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千葉の経営者に聞く2025
さらなる飛躍の起点となる年に 千葉の経営者に聞く2025
白鳥製薬 社長 白鳥 悟嗣 氏/原薬の製造・輸入販売に注力、美容関係も強化
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社長 白鳥 悟嗣 氏 -
茜浜研究所二期棟は2025年も
稼働順調の見通し
-2024年の振り返りをお聞かせください。
「23年11月に完成した新工場(茜浜研究所二期棟)の稼働が非常に順調だった一方、過去の特許の権利が失効する時期に入ってきており特許収入は減少した。24年8月期の業績は売上高が前期比10%増の約62億円。黒字を確保した。社員の努力のおかげだ」
-25年の展望は。
「茜浜研究所二期棟は引き続き順調で2年先までスケジュールが入っている。特許収入についても新しい知財案件が順調に進んでおり、本年中にアメリカやヨーロッパ、日本で承認申請する予定だ。認められれば新たな特許収入が今後期待できる。今年の干支は巳(み)年で再生を意味する。社内では新たな経営理念に基づく企業文化の変革に挑戦しており、さらなる飛躍の起点となる年にしたい」
-今後、成長が期待できる事業は何ですか。
「まず、原薬の輸入販売事業だ。もともと当社は国内ですべての原薬を製造していたが、最近は国内製造で得た検査や薬事申請の体制を生かして海外の優れた原薬や製剤を輸入・販売している。この売り上げは全体の半分弱まで伸びており、今後まだ成長する可能性があると考えている」
「健康食品については、日本のほかベトナムで販売しているが、特にベトナムの伸びが良い。立ち上げから5年程度だが、現在はベトナムだけで3億円弱の売り上げがある。やはり人口が増え続けていることが大きい。機能性と安全性のバランスある健康食品を販売していく」
-24年末に、美容機器メーカーのハッチィング(福岡市中央区)を買収しました。白鳥製薬にとって初めての企業買収です。
「空気圧ではり治療を行う美容機器の会社だ。株式の70%を持たせていただいた。今後は白鳥製薬のルートも活用し、医療クリニックやエステ業界などに提案する。白鳥グループ全体として、美容関係の仕事も伸ばしていく」
▷所在地=千葉市美浜区中瀬2の6の1
▷TEL=043・307・8977
▷HP=https://shiratori-pharm.co.jp/
リファインホールディングス 社長 川瀬 泰人 氏/100%バイオ原料で精密成形可能な材料を
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社長 川瀬 泰人 氏 -
新素材はプラスチックのような精密成形性を持つ
-2024年はどのような年でしたか。
「使用済み有機溶剤を新品よりも高い品質に再生するアップサイクル事業を展開する中国では、事実上、不動産バブルが崩壊した。その影響で、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池(LiB)の製造で使用する有機溶剤のリサイクル需要が大幅に減少した。そのため医薬品や電子関連部材を製造する有機溶剤のアップサイクルに切り替え、どうにか黒字を達成できた。現地の社員には感謝している」
-未利用資源が主成分の新素材も開発しました。
「成分は60-80%が未利用の杉やヒノキ、竹、ホップ、コーヒーのかすなどで、残りを含めて100%バイオ素材だ。石油由来成分は一切使用していない。このような成分でありながら、プラスチックのような精密成形性を有している。事業化のめどが立ち、2月から生産を始める」
-環境に対する意識の高まりが追い風になります。
「この原料で猫用トイレや食器を開発している。今後、がん具や土産品、自動車の内装、文具などを開発する。さまざまな用途が想定されるのでユーザーと共同で用途開発を進める。2月には生産機能を持つ研究開発拠点を稼働し、原料のさらなる強度アップや耐熱・耐久・リサイクル性の向上、新たな未利用資源でのグレード拡大に取り組む。マイクロプラスチックなどプラスチックに起因する社会課題の解決につなげる」
-25年をどのような年にしますか。
