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千葉の経営者に聞く2026
激動の時代を乗り越えて飛躍
白鳥製薬 社長 白鳥 悟嗣 氏/ヘルスケアと千葉を文脈に挑戦
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白鳥製薬 社長 白鳥 悟嗣 氏 -
事業を通してクオリティー・オブ・ライフを高める
—2026年の経営環境をどのように分析しますか。
「資源やIT、食糧などで日本は輸入超過状態だ。さらに為替は円安に振れており、それに伴う輸入原価の上昇によるインフレなどマクロ経済は厳しく、先行きも読みにくい。医薬品業界は世界で人口が増加していることから、グローバル市場は堅調だ。だが、日本は人口が減少しており、難しい」
—その中でどのように経営を進めますか。
「25年は『志』と『ウォンツ』を掲げて経営に取り組んだ。全てのステークホルダー(利害関係者)をよりよくしたいという志を持ち、マスト(ねばならない)ではなく、ウォンツ(やりたい)という気持ちで自分たちの役割を全うすることを心がけた。以上を踏まえて26年は『感謝』と『覚悟』を意識していく」
—具体的に教えてください。
「相手の頑張りや努力に心から感謝を伝えることだ。そして腹をくくって仕事に挑む覚悟が必要だ。これらの取り組みにより、社内の風通しをさらによくするとともに、業界トップクラス給与水準を実現する。そして物心ともに豊かな白鳥製薬の文化を社会に広げ、チェンジ・ザ・ワールド、世界を変えるという志と覚悟を持って経営に臨む」
—サプリメントに力を入れています。
「摂取することで病気になりにくくなり、医療財政負担を軽減する意義のある事業だ。例えば当社のクリルオイルは南極のオキアミから抽出したもので、体内でつくれないオメガ3脂肪酸を豊富に含んでいる。生活習慣病の予防や血流改善、脳機能の維持などに効果があるといわれている。事業を通してクオリティー・オブ・ライフを高めることに貢献したい」
—26年をどのような年にしたいですか。
「人事制度の見直しやロイヤルティー収入につながる特許を取得するなど布石を打ってきている。それらが芽を出しつつあり、その芽を伸ばす年にする。そしてヘルスケアと千葉という文脈でチャレンジしていく」
▷所在地=千葉市美浜区中瀬2の6の1 WBGマリブイースト28F
▷TEL=043・307・8977
▷HP
恵藤計器 社長 瀬口 力也 氏/歴史ある計量器事業をアップデートし続ける
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恵藤計器 社長 瀬口 力也 氏 -
「はかりの専門店」として75年以上の歴史を持つ
—2025年の振り返りをお聞かせください。
「本社社屋のリノベーションを行った。従業員が率先して協力してくれたこともあり、工事は予定通りに進んでいる。オフィスが生まれ変わり、働く環境が非常に良くなったことが25年最大のトピックだ」
―足元の業績は。
「当社が扱っている計量器の販売や設置、定期点検などの事業は元々非常に安定している。私が入社した2014年時点との比較で、従業員数や売り上げはおよそ1・5倍に伸びている。はかりはあらゆる産業の基盤として使われており、千葉で計量器の販売やメンテナンスを扱う会社なら我々が最も早く対応できるという自負を持っている。今後も業績は堅調に伸びていく見込みだ」
―情報発信に積極的です。
「最近はウェブサイトや投稿プラットフォーム(基盤)『note』経由で情報発信を強化している。読んでもらった事業者と取引に至った事例もあり、まだまだ新規顧客を増やす余地はある」
「当社の事業自体は歴史あるものだが、やり方をどんどん最新のものにアップデートしていく。我々の価値提供とは測ることを通じたお客様に対するお手伝い。社内の事務処理業務など内部作業はできる限り簡素化・システム化することで、自分たちの時間を価値あることに使おうと従業員に話している。情報発信もその一環として活発に行っている」
—26年に力を入れたいことは。
「まずは従業員の育成に取り組む。会社の理想はプロフェッショナルな個人と壁のない組織の両立。従業員に対して計量士の資格受験を奨励し、業務知識を身につけてもらっているほか、取得時には固定手当もしっかりと出している。また、当社が持っているはかりの専門的な情報をデータベースにしたサービスも発展させる。人手不足が深刻な企業、特に管理部門に対して能動的にサービスを提供し、計量に関する顧客の仕事を軽減できればと考えている」
▷所在地=千葉市美浜区新港142の3
