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ロボット・産業機械/製造現場に自動化ソリューション
モノづくり現場の悩みの種が労働力の確保だ。製造業は就労者が減少続きで慢性的に人手不足に陥っている。それに伴い、現場の省人化ニーズは高まる一方だ。中部の機械メーカーは、その動きに呼応し、生産ラインを自動化するさまざまなソリューションを展開。製造業の持続的な成長に貢献している。
加工セル制御しやすく
オークマは工作機械にロボットやストッカーなどをまとめ、加工対象物の脱着、計測などを自動で行う加工セルを容易に制御できる「スマートツインセル」を提案する。従来のロボット操作盤によるティーチング作業に代わり、動作の始点と終点をパラメーター入力して経路を自動生成したり、工作機械に近い操作にしたりして、制御をしやすくした。
家城淳社長は「加工セルの構築が容易になり、構築後の変更も工作機械のオペレーターでできるようになる」と利点を強調する。
ハンドクレーン 用途拡大
アイコクアルファ(愛知県稲沢市、樋田克史社長)は重量物搬送用ハンドクレーン「ラクラクハンド」の受注が堅調だ。1970年の発売から52年がたった2022年時点で、国内外の自動車業界向けの納入台数は累計5744台に上る。
けん引役は自動車の電動化で生産が拡大する車載用電池の組み立てライン。車載用電池は精密部品である上、重さが数百キログラムに及ぶこともある。ラクラクハンドの信頼性の高さと完全自動化装置よりコストを抑えられる点が受け入れられた。
このほどラクラクハンド事業のホームページを刷新。用途事例の提案など発信力を高め、新たな用途や市場開拓を進める方針だ。
電動機器 商品力を強化
CKDは自動化関連機器の商品力の強化を進める。電動機器は注力事業の一つ。ダイレクトドライブモーター「ABSODEX」「τDISC」を強化するほか、電動アクチュエーター「ROBODEX」は従来ある空気圧機器とのソリューション提案でシェア拡大を目指していく。
また、自動化実現を支える高効率、省エネルギー性能の向上にも着目。従来比4倍の耐久性を備えた直動式電磁弁「マルチフィットバルブ」は高い省エネ性能も備える。長寿命製品で“生産設備を止めない”を目指した高耐久機器「HPシリーズ」などラインアップを増やしている。
また、協働ロボット用グリッパの品揃えも拡充。自動化、流体制御という基盤技術でモノづくりを支える。
ナ・デックス社長 進藤 大資氏/顧客課題に最適価値提案
ナ・デックスは商社でありながら溶接関連機器の製造部門を持ち、抵抗スポット溶接制御装置は自動車業界でトップシェアを誇る。システムインテグレータ(SIer)部門もあり、多様なソリューションで製造業の生産現場の構築から自動化まで幅広く支援する。主要顧客の自動車業界をはじめとしたモノづくりを取り巻く環境の変化が激しい中、持続的な成長に向けて、どのような手を打つのか。7月に就任した進藤大資社長に聞いた。
英知結集 スタートアップ連携も検討
―モノづくりの環境が変化しています。
「電気自動車(EV)化やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)化など、自動車やモノづくりの外部環境は今まで類を見ないほど変化が激しい。2、3年先ですら不透明で読めない状況だ。読めない中でも進む実行力と、スピード感を持った舵取りが必要となる」
―中期経営計画では「トータルソリューションプロバイダー」への変革を掲げます。
「総合力を結集し、顧客の課題に最適な価値を提案できる企業集団を目指す。最適な価値提案はユーザーの立場を熟知して初めて実現する。顧客の工法への深い理解に加え、最新の技術情報を持つ必要もある。顧客の立場で経済計算や費用対効果まで考えた上での価値提供をしていく」
―どのように総合力を発揮しますか。
「ソリューションの創出はひとりや1社では難しい。社内の事業部間やグループ企業間で連携することで、英知を結集させる。ここ5―10年でグループ会社も増えたため、その動きをさらに加速させたい。ハンドリングのために、新体制を見据えた5月には経営企画室を新設した。自動車やモノづくりの分野だけでなく異業種まで広げたパートナー企業との間での協創で、新たなソリューションを生み出したい。スタートアップとの連携も検討している」
―具体的には。
「抵抗スポット溶接制御装置は日本国内、米国、中国のそれぞれの拠点で各メーカー向けに開発から製造・販売までしているが、各拠点間で技術やシーズ(技術の種)の共有をしてこなかった。英知の結集で強みをもっと強くし、全体最適による効率化およびコスト・リソースの最適化をすればグローバルで戦える」