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クリーンルーム
クリーンルームは空気中の汚染物質を低減して清浄な環境をつくり出し、必要に応じて温度や湿度、圧力などの環境を制御する。半導体や精密機器、化学・医療品、食品をはじめ、幅広い分野の研究開発や製造に欠かせない設備だ。
半導体分野でも省エネ・低コスト化
品質と歩留まりの向上に直結するクリーンルームだが、高い導入・運転コストが長らく課題となってきた。特に高清浄度が求められる半導体分野では、これまで大部屋方式(ボールルーム方式)のクリーンルームが広く普及していた。同方式では天井一面のファン・フィルター・ユニット(FFU)や床下のダクトなどの設置費用に加えて、維持にも膨大な消費電力がかかる。しかし近年、省エネ・低コストを掲げて、製造現場の課題に応えるクリーンルーム製品が次々と登場している。
オペレーションエリアに配置
1969年より集積回路(IC)工場向けクリーンルーム空調設備を手がける三機工業は、業界の草分け的存在。施工実績は200件以上に及ぶ。中でも厳格な管理が求められる前工程向けに開発されたのが2018年発売の空調システム「DOUP(ドゥーアップ)」だ。同社の佐々木賢知設計開発部長は「前工程のオペレーションエリアの清浄度と温度を安定させて保つことがコンセプト」と説く。
ドゥーアップには、天井から床へ均一に流れる気流「ダウンフロー」と、半導体製造装置からの排熱を有効利用した気流「アップフロー」を効率的に循環させる仕組みが採用されている。従来のクリーンルームとは異なり、FFUを天井全体一様に設置する必要はなく、高い清浄度が必要となるオペレーションエリアに集めて配置する。これにより清浄な空気が、ウエハー搬送用の天井搬送やストッカーを含む、オペレーションエリアを集中して除塵する。その後メンテナンスエリアに流れ込んだ空気は製造装置の熱を吸収しながら、上昇気流となって天井の冷却コイルへ戻る。
両エリアを仕切るのは製造装置上部に設置するビニールカーテンのみで、フロアレベルでの間仕切りは不要に。熱源用冷却コイルで使う水温は同社従来品比で約5度C高く、冷熱源動力を年間40%削減できるという。
また開発時のヒアリングでは、品質に影響を及ぼす温度変化・変動を懸念する意見が多かったと明かす。そこで顧客が使用する製造装置の機種ごとに温度を実測し、同社の技術研究所に実物大模型もつくり検証を重ねた。その結果「各現場に合わせた温度の一定性を実現した」と語る。ドゥーアップは前工程を中心に展開してきたが、アドバンスドパッケージ(先進後工程)での導入実績もある。
簡単設置、開放状態でも使用
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新機種「コーチ デュエット」のイメージ(興研提供)
一方、防塵・防毒マスク製造からスタートした興研が、オープン型クリーンシステム「KOACH(コーチ)」でクリーンルーム市場に本格参入したのは10年頃。当初は知名度不足に苦しんだが、近年急速に存在感を高めてきた。今やコーチは半導体の製造装置や材料メーカーを中心に導入実績は1600社・機関を超える。同社の舘野友里販売企画セクションリーダーは「最近の展示会でのアンケートでは約4割がコーチを知っている、または既に導入済みと回答」と市場への広がりを口にする。
コーチは高い清浄度と低コストを両立した製品として知られる。ナノファイバーフィルター内蔵の機構部分から同一ベクトルの集合気流が吹き出す独自技術で、国際標準化機構(ISO)規格クラス1のクリーン環境をつくる。さらに大がかりな設置工事は不要で、開放状態でも使用することができる。従来のクリーンルームの「常識」を覆す製品といわれる由縁だ。
コーチは大小さまざまなサイズの機種を展開し、卓上タイプでは局所クリーン化のニーズに応える。また25年発売のルームタイプの新機種では、機構部分に祖業である産業用マスクの技術を生かしたケミカルフィルターを追加搭載した。これにより酸性ガスやアルカリ性ガス、有機系ガスの汚染物質濃度を極めて低くできる機能が加わったことで、微細化が進む半導体製造現場での需要を見込む。
舘野リーダーは導入先からの反響の一つとして、床振動の影響が少ない環境の実現を挙げる。従来のクリーンルームでは排気用のグレーチングを床に設置するため、ここで発生する微振動が半導体製造装置メーカーなどの製造現場で課題となっていた。対してグレーチングの設置が不要なコーチは、床振動対策としても想定外の効果をもたらしているという。
