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中部のロボット産業・自動化機器
製造業の集積地である中部地域では、これまで自動車産業を中心に産業用ロボットの導入や自動化システムの開発が進み、多くのノウハウが蓄積されてきた。しかし、労働者不足が深刻な社会課題となる中、中小企業にもこれまで人手に依存していた作業を自動化し、生産性を向上させる動きが広がっている。生産ラインの自動化を手がけてきたロボットシステムインテグレーター(SIer)が知見を生かして汎用のシステム開発を進めるほか、周辺機器やサービスの開発も活発になっている。
人材不足解消に貢献
構内物流向けパレタイザー
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パレタイザーガントリー活用のイメージ
中部地域ではこれまで設備投資しやすい大手メーカーを中心にロボットの導入が進んできた。しかし人材不足を受け、近年は中小企業やこれまで人手に頼っていた分野を積極的に自動化しようという取り組みが相次ぐ。
自動車部品製造ラインの自動化システムやロボット周辺機器を設計・製造する近藤製作所(愛知県蒲郡市)は工場の構内物流や非自動車業界の自動化提案に力を入れている。2023年に自動車部品などを詰める通い箱のパレットからの積み下ろし作業を自動化する部品箱用「パレタイザーガントリー」を開発、発売した。
鋼材を四角に組んだ天井フレームを下から支柱4本で支える箱形構造。天井フレームに設置したガントリーローダーが上下、前後左右に移動してパレットなどを搬送できるため、フレーム内の空間を広く活用できる。このため、動作範囲が円形の多関節ロボットにくらべ約半分のスペースで同量のパレット積み下ろし作業が可能となる。また、床面には天井フレームと同等範囲の空間があり、四方からのパレット入れ替え作業スペースを確保できるためライン設計の柔軟性も高い。
非自動車産業の工場や作業場への入り口は狭いケースが多いため、天井フレームを折りたためるよう設計した。解体せずにトラックの荷台に積載できるので、設置場所での組み立て作業の手間を省け、工期短縮も実現する。
1カ月単位でロボ派遣
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本社ショールームで協働ロボットの動きを見られる
製造業への人材派遣を主力とするパーソナック(津市)は、1カ月単位でロボットを貸し出す「ロボット派遣サービス」に力を入れている。ロボット導入による単純作業の自動化と、より複雑な作業への人材シフトを提案。多くの企業が直面する人材不足の解消につなげる。
ロボット派遣の費用は時給1500円(税抜き)から。時間外労働や休日労働の割り増しはなく、保険も加入済み。初回のみロボットハンドやプログラム費用が別途、加わる。
一般のロボットレンタルサービスと比較すると、稼働しない休日は料金が発生しない点や、短時間で導入できる点にメリットがある。導入時はロボットをプログラム作成済みの状態で持ち込み、現場で調整する。ロボット派遣を入り口にロボット導入を支援するのが主目的であるため、派遣から購入への切り替えにも対応する。
顧客の使いやすさ重視 タッチパネル付きグリッパー
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タッチパネルから直接動作設定が可能
従来の自動化システムは大企業向けで、中小企業では取り回しにくいケースもある。こうしたニーズに応えて開発された製品も増加する。
ARMA(岐阜県各務原市)の「ユーザーインターフェース付きグリッパー(UIG)」は、タッチパネル式の小型コンピューターを搭載したロボット用グリッパー。タッチパネルからハンド駆動の速度や把持力を直接設定できる。把持力や爪の違いで5種をラインアップし、オーダーメードにも対応する。筐体や駆動部は3次元(3D)プリンターで製作するため、顧客のワークに最適なグリッパーを作れるのが特徴だ。
UIGからロボットを直接コントロールすることも可能で、動作の開始や停止、切り替え、さらには衝突を検知して自動でロボットを停止するなどの機能も備える。
またカメラやスピーカー、マイクを搭載し、各種ソフトウエアをインストールすることで、二次元コード(QRコード)の読み取りによる動作切り替えなど多彩な機能を使用できる。今後は生成AI(人工知能)を用いた音声会話による指示機能なども開発する。
従来グリッパーの動作はロボットの制御装置に依存しており、作業者に合わせて動作を柔軟に変更することは困難だった。
1台で多彩な段ボール組み立て
スターテクノ(愛知県大口町)は物流・製造現場での梱包作業の自動化に貢献する。「段ボール箱自動組立ロボットシステム」は多関節ロボットを用いて、段ボール箱の組み立てと貼り付けを完全に自動化するシステム。一般的な製函機とは異なり、1台でさまざまな大きさの箱を組み立てられるのが特徴だ。幅210ミリ-270ミリメートル、長さ320ミリ-380ミリメートル、高さ180ミリ-290ミリメートルの範囲内の段ボールであれば対応可能だ。組み立てる箱のサイズを変更する際も、タッチパネルで箱のサイズを入力するだけで設定でき、ティーチングの知識がなくても簡単に操作できる。
同システムは複数のストッカーにそれぞれ異なるサイズの段ボールをストック可能。多関節ロボが必要な大きさの平板段ボールをストッカーから選択して取り出し、空中で組み立てる。
予防保全サービスを提供
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パソコンやスマホからロボの状態を確認できる
ナベル(三重県伊賀市)は、ロボットの状態を監視し、予兆保全を行う中小企業の製造現場向けサービス「ロボットインサイト」を開発した。ナベルのグループ会社が販売代理店を務める台湾テックマンロボット製のロボを含め、多様なメーカーのロボに適用する。新規だけでなく購入済みのロボにも対応。ロボの電流値や温度、各軸状態などのデータをクラウドに収集し、ナベルのサービス窓口が分析する仕組み。閾値(しきいち)を設け、推移を検証することで、異常発生の恐れを予測する。
顧客による対処を支援し、アップデートやプログラム修正で済む異常は遠隔操作で対応。メーカーやロボSIerとも連携し、手厚いサポート体制を構築する。
定期的な分析結果はロボの健康診断として配信。顧客のパソコンやスマートフォンからも常時、稼働時間や電力消費のデータが視認できる。遠隔でロボット操作の教育を施すオプションも提供する。
次世代育成競技会を一新
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参加者らは大村愛知県知事(中央)と勝利を喜び合った
一方でロボットや自動化機器を使いこなす次世代人材の育成も不可欠だ。愛知県では2025年12月、愛知県国際展示場で「第4回高校生ロボットSIリーグ」を開催した。全国から過去最多の20校が参加。競技部門は、東京都立蔵前工科高校が最優秀賞、愛知県立瀬戸工科高校が優秀賞を受賞した。
今回から内容を一新し、競技部門では全参加校が同じ課題に挑んだ。サイズの異なるペットボトルとアルミ製ボトルを判別し、ふたを開けて中身を排出し分別する。5分間2回の実演での合計得点と、プレゼンテーションやシステム構造の得点を合わせて競い合う。このほか、自由な課題に取り組むエキシビション部門も設置した。
参加校はデンソーウェーブ、ファナック、三菱電機、安川電機の4社から使用するロボットを選択し、システムを自由に構築する。各校をそれぞれロボットSIerがサポートし技術指導を行う。
愛知県の大村秀章知事は「同リーグは産学官連携の甲子園。製造業の中核地としてロボットを作り、使う文化を盛り上げたい」と熱意を見せた。
