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千葉市産業特集
事業を拡大 持続的成長へ
人手不足や物価高騰が千葉市の企業を直撃している。さらに米国の関税政策などでグローバルリスクも高まり、景気の先行きには不透明感が漂う。その中でも事業の拡大や新しい市場への参入、新製品開発などで現状を打破し、持続的な成長を目指す企業は少なくない。そのような挑戦する同市の企業を特集する。
永光自動車工業/高耐久性木材「アピトン」を販売
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乾燥アピトン材の取り付け作業
永光自動車工業(千葉市若葉区、木俣博光社長)は、トラックの荷台や重機の足場に使われている耐久性の高い木材「アピトン」の販売を始めた。消費税抜きの価格は1枚あたり20万円で、長さ5850ミリ×幅300ミリ×厚さ80ミリメートル。主に大型トレーラーの荷台部品としての需要を見込んでおり、2025年度中に200枚の販売を目指す。
アピトンは東南アジア原産の広葉樹で、衝撃や荷重への耐性が高い。特に乾燥材は生木に比べ、寸法安定性や耐水性、防腐性、耐候性などが優れている。しかし、人工乾燥の難しさなどから、日本では乾燥材の取り扱いはほとんどないという。
同社は車体を改造し特殊車両を作る事業を展開している。大型トレーラーの荷台部品としてアピトンの取り付けを求められることが多かった。そのため、同社はこのたび、インドネシア第2の都市でジャワ島東部のスラバヤでアピトンを調達。現地で乾燥処理や製材を行った後、日本に輸入した。
テレマ/自動車業界以外の売上高比率50%目指す
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ソフトウエア開発を加速するため、人材採用を進めている
テレマ(千葉市中央区、三輪剛社長)は、米国の関税政策などで、主力である自動車業界の先行きが不透明なため、特定の業界に依存しない体制を構築する。2030年7月期に自動車業界以外の売上高比率を、50%(24年7月期は20%未満)に引き上げることを目指す。既存技術を生かして他業界向けにソフトウエアを開発・販売するなど事業を拡大して実現する。
同社の主力は研究開発向けの専用ソフトウエアで、製品に組み込むための研究データの分析や可視化するものを自動車メーカーに供給している。この技術を活用し、大手小売店やファンクラブなど会員を保有する業態に向け、会員数や来店・購入回数の増減などを可視化するソフトウエアを提供する。
これらのソフトウエア開発を加速するため、宇都宮事務所(宇都宮市)を活用して人材採用を進める。東北や北関東地方で優秀なエンジニアを発掘していく。従業員数を30年7月期に現状比約2倍の100人に増員する。
ラインワークス/大型ロボットシステム・位置決め装置 新規受注拡大へ
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新工場の完成イメージ
ラインワークス(千葉市花見川区、田村修二社長)は、本社近くに新工場を建設する。大型ロボットシステムや位置決め装置の組立工場で、2026年4月に稼働。現在の生産拠点である本社工場は、溶接を行うため溶接時に出る微粒子が空中を舞い、精密な組み立て作業に不向き。新工場との分業で問題を解決し新たな案件を獲得する。24年3月期で約13億円の売上高を、29年3月期に35億円へ引き上げる。
新工場の敷地面積は4970平方メートルで、延べ床面積は1678平方メートル。作業場のほか、大手産業用ロボットメーカーのロボットと同社の装置を組み合わせた溶接ロボットシステムやハンドリングシステムをデモする展示場を設置する。顧客への説明、アピールに役立てるほか、地域の学生向けの会社見学会でも活用する。
併設する事務所にはステージ付きのカフェ風食堂も用意。社員のリラクゼーション、交流に活用する。
DSヘルスケアグループ/システムエンジニア50人に倍増
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歯科医療データの活用を目指す
DSヘルスケアグループ(千葉市美浜区、寒竹郁夫代表・最高経営責任者〈CEO〉)は、IT業務を内製化するため、2025年度中にシステムエンジニアを現状比2倍の50人に増員する。歯科を中心に医療データのデジタル変革(DX)を進め、歯科と健康との関連性の発見や、歯科医療データの販売で海外展開の土台を作る。
現在、DSヘルスケアグループに所属しているシステムエンジニアは、主に医療や金融、航空、通信の4分野の外部に派遣されている。今後は派遣業務を継続しながら、エンジニアを増員し、外部に委託しているIT業務を内製化できる体制を構築することで、DXを推進する。
28年度末までには歯科医療データの外部販売も始める。グループ全体で訪問や診療、検診などを合わせた歯科データは1カ月で十数万件にのぼり、予防医療への活用も見込む。
同グループはドバイでクリニックを運営しており、今後アジアを中心に歯科データ販売の海外展開も計画している。
千葉大学災害治療学研究所/高知県黒潮町 大西町長・日本核シェルター協会 池田理事長が講演
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講演する高知県黒潮町の大西町長
千葉大学災害治療学研究所は、同大亥鼻キャンパス(千葉市中央区)で定期的に防災・減災の取り組みに関する講演会・情報交換会を開いている。7月は南海トラフ地震で最大34・4メートルの津波が想定されている高知県黒潮町の大西勝也町長が、津波被害者を出さないための取り組みや、地域住民を交えて実施している防災活動について講演。「住民一人ひとりの生活に寄り添い、誰一人取り残さない、これからも暮らしたくなる黒潮町」にすると意気込んだ。
日本核シェルター協会の池田時浩理事長が国土強靱(きょうじん)化につながる核シェルター建設の国内外の現状、国や自治体との具体的な取り組みを解説。「災害時や有事の際に安全な避難環境を日本に根付かせる」と異業種連携も含め賛同者を募った。交流会では参加者同士が本業、防災・減災を事業化した経緯や最新動向などを語った。
参加者は千葉県だけでなく、北海道から九州、海外から集まっている。
センエー/地域への感謝と未来への想いを込めた映像作品 制作
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千葉市内で制作発表会を開いた
都市・環境整備業を営むセンエー(千葉市稲毛区、山本剛社長)は、2026年4月に創業90周年を迎えるに当たり、地域への感謝と未来への想いを込めた映像作品「ライフライン☆デイズ」を制作した。このほど制作発表会を千葉市内で開いた。予告編上映、制作背景や出演者・スタッフ紹介、質疑応答が行われた。全編を千葉市内で撮影。同市で生きる若者の成長と葛藤を描いた短編映画だ。
同社が守り続けてきた“見えない支え”と“未来を生きる人々”の姿が重なり、企業活動の根幹にある“地域との共生”を映像化した。「キミたちの想いが街を、社会を変える。」とメッセージ性の高い作品となっている。
9月27日11時から約45分間、千葉市美浜文化ホール(千葉市美浜区)で本編上映会を開催する。上映終了後に同社の特設ウェブサイト、動画投稿サイト「ユーチューブ」などで公開する。
同社は事業を通して限られた資源である大切な水を、使い続けられる社会の環境保全に貢献している。
