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CASE―搭載量が増加
コネクターはスマートフォンや基地局、パソコン、サーバーなどの情報通信機器、工場自動化(FA)機器、自動車、鉄道など多様な産業・分野で利用され、電気信号や光信号、電力を確実に伝える重要な電子部品の一つ。伝送する映像や画像などのデータ量は増加傾向にあり、信号品質の劣化やノイズを発生させることなく、高速で信号を伝送する必要がある。
自動車向けのコネクターは幅広い温度と湿度に加え、粉じんや振動の耐性と堅牢性、電磁環境適合性(EMC)など、厳しい環境対応が求められている。
コネクターを基板に実装する時に多少のズレが発生しても嵌合(かんごう)し、車両の振動や衝撃をある程度吸収する。車載用のフローティングコネクターはこうした課題に応え、自動車特有の過酷な温度環境にも対応している。
自動車・車載関連でのカメラやセンサーなどは電子制御ユニット(ECU)を介し電気信号で伝送されるため、コネクターの品質が求められる。ECUはCASE(コネクテッド、自動運転、シェア、電動化)をキーワードに搭載量が増加している。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの電動車(xEV)の普及拡大なども増加要因とされる。
2023年4―9月のコネクター市況は、産業機器分野での設備投資調整の影響を受けた一方、自動車分野において半導体供給不足の解消により堅調な推移を見せた。
同期の連結業績において、日本航空電子工業のコネクター事業における自動車市場の売上高は先進運転支援システム(ADAS)関連向けが大きく伸長し、前年同期比16・0%増の467億円となった。通期での自動車市場の売り上げは、同14・5%増の980億円を見込んでいる。
イリソ電子工業は車載インフォテインメント分野での海外顧客との取引拡大や高速伝送対応の新製品の売り上げ増加、xEV需要を背景としたパワートレーン分野での増加などを背景に、オートモーティブ(車載)市場の売上高は、同19・0%増の240億円と大きな伸びを見せた。通期は同14・6%増の486億円を計画する。
車内情報ネット 進む「光化」
こうした中、日本航空電子工業は9月、車内インフォテインメント用にUSB3・2の伝送規格に適合したUSBコネクターを発売した。映像などのデータ容量が増大する課題に対応。最大データ転送レートは毎秒20ギガビット(毎秒10ギガビット×2レーン)を実現する。
また車内情報ネットワークに関して高速化、軽量化、ノイズ対策のために光化が欠かせないとして、同社は10月、アイオーコア(東京都文京区)と資本業務提携の決定を発表。車載コネクタにおける技術を融合した車載AOC(アクティブ・オプティカル・ケーブル)の共同開発を進めていく。
イリソ電子工業はフローティング機能と高速伝送技術を融合し、自動運転実現に必要なADASやECUのアプリケーション接続に最適なフローティングコネクターを提供する。毎秒25ギガビットの高速伝送を実現し、固定金具機能を兼ねた電源用端子をコネクター両端に搭載。第5世代通信(5G)市場にも展開している。
同社は9月にインドのベンガルールに現地法人を設立した。2輪車を含む車載市場を中心に売り上げ拡大を目指す。
ケルは車載機器の温度環境に対応し、毎秒16ギガビットの高速伝送を実現したフローティングコネクターを投入した。レセプタクルの底面の端子露出をなくし、異物侵入防止とコンタクト底部のパターン配線が可能。
同社の注力市場の一つである車載機器に関して、今後は欧州や中国の現地対応に向けた現地の強化策、自動運転や先進安全システム用の統合ECUに加え、電動化や車載ランプなどのアプリケーションを視野に入れて取り組む。
コネクターは自動車や車載に加え、さまざまな産業に欠かせないキーデバイスの一つとして存在感を高めている。自動車の電動化や自動運転など技術革新が加速する中、コネクターメーカー各社は成長製品として、常にユーザー要望に応える技術開発に注力している。
コネクターメーカー 多彩に実演
11月29日開幕 国際ロボット展/東京ビッグサイト
日本ロボット工業会と日刊工業新聞社が共催する「2023国際ロボット展」が、「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」をテーマに11月29日から12月2日までの4日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開催される。最新技術を搭載した産業用ロボットやサービスロボットなどを展示。主要コネクターメーカーからは、ロボット技術に欠かせない製品や技術が提案される。
イリソ電子工業は「ロボット組立適合コネクタ」を紹介する。コネクター製品展示に加え、完成品の内部コネクター部の接続を人の手を介さず、同社のコネクターを使用することでロボットでの組み立てが容易となる。デモンストレーションを交えて展示する。
日本航空電子工業はロボットによる自動充電デモンストレーションや、自走式ロボットからの自動給電による新たな充電スタイルを実演する。また各種産業機器用コネクター、ハーネス、ロボット用ペンダントなどを出品する。
このほかタイコエレクトロニクスジャパン(TE Connectivity)、ヒロセ電機やハーティングなどが出展する。
2023国際ロボット展は今回で25回目となり、654社・団体、3508小間の過去最大規模で開催する。