▷TEL=043・252・0505
▷HP
シンク・ラボラトリー 社長 重田 核 氏/社員が成長を実感できる年に
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シンク・ラボラトリー 社長 重田 核 氏 -
水性インクジェットプリンターは操作が容易で1人でも運用できる(写真はイメージ)
—2025年2月に社長に就任しました。
「25年10月はわずかだが増収増益を達成できた。グラビア製版システムや水性インクジェットプリンターも堅調で、12月までの受注を確保している。今後、高い品質の商品を納期に遅れずに供給していく。今のところ何とかなっているというのが正直な感想だ。前期よりも伸びているが、私の力というよりも社員の頑張りが大きい。組織の再編成や基幹システムの導入など、まだまだやらなければいけないことがある。社員の能力を最大限に発揮できる環境づくりを進める」
—海外からの受注も堅調です。
「為替の円安効果が大きいと見ている。ただ、中国企業からの受注も堅調で、景気が悪くても設備投資に積極的な企業は確実に存在する。景気を言い訳にしてはいけない。26年はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイやベトナムで開かれる印刷とパッケージの展示会に初出展する。日本も大事だが、海外でも当社に目を向けてもらいたい。海外展開の加速には語学力と現地の知見が必要で、国籍を問わず多様な人材を採用している」
—水性インクジェットプリンターの拡販に力を入れています。
「日本では人口が減少する中、操作が容易で1人でも運用できることから、人手不足対策としても注目されている。多品種少量印刷に適しており、パッケージの在庫も削減できる。また当社の場合、インクを自社で生産しており、ランニングコストも安くなる。さらに使用するインクは環境負荷が低く、社会の環境意識の高まりに対応できるとともに、印刷現場の職場環境の改善にもつながる。環境規制が厳しい欧州で大手印刷会社からの受注実績がある」
—26年をどのような年にしたいですか。
「これまで業績は横ばい傾向にあったが、社員が成長を実感できる年にする。そのため水性インクジェットプリンターを中心に国内外で確実に実績を積み上げ、持続的な成長を実現したい」
▷所在地=千葉県柏市高田1201の11
▷TEL=04・7143・6760
▷HP
モノベエンジニアリング 社長 物部 長智 氏/緊急用浄水装置で自治体を深耕
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モノベエンジニアリング 社長 物部 長智 氏 -
組み立て型緊急用浄水装置
—2025年は飛躍の年でした。
「千葉市の『トライアル発注認定事業』で組み立て型緊急用浄水装置が認定されたほか、千葉市産業振興財団(千葉市中央区)のビジネスプランコンテストでグランプリを受賞した。26年に入ってからも減災サステナブル技術協会(東京都千代田区)の『防災・減災×サステナブル大賞』で優秀賞を受賞している。当社の商品が社会的に認められてうれしい。チャレンジしてよかった」
—心臓部であるバネ式フィルターの特徴を教えてください。
「隙間が60マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のバネに、平均粒径が30マイクロメートルの珪藻土(けいそうど)で膜を形成し、この隙間に外側から流体を送り込んで濾過する。フィルター本体は流体を逆流させると、バネに詰まった汚れを取り除け、再生利用できるほか、故障しにくく、産業廃棄物の削減にもつながる」
—導入実績は。
「当社の緊急用浄水装置は、災害時に井戸水や雨水、プールの水、河川・湖沼の水から生活用水を造水するものだ。能登半島地震の際には、バネ式フィルターで濾過した水が、避難所で洗濯や温水シャワー、足湯などに活用されたなどの実績がある。自治体に加え、事業継続計画(BCP)として、さまざまな業界の企業からも引き合いがあり、手応えを感じている」
—どのように拡販していきますか。
「井戸のポンプの部品として使用できるなど、設置場所により適したモデルを開発して販売する。また汎用性が高いモデルと量産化モデルの開発をそれぞれ進めている。確実に実績を積み重ね、普及に結び付ける。浄水装置の心臓部を供給することによる海外展開も視野に入れている」
—26年をどのような年にしたいですか。
「自治体に当社の商品情報を積極的に発信していく。千葉市から始め、千葉県、首都圏、そして全国に事業エリアを拡大する基盤を固める年にしたい」
