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中部の表面処理
表面処理は、材料に強度や耐久性などの付加価値を与え、製品の長寿命化や性能の向上に貢献する重要な工程。メッキや溶射、焼き入れ、ショットピーニングなど、目的や材料によって多種多様な処理が存在する。特に中部地区は製造業の集積地のため表面処理を扱う企業も多く、高精度・高性能なモノづくりに一役買っている。同地区の製造業を支える表面処理技術を紹介する。
脱炭素化に貢献
中部地区には、自動車産業や航空機産業をはじめ、さまざまなモノづくり企業が集積している。こうした企業らの材料や部品に強度や耐久性などの付加価値を与え、性能の向上に貢献しているのが表面処理技術だ。特に近年は大企業だけでなく中小企業にもカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けた取り組みが求められるようになっている。製品の製造工程でいかに二酸化炭素(CO2)を発生させないか、また製品の寿命を延ばすことで買い替えを防ぎ、新たに製品を作る際に発生するCO2を削減するなど、取り組みは多岐にわたる。表面処理はもともとの材料や製品の構造を大きく変えずに、摩擦や熱の発生などを低減し、製品の長寿命化に貢献できる。脱炭素化に向けて従来とは異なる表面処理を検討するメーカーも多い。
例えば近年、CO2の排出がない表面処理として改めて注目されているのが、高周波焼き入れだ。対象物を高周波電流で加熱し、急冷することで表面を硬化させて耐久性を向上させる表面硬化処理。電気で加熱するため処理そのものにはCO2が発生せず、製造工程での脱炭素を目指すメーカーにとってはメリットが大きい。さらに、加熱に使うコイルを変えることで部分的な焼き入れも可能。必要な部分だけ処理を施すことができるのも利点だ。
EVの製造課題に対応
また中部地区の基幹産業である自動車産業では、脱炭素化を目指し電気自動車(EV)シフトが進む。車体の軽量化や部品の大型化に伴って、耐久性を上げるためより高機能な表面処理が求められる傾向にある。
溶射もEVシフトで重要とされる表面処理のひとつ。セラミックスや金属などの材料を加熱し、対象物に吹きつけて被膜する。耐食性や耐熱性、耐摩耗性、絶縁性などを得られる。EVでは軽量化のため、アルミニウムやマグネシウム合金など非鉄金属の活用も広がっており、防食や摩擦軽減など表面処理は不可欠になっている。EV部品では鉄と非鉄金属を組み合わせて使う機会も増加し、異種金属の接触で起こる腐食(ガルバニック腐食)の対策も必要だ。こうした課題には陽極酸化処理で人工的に酸化膜を厚くすることで防食性を高めるなどの対策がなされている。
さらに車体構造部品をアルミニウムダイカストで一体成形する「ギガキャスト」が普及すれば金型にも従来以上の耐久性が求められている。ガス軟窒化処理やショットピーニングを用いて、金型の耐久性を高めようとする取り組みも進む。ガス軟窒化処理はアンモニア(NH3)を含んだガスを高温にすることで、材料の表層に窒化物と炭化物の化合物層を形成。耐摩耗性や耐焼き付け性、耐久性などを向上させる表面処理。
ショットピーニングは微細な金属の球を加工物に打ち付け、表面に細かい凹凸をつけることで耐久性を高める。二つを組み合わせればより高い性能を引き出すことも可能だ。
モノづくりのトレンドに合わせ、必要とされる表面処理技術も変化している。各メーカーは得意とする技術を磨きながら、新たな表面処理の開発を進めている。
