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清浄・省エネ 両立
半導体好調 開発拠点を新設
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961社・団体が出展し、半導体需要の高まりが期待される「SEMICON Japan2023」
クリーンルームは高い清浄空間を継続して維持するために、温度や湿度、清浄度を管理する空調システム、熱源機器、塵やホコリを侵入させないHEPAフィルターやULPAフィルターなど多くの設備機器で構成されており、消費エネルギーは大きい。
室内の空気を大量に換気(循環)する過程で、対象とするクリーンな空間(エリア)が大きくなれば送風に必要な電力も大きくなるため、汚染物質を効率的に排除しつつエネルギーの消費抑制が求められている。業種や作業の工程ごとに求められる清浄レベルに違いがあり、適切な規定レベルの清浄度が必要となる。そして、効果的な排出とエネルギー消費抑制を両立し、必要に応じてガスや温度、湿度、室内の圧力、静電気、電磁波、微振動などの各環境条件も制御する。
また空間の清浄度は国際標準化機構(ISO)などでクラス分けされている。ISOではクラス1から9まで分類され、クラス数が小さい方が清浄度が高い。
こうした中、レーザーテックは本社(横浜市港北区)近隣に研究開発拠点「InnoPa(イノパ)」を開設。第1期工事を完了し、7月から運用を始めた。イノパの敷地面積は1万5830平方メートル。これまでレーザーテックは本社2階部分を研究開発・試験用のクリーンルームとして使用してきた。半導体市場の伸びに伴う業容拡大で事務スペースを含めて現本社が手狭となり、新研究開発拠点を開設した。
第1期工事でクリーンルームの設置に併せて事務所棟を整備した。10月から第2期工事を開始し、2025年12月までに、もう1棟をクリーンルーム化する予定だ。
こうした半導体の世界需要は30年には1兆ドル超えが予測されている。12月13日から東京・有明の東京ビッグサイト東ホールで開催された「SEMICON Japan2023」では、国内外から前年比42・8%増の961社・団体が出展し、製造プロセス技術などが紹介された。
また、空気環境の構築や室圧制御技術などの技術力、ノウハウを背景に、ライフサイエンス分野や医薬品の開発・生産、病院など医療関連でのクリーンルームの重要性が高まっている。医薬品や食品のクリーンルームでは、生物微粒子や非生物微粒子の量を制御するほか、細菌がほかのものを経由して感染する交差感染(クロスコンタミネーション)などを防止する。バイオテクノロジー市場では病室や医療の現場において、感染症の原因であるウイルスを防御する観点からクリーンルームや空室環境が注目を集める一方、再生医療・細胞医療の国内市場は25年で約3800億円、30年で約8500億円規模に達するといわれており、新型コロナにより停滞していた研究開発が活発化。実用化に向けた動きが活発化している。