やベテラン人材の退職による技能継承などの問題が、深刻さを増している。建設現場も例外ではなく、足元の労働力不足が進んでいる。建設業は属人的な作業の多さなどから労働生産性が低くなりがちで、他産業と比べて影響の深刻化が懸念されている。このような課題解決に向け、建設機械メーカー各社は建設現場の生産性向上や省力化を後押しする製品やサービスの開発・投入に取り組む。
省力化・知能化進む
省力化建機/操作性・安全性向上—相次ぎ新機能
国立社会保障・人口問題研究所によると、国内の生産年齢人口は2040年に20年比17・3%減の6213万人になると見込まれており、現場の省人化対策が急務となっている。建機メーカーは課題解決に向け、現場の効率化や省人化、生産性・安全性の向上に貢献する製品の開発・投入に注力している。
-
コマツの20トンクラス油圧ショベル「PC200i―12」 -
コマツの解体向け中型油圧ショベル「PC228USLC―11」
コマツは3次元(3D)マシンガイダンス機能を標準装備した、油圧ショベル「PC200i—12」を展開している。同機能では運転席のディスプレー上に、設計図面データと自機の位置・姿勢などの情報を表示する。これにより、操縦者は設計図面に対する掘削位置を判断できる。各現場の作業員の位置や車両付属部品の稼働状況などをデジタル上で一元管理できるシステムも利用でき、配車業務や積み込み作業の実績把握など、さまざまな業務の効率化を実現する。
また、中型油圧ショベル「PC228USLC—11」のマルチ解体仕様を投入。解体作業向けのベースマシン1台に対し、作業内容に応じて4種類の作業機を装着可能。①中高層階の建物解体作業向け②低中層階の建物解体作業向け③低層・基礎・階上解体作業向け④がれきの集積作業や積み込みなどの軽作業向け—の各作業機をそろえる。ユーザーは用途に応じて選択・装着できる。また、ブームと作業機の接続部に位置合わせが容易となる新設計を採用。これにより作業機交換の時間を短縮し、現場の生産性と安全性の向上に貢献する。
-
中型ホイールローダー「ZW250―7」(日立建機) -
完全油圧式クイックカプラ仕様機の使用イメージ(日立建機)
日立建機はホイールローダー「ZW—7」シリーズの中型機「ZW250—7」を国内向けに発売。リフトアームを上昇させるタイミングで、バケット内の積載重量を自動計測する機能を搭載した。過積載や過小積載の防止につながり、生産性向上に貢献する。
また、付属部品を迅速に交換できる完全油圧式クイックカプラ仕様の中型油圧ショベルも投入している。従来のアタッチメント交換作業では、操縦者1人に加え、作業員1—2人が油圧ショベルとアタッチメントをつなぐピンや油圧配管を手作業で着脱していた。そのため、約30分の時間と労力を要し、安全面や生産性で課題があった。
同仕様を搭載することで操縦者が運転席から降りることなく、約2分の短時間でアタッチメントの交換と油圧配管の接続作業を完了できる。現場の作業内容に最適なアタッチメントにこまめに交換することで、現場の作業時間短縮と人員削減が見込める。
住友建機はアスファルトの敷設に用いるアスファルトフィニッシャー「HA60W—10」のオプションとして、自動ステアリング・スクリード伸縮装置「ASTRA1・0」を販売。既存の情報通信技術(ICT)舗装装置のような設計データが不要で、現場で機器を装着し、すぐに舗装を始められる。操縦者の作業負担軽減に加え、機械操作経験の少ない作業者の補助に活用することで、人材育成や人手不足の解消にもつなげられる。
タダノは高所作業車「AT—400CG」をモデルチェンジした。バスケット部に過荷重検出装置を新たに搭載し、積載荷重を超えると機体の全操作を停止させ、オーバーロードを未然に防止する。独自の機能と制御システムにより、操作性と安全性が向上しており、超高所や超高域の現場で安全に作業できる。
-
重機取り付け型セーフティーカメラシステム「ドボレコJK」(アクティオ)
建設機械レンタルのアクティオもAI(人工知能)機能を搭載したレンタル製品の展開により、効率化や生産性・安全性の向上に貢献している。AI人物検知で接触事故を防ぐ重機取り付け型セーフティーカメラシステムや熱中症リスクを判定するAIカメラに加え、AI鉄筋出来形自動検測システムを投入済みだ。
知能化建機/自動運転・遠隔操作—実用化へ加速
建設現場の求める機能を備えた製品展開や一段の自動化・自律化を実現した製品投入を目指し、建機メーカー各社は他社との共同による技術開発も積極的に進めている。
コマツは自動運転ソフトウエアを手がける米アプライド・インテュイションと鉱山用機械の自律化に関する戦略的提携を締結した。コマツがアプライドのビークル基本ソフト(OS)を活用するとともに、自律走行技術、AIツールを鉱山用機械の運搬、衝突回避に適用する。アプライドとの提携によって鉱業の専門知識と自律ソフト技術を融合し、知能化した建機の供給を加速する。
さらにティアフォー(東京都品川区)と協業し、アーティキュレートダンプトラック「HM400」とリジッドダンプトラック「HD785」の自動運転化を進め、27年度までに自動運転システムの実用化を目指す。省人化に貢献するとともに、管制システムと自動運転車両の連携で運搬作業効率の向上を図る。自動運転の実績や知見があるティアフォーとともに、迅速な技術開発に取り組む。
日立建機は英資源大手リオ・ティントの技術開発子会社である豪テクノロジカル・リソースズと、超大型油圧ショベルの遠隔操作技術開発を進める。今後5年間の中長期ロードマップに基づき、超大型油圧ショベルの操縦者の運転支援、遠隔操作、掘削・積み込み作業の半自動運転について、次世代の鉱山運営を支える技術開発で協業する。30年までに半自動運転機能を備えた複数の超大型油圧ショベルが鉱山現場で稼働できる、拡張性のあるプラットフォーム(基盤)構築を目指す。
またコベルコ建機は自動運転ショベルについて、安藤ハザマと実用化を見据えて施工中の工事現場での長期安定運用と安全性確保について検証した。本格展開と実用化が可能とみており、共同研究の成果をもとに、適用工種拡大と現場展開に向けた取り組みを加速させる。
