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コンプレッサー(2024年4月)
エアコンプレッサーは製造業を中心として多くの産業で幅広く使用されているが、その消費電力は工場全体の25ー30%を占めており、省エネルギー化への要求が高まっている。2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を見据え、コンプレッサーの省エネ化による二酸化炭素(CO2)排出量の削減、環境へ配慮した使用方法やエア品質の向上など、持続可能な社会の実現に向けた取り組みへの各企業の関心はますます高まってきている。多様化が進むユーザーニーズへの提案について、当社が取り扱う屋外設置型空冷オイルフリーコンプレッサー「SMADーEシリーズ룄写真」を例に紹介する。
最新のコンプレッサーの開発動向と性能を最大限生かす使用方法
執筆者
北越工業 生産本部 開発部 SC設計課
課長 新澤 真郷(しんざわ まさと)
先進の省エネ技術
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SMADーEシリーズ(75kW)
コンプレッサーの省エネ化を進めるにあたって、主要部品である圧縮機本体および駆動源であるモーターの効率改善はもとより、その他の構成部品も含めた機械全体での最適な制御方法を確立する必要がある。同シリーズでは「クラストップレベルの空気量の実現」と「先進の省エネルギー制御の採用」をコンセプトに開発を行った。
【1】クラストップレベルの空気量
圧縮機本体は性能向上を最優先とし、歯形の見直しも含めて新たに設計を行った。高性能化するために2段圧縮式とし、従来の1段圧縮式では実現できなかった圧縮効率の向上と動力の低減を図った。また、低圧段と高圧段のケーシングには冷却ジャケットを搭載し、冷却性能向上による高効率化も取り入れている(75kW)。
インバーター仕様機の駆動モーターには、ビルトインタイプの永久磁石モーターを採用。モーター軸とコンプレッサー本体とを一体化することで構造を簡素化し、メカニカルロスを最小限にとどめるとともにメンテナンス部品の低減、低騒音化にも寄与している。
また、最近では食品や医療関係のみならず、クリーンルームを備える電子部品や化学系の企業をはじめ、幅広いユーザーのエア品質に対する関心が高まっている。そうしたニーズに応えるべく、同シリーズのモデルは圧縮空気の品質等級で最も清浄度が高い「クラスゼロ」の認証を取得している。
【2】先進の省エネルギー制御
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図1 ワイドレンジ制御(75kW) -
図2 消費電力特性図(75kW)
基本性能である空気量や動力特性の向上とともに、省エネ化実現に欠かせない機器の制御方法にも新技術を採用した。インバーター仕様機では、従来固定化されていた低速域のモーター回転速度を可変化し、消費動力の最少化を実現した。
インバーターの特性を最大限に活用し、外気温度と吐出圧力が低い時はモーター最低回転速度の範囲を自動的に拡張し、より低速域での運転を可能とすることで動力低減を図っている(特許取得済)(図1、図2)。
「ワイドレンジ制御」として、吐出圧力が定格点より低い際に圧縮機本体の回転速度を上昇させて吐出空気量を増やす「増風機能」に加え、同シリーズではオイルフリーモデルでは初めてとなる「増圧機能」を追加している(22キロ、55キロ、75キロワット)。より高い圧力が必要になった場合でも機械を変更することなく、ワンタッチで吐出圧力の設定を変更できる。
また、従来2パターンだった吐出圧力の切り替え設定を3パターンとし、各パターンとも上限下限値を自由に設定できる。コンプレッサーの省エネ化には可能な限り吐出圧力を低く設定することが重要だが、吐出圧力の設定は0・01メガパスカル刻みで行うことができ、ユーザーの使用環境の変化に即座に対応できるものとした。
さらに、熱交換器用として搭載している冷却ファンについてもインバーター駆動とし、運転状態に応じた最適な制御とすることで、省エネ性と静音性をより高めている。このほかインタークーラーおよびドライヤーから発生するドレンの排出についても、運転環境に応じて排出時間を自動制御することで、圧縮空気を無駄に排出しない機構としている。