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微生物・有機化合物・塵・ホコリ・・・防ぐ クリーンルーム
バイオロジカルクリーンルーム
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ブース内の安全キャビネットで培地の交換などを行う(セラボHS提供) -
従来施設から高清浄度区域の面積を33%削減した(セラボHS提供)
バイオテクノロジーの分野で使用されるクリーンルームは、塵やホコリだけでなく微生物や細菌も対象にしている。
例えば、細胞製剤は人の身体に直接入るので、微生物などの混入があってはならない。合成医薬品や食品は高温加熱などの滅菌処理が可能だが、細胞製剤は加熱すると細胞が死んでしまう。製造工程の中に滅菌工程がないため、終始クリーンな環境で作らなければいけない。
ダイダンの子会社であるセラボヘルスケアサービス(セラボHS)は、細胞の培養・加工施設(CPF)のエンジニアリングを手がける。
治験製品の受託製造 進出
同社は23年5月に再生医療等製品製造業許可を取得し、同年6月に細胞製造の受託を始めた。現在、バイオベンチャーであるガイアバイオメディシン(東京都新宿区)が開発した、がん免疫製剤の治験製品を受託製造している。
受託事業を行う狙いについて、セラボHS吉田一也社長は「以前はCPFを作るだけだったが、使う側の情報が重要。自分たちで使ってみることで、シナジーを生みたい」と話す。自社製品である「エアバリアCPF」内で細胞製造を行うことで、同製品の利点・欠点を見いだし、技術開発に生かしている。
また「顧客にCPFの運用面の提案ができる」(吉田社長)という。日々の清掃や滅菌作業、人の出入りの手順などに関する運用方法を、顧客に提供している。
さらに再生医療等製品製造業許可を取得しており、許可を取るまでのプロセスについて知見があるため「施設を作る段階で、どのような施設にすれば審査に通るか、顧客にアドバイスできるのも強み」(同)としている。
同社製品のエアバリアCPFは、扉がないことが最大の特徴だ。同社の気流制御技術により、清浄度の高い区域(ブース内)から低い区域(ブース外)に向かって空気を押し流すことで、ブース内の清浄度を維持する。
扉がないメリットは、ドアノブに触れることによる汚染リスクを防げるほか、「CPFを小さくできる」(吉田社長)こと。小さい空間に扉を設けると、扉開閉時の圧力変動が大きくなってしまう。これを防ぐためには、部屋にある程度の容積が必要となる。
エアバリアCPFは扉がないため、高清浄度区域をコンパクトにできる。吉田社長は「ブース内は人が二人で作業できる最小限の寸法にしている」と話す。同社内の施設では、エアバリアCPFの導入によりCPF全体で14%、高清浄度区域で33%の面積を削減した。「面積が小さいとイニシャル、ランニングの両コストを低減できる。毎日作業者が行う清掃・滅菌作業も、小さい分負担が軽くなる」(同)という。