-
業種・地域から探す
切りくず搬送・処理装置(2024年3月)
切削加工をはじめ、研削やプレス加工、放電加工においても何らかの形で切りくずが発生する。こうした加工に付きものとも言える切りくずの処理が不適切なら、工具を傷め、製品品質の悪化を招くだけでなく、機械停止などの要因となる。さらには現場作業者のけがの原因ともなりかねない。一方で、切りくずは貴重なリサイクル材であり、製造現場においては安全に効率よく処理する技術が求められ、さまざまな設備機器が開発されている。
安全な作業環境&効率アップ実現
加工トラブルを防止
加工機械から発生した切りくずをスムーズに送り出し、これをまとめて、リサイクルしやすくする。これを担う切りくず搬送・処理装置は生産の効率化や品質の維持・向上に重要な役割を果たしている。
切削加工ではドリルに切りくずが絡んだり、切りくずによる目詰まりや滞留が起こったりする。これらが機械の不具合を引き起こし、生産性や精度を低下させる例は少なくない。プレス加工でも切りくずが干渉するカス上がりなどのトラブルは加工品質を低下させる。こうしたトラブルを防ぎ、機械の性能をフルに発揮させるには、切りくず類を速やかに排出することが必要だ。
さらには、人手不足が深刻化する中、人材確保の観点からも職場環境の改善や安全確保など働きやすい現場づくりは一段と重要になっている。薄い切りくずは鋭利で機械清掃の際などに触れればけがをする危険性がある。高圧空気による清掃では顔に当たらないように注意する必要がある。切りくずの放置は付着した油の流出やオイルミスト発生などで環境悪化をもたらす恐れもある。こうした労働環境を改善していくことは、従業員の定着に止まらず、新たな人材を獲得していく上でも強みとなるだろう。
装置メーカーは顧客満足度を高める製品開発とサービス体制の充実を図っており、メンテナンス性や耐久性を向上する開発・改良などが進められている。また破砕機など周辺機器と組み合わせたトータル処理システムとしての提案も積極的に行われている。人工知能(AI)技術を駆使し、工作機械の稼働中に切りくずを自動除去するといったシステムも出ている。
切りくずの処理にはコストがかかるが、作業現場の安全性を高め、再生原料としての切りくずの品質向上も図れる。3K(きつい、汚い、危険)と言われる職場の環境や働き方の変革にも貢献する技術としても注目される。