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コネクター
電子機器・装置の神経節ともいえる機能を持つのがコネクター。AI(人工知能)の普及拡大、自動運転や電動化が進む自動車技術、デジタルツインなどのモノづくりの新しい技術において、コネクターの利用は増加の一途をたどる。こうした状況を背景にメーカー各社の技術開発は活発化している。
AIの普及が市場をけん引
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台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が25年12月に発表した最新の自社ブランド電気自動車(EV)「BRIA」
生成AIの利用拡大で、膨大な計算能力を持つサーバーを大量に並べたデータセンターが必要となっている。そこで重要な役割を果たすのが「つなぐ」こと。サーバー内部の画像処理半導体(GPU)同士、サーバーラック間をつなぐためなど、莫大な量の高性能コネクターが利用されている。
デバイスとデータセンター間を往復させて結果を導き出す、いわゆる「クラウドAI」では、米系コネクターメーカーがエヌビディアなどの巨大企業と共同で超高速通信規格などを策定している。そのため日系メーカーは、一部の分野には参入できているものの、市場構造的に食い込むのが難しくなっている。
しかし、AI処理に特化したチップの性能が飛躍的に向上したことで、小型のデバイスでも高度なAIを扱えるようになった。「エッジAI」「オンデバイスAI」などと呼ばれるこの分野に強いのが、まさに日系メーカーの高性能コネクター。エッジAIにおいて、コネクターはシステムの信頼性を左右する「生命線」となっている。
エッジAI向け 日系メーカー製 優位
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車両の状況は車載ネットワークでパネルに表示(BRIA内部)
エッジAIが利用されている車載システムや工場の生産ラインにあるロボットなどで求められる性能は、振動と衝撃、温度・湿度・塵埃といった過酷な環境への耐性、膨大なデータをリアルタイムで処理するための高速・大容量への対応だ。
そのほか、車載システムでは高い安全性と確実性、高速通信性能が必要となる。車載AIはカメラが撮影した画像やレーダーが検知したデータを即座に分析して自動ブレーキや車線逸脱回避などの安全機能・装置を自動的に作動させる。ここではコンマ数秒の遅れも命取りとなるからだ。さらに複雑な電子機器を限られたスペースに配置するため、小型・薄型化も重要視される。
一方、モノづくりの現場では安全性の確保に加え、生産を止めないことが最重要課題となっている。産業用ロボットにエッジAIを搭載する場合、接続に利用されるコネクターにはどこよりも過酷な使用環境に対する堅ろう性や耐久性が求められる。
またスマートフォンやパソコンの中にAI処理を専用的に行うチップ「NPU」を組み込み、利用するケースでは、極小・限定的なスペースに高機能を詰め込む高密度・省電力コネクターの出番が増加している。エッジでデータを処理すれば、生成AIを利用する際のようなクラウドとの通信は不要でレスポンスは速く、データを端末外に出す必要もない。
車載、産業用ロボット、スマートフォンなど、AIが組み込まれる分野・環境によって、コネクターに求められる性能は異なる。日系コネクターメーカーがエッジAI分野で強い理由は大量生産だけでなく、細かいニーズに応える多品種少量・高精度製品の開発も得意としている点にほかならない。今やAIの普及に日系メーカーのコネクターは欠かせない電子部品となっている。