▷所在地=千葉市花見川区花島町149
▷TEL=043・257・2789
▷HP
センエー 社長 山本 剛 氏/水の環境保全を柱に経営
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センエー 社長 山本 剛 氏 -
埼玉県八潮市道路陥没事故の際にはバキュームカーで汚水を運搬した
—2025年は下水道管路管理の重要性が認識された年でした。
「25年1月28日に発生した埼玉県八潮市道路陥没事故は、下水道管路の老朽化が原因で、社会がインフラの適切なメンテナンスの必要性を痛感した。当社にも支援要請があり、バキュームカーを出動させ、40日間24時間、汚水が流れ出ないようにした。下水道管路管理は当社の主力事業で、社会の関心が高まる中、改めて気を引き締めて業務に取り組んだ」
—26年4月に創業90周年を迎えます。
「時代の変化に合わせ、主力事業を浄化槽から下水道管路管理に変えてきた。ダーウィンの言葉にあるように環境に合わせて変化できるものが生き残る。ただ、これからも主力事業は変えても、生活に最も必要な水の環境を保全するという基本理念をかえるつもりはない」
—90周年を記念して短編映画を製作しました。
「『ライフライン☆デイズ』は当社をPRするのではなく、千葉市で生きる若者の葛藤と成長を描いた求人映画だ。当社の社員は90人だが、27年4月末までに100人体制を目指している。そのため100人プロジェクトを5部門でそれぞれ立ち上げた。人員の増強により、業務の品質を上げることが、水の環境保全につながるからだ」
「高度な技術を持った人材を中途採用する方法はあるが、人手不足で簡単にはできない。そのため新卒で入社した社員を大切に育てることが必要だ。手当などで資格の取得を奨励するだけではなく、取得後は資格を生かせる業務に配属するなど活躍できるフィールドを広げるようにしている」
—26年をどのような年にしたいですか。
「これまで目視で行っていた点検をドローンで実行するなどデジタル変革(DX)の導入を進める必要がある。時代や顧客の要請に合わせて業務のやり方を変化し、100年といわず、200年企業を目指す」
▷所在地=千葉市稲毛区黒砂2の12の11
▷TEL=043・241・3156
▷HP
千葉共同サイロ 社長 田川 晋史 氏/安定操業・安定供給を第一に先回りで動く
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千葉共同サイロ 社長 田川 晋史 氏 -
千葉港を拠点に食品原料物流を担う
—2025年に社長に就任しました。
「住友商事では一貫して食糧分野を担当しており、ある程度この事業の概要を分かっているつもりで就任した。しかし、貯蔵機能を担うサイロは搬入後の品質管理や出荷が重要なポイントになるので、今まで携わってきた業務とは異なる部分も多く、新鮮な気持ちで仕事に臨んでいる」
—足元の業績と今後の見通しは。
「当社はお客さまの貨物を搬入後、一定期間保管した後に出荷を行う業務がメイン。管理している貨物のうち約90%が食糧用の小麦であり、堅調な需要もあって業績はほぼ横ばいだ。ただ、コメの価格高騰などから、一時的に小麦の需要が増加しているとの見方もあり、楽観視はしていない。また、当社のような業態は設備のメンテナンス・更新が不可欠であるが、人件・資材費を始め、さまざまなコストが高騰する中、おいそれと大規模な設備更新には踏み切れないのも実情。安全・安定操業を維持しながら、現有設備を丁寧にメンテナンスし、サービスの質を落とさずに提供していくことが大事」
—どのような分野に力を入れますか。
「商社時代にさまざまなサイロの視察を通じて関係者の方々とお話しする機会があった。そこからの印象となるが、当社はIT関係の分野がやや遅れ気味と感じている。ベテラン社員の経験や知恵、ノウハウなどに頼る業務が少なからず存在している。まずはこの部分の棚卸しから始め、社内会計システムの更新なども順次行っていく。熟練度の高い社員の知見を共有しながら、後任を育てる仕組みが必要」
—26年をどのような年にしたいですか。
「当社は1967年設立で、創業60周年が近づいている。人間でいうと還暦にあたる。若いうちはともかく、年を取ってから無理をすれば、大怪我につながるのは人も機械も同じ。老朽化のため、更新が待ったなしの段階を迎えている設備・機器も多々ある。お客さまに対する安定操業・安定供給が第一の当社にとり、事故や故障による操業停止は許されるものではない。常に予防的保全を始め、先回りの行動を心がけ、27年の創業60周年に向け、足元をしっかりと固めていきたい」
