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コネクター
コネクターは電気信号や電力などを伝送するために用いられるエレクトロニクス分野に欠かせない電子部品。機器と機器、基板(ボード)と基板、基板と電線(ケーブル)、電線と電線の間を結合する。自動車の電動化やAIサーバーを中心としたデータセンターへの投資などを背景にコネクターの需要は高まる。高速で確実に電気信号を伝える必要があり、高い性能と品質だけでなく、堅牢(けんろう)性なども求められている。
車載DC 高速・高品質にデータ転送
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日本航空電子工業の車載向け光ケーブル(開発中)(CEATEC2025で展示)
コネクターはパソコン(PC)や基地局、スマートフォン、サーバーなどの情報通信機器に利用されている。このほかにも、自動車や鉄道、工場自動化(FA)機器など多彩な産業・分野でも必要とされている。電気信号や光信号、電力を確実に伝える重要な電子部品の一つ。伝えるデータ量は増加傾向にあり、信号品質の劣化やノイズの発生を防ぎ高速で信号を伝送する必要がある。
自動車向けのコネクターは幅広い温度や湿度、振動などへの耐性や、電磁環境適合性(EMC)など、電子機器の誤作動を防ぐ規格対応の必要がある。車載用で採用が広がるフローティングコネクターは基板に実装する時に多少のズレが発生しても嵌合(かんごう)し、車両の振動や衝撃をある程度吸収する。
車載関連でのカメラやセンサーなどの機器間伝送は電子制御ユニット(ECU)を介し電気信号で送られるため、コネクターの高信頼性が欠かせない。ECUはCASE(コネクテッド、自動運転、シェア、電動化)領域で搭載量が増加している。車載カメラやセンサーの伝送信号は車両の安全性に関わるデータのため、高速で確実に伝える必要があり、信号のロスが少なく、軽量化やノイズ対策にもなる光化も進む。
1—8月生産 8%増2037億円
電子情報技術産業協会(JEITA)が2025年9月に発表した「調査統計ガイドブック2025—2026」によると、24年度の電子部品の用途別構成比では自動車が39・4%と最大のシェアを占め、通信機器が次いで25・6%だった。
23年度に比べ欧米でのバッテリー電気自動車(BEV)化の足踏みもあり伸びは鈍化したが、自動車は今後も環境対応による電動車や先進運転支援システム(ADAS)の普及拡大、将来的なソフトウエア定義車両(SDV)化の進化により、電子部品搭載数の増加が見込まれるという。
JEITAが25年10月に発表した電子工業生産実績表によると、同年8月のコネクター生産数は19億3618万1000個(前年同月比7・4%増)で、生産額は236億5500万円(同0・1%減)だった。一方で、1月から8月までの累計生産数は167億8675万7000個(前年同期比11・4%増)で、生産額は2037億200万円(同8・3%増)と7月の発表に続き生産数、生産額ともに増加した。