▷所在地=千葉市美浜区新港16
▷TEL=043・241・1231
▷HP
メタルホールディングス 社長 塙 良太郎 氏/東北・常磐道エリアでM&A加速
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メタルホールディングス 社長 塙 良太郎 氏 -
五十嵐工業とのシナジー発揮に自信を見せる塙社長
—2025年は2社の製造業をM&A(合併・買収)しました。
「1月に半導体製造装置の部品を中心に精密板金加工を手がける真壁製作所(宮城県利府町)を、12月には鉄筋コンクリート(RC)セグメント型枠の五十嵐工業(千葉市美浜区)をM&Aした。五十嵐工業にはメタルHDグループに欠けていた製缶加工を手がける多くの優秀な技能者が在籍している。彼らがグループ会社の東原産業(同中央区)で加工した部材を、部品として付加価値を高めた上で供給している」
—グループシナジーが発揮されています。
「営業を統括する優秀な人材を採用するなど営業体制を拡充した。受注に迅速に対応するため、東原産業の3工場に最新鋭のレーザー加工機も導入した。設計者の人手不足が課題だったが、JR仙台駅前に開設したCADセンターで募集したところ、女性を中心に優秀な設計者を採用できた。女性の女性による女性のための会社も設立したい」
—業績も堅調です。
「製造業と飲食業で利益を確保する一方で、利益を不動産に投資することで、資産を蓄積し、信用力を形成している。このようにフローとストックの事業を組み合わせ、持続的な成長を目指すのがビジネスモデルだ。26年3月期の連結売上高は56億円(製造業は25億円)、27年3月期は60億円(同27億円)と予想しており、30年3月期に100億円を目指す。東北・常磐自動車道エリアでM&Aを加速して実現する」
—26年をどのようにしたいですか。
「コロナ禍の中で立ち上げた飲食業の通信販売でインターネットに関する知見が蓄積できた。JR仙台駅前にあるグループの総務や採用、広報を担う営業サポートセンターを拠点に、ホームページや会員制交流サイト(SNS)で情報を発信し、売り上げ増とともに、グループ会社のトップを含めた人材採用を進める。また生成AI(人工知能)をグループ全体に導入し、業務を効率化する」
▷所在地=東京都千代田区外神田5の4の3
▷TEL=03・3837・4555
▷HP
吉野機械製作所 社長 吉野 友章 氏/AI活用のシステム投入で飛躍の年に
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吉野機械製作所 社長 吉野 友章 氏 -
ロボットとプレスブレーキを組み合わせた完全自動曲げシステム
—2025年は多くの取り組みに尽力されました。
「まさに激動の一年だった。5月には本社敷地内に自動曲げシステムの組み立て工程を担う第3工場が竣工した。7月に出展した『MF―TOKYO』では多くの方々にご来場いただいた。また、市場調査や展示会出展などで、米シカゴやタイなど海外を飛び回ることも多かった。業界内で自社の現在の立ち位置を確認する貴重な機会となった」
—26年はどのようなことに取り組みますか。
「完全自動曲げシステム『YSP―Rシリーズ』のオプションで、異常を検知し、生成AI(人工知能)でメンテナンス方法を対話形式で示すシステムを26年度中に発売する。『MF―TOKYO』にも試作品を出展し、多くの反響をいただいた。また、24年に経済産業省の「成長型中小企業等研究開発支援事業( G o ― T e c h 事業)」に採択を受けた研究も、開発の熟成時期にさしかかっている。今後も自社の既存商品のR&D(研究開発)に対し投資を行っていく」
「海外展開の強化にも取り組む。大型サーボプレスブレーキの海外販売を加速させるほか、海外企業とのジョイントベンチャーも構想中だ。26年は事業を飛躍させ、過去最高の売り上げを達成する目標だ」
—工場全体をAIで可視化する「スマートファクトリー化構想」の実現を目指しています。
「25年に生成AIによる自律型メンテナンス支援システムの開発事業が千葉県の『先進的デジタル技術活用実証プロジェクト補助金』の助成対象になった。中小企業の設備保守はIoT(モノのインターネット)の単なる『見える化』にとどまっている。これを作業者と生成AIによる相互対話の段階まで引き上げる。AIには工場内の機械データを読み込ませる。自社内の設備で実験を行い、顧客に提案する。低価格・高性能のシステムを提供し、中小企業の役に立ちたい」
▷所在地=千葉市緑区大野台1の5の18
▷TEL=043・312・5900
▷HP