「24年は能登半島地震からスタートし、改めて日本は災害が多い国であることを思い知らされた。南海トラフ地震や首都直下型地震なども懸念される。未利用資源の資源化を通して災害に備える事業を立ち上げたい。また使用済み有機溶剤のアップサイクル事業に加え、未利用資源を“リファイン”し、サプリメントや化粧品の原料として供給する事業や、未利用資源から生産した飼料で害獣を肥育し、ジビエ料理の素材として供給する事業にも力を入れる」
▷所在地=東京都千代田区丸の内2の2の1
▷TEL=03・3201・3357
▷HP=http://www.refine‐hd.jp/
ナノテック 社長・博士(理学)・博士(工学) 中森 秀樹 氏/核融合発電の研究を推進
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社長・博士(理学)・博士(工学)
中森 秀樹 氏 -
日大理工学部で研究が進むFRCミラー方式の
研究装置
-2025年が始まりました。展望と戦略を教えて下さい。
「当社はプラズマ制御技術に強みがあり、関連して電源装置も製造している。24年は、防衛費が増額されたこともあり、これまで修理対応だった防衛関連の電源装置でリプレース需要が発生し、売り上げ増に寄与。黒字となった。今年も同様の状況が続く見込みであり、電源に関する人材の確保が必要だ。若年層はもとより、シニア層にも頑張ってほしいと考えている」
-核融合発電の研究に注力しています。
「弊社の基幹技術であるDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングは、核融合発電から派生して研究が始まった。私の母校である日本大学とは過去から共同でDLCを研究しており、核融合発電においても研究協力している」
-日大が研究する核融合発電とは。
「核融合発電にはさまざまな方式が提唱されているが、日大が取り組むのは磁場反転配位(FRC)ミラー方式だ。FRCと高エネルギーイオンの閉じ込めによるビーム駆動の核融合方式で、他の核融合発電方式である『トカマク方式』『レーザー方式』と違い、中性子が発生しない、設備を作る材料に自由度があるメリットがある。千葉県船橋市にある日大理工学部船橋キャンパスで実験が行われており、ナノテックはプラズマ計測装置の開発研究に協力しているほか、研究者の海外渡航費を寄付するなど支援している」
-核融合発電にかける情熱の源泉とは。
「私の一族は広島の原子爆弾で亡くなり、疎開していた幼少であった父が生き残った。父は原爆の悲惨さを伝えるため物理学を学び、息子である私には、ノーベル物理学賞受賞者である湯川秀樹博士から名前を付けた。核の平和利用の手段として核融合発電の実用化に協力したいと考えている。ちなみに『核』という言葉は拒否反応が出やすいので『プラズマ発電』という呼び名にしてはいかがだろうか」
▷所在地=千葉県柏市柏インター南4の6 ナノテクノプラザ
▷TEL=04・7135・6111
▷HP=https://www.nanotec-jp.com/
小出ロール鐵工所 社長 小出 明治 氏/脱皮を続け、さらなる成長
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社長 小出 明治 氏 -
導入した大型ロール研削盤
-2025年は創業から111年、第二創業から11年目の年になります。
「唐津プレシジョン(東京都港区)と共同開発した大型ロール研削盤の認知度が業界内で高まり、稼働率がアップしている。これに伴い生産設備の中核部品の製造が増えている。売上高比率は主力の圧延ロールやシャフトの修理・再加工が約65%で、新規製作が約35%まで伸びた。この新規製作の比率を平均で10%を維持できるようにする。25年3月期は増収増益の見通しで、業績はコロナ前に近づいている」
-人手不足が課題です。
「定期採用はしっかりできているが、マンパワーが不足している。ただ、受注が増えている中でも、残業を増やさずに業績が堅調に推移している。この状況から考えると、30代前半の中間管理職を中心に、全社員が業務改善をやりきってくれている結果だ。また産学連携や技能伝承など若手が自主的にさまざまな取り組みを進めている。人材が確実に育っており、人手不足の緩和につながっている」
-景気の先行きをどのように見ますか。
「米国で第2次トランプ政権が誕生するなど、さらなる激動の時代になる。時代の流れに乗り遅れなければチャンスはある。景気の先行きは厳しいと見ているが、その厳しさに立ち向かっていくことに経営者の楽しさがある。24年は受注に波があったが、25年は受注の変動を安定化させたい。ただ、若手を中心に人材が育ち、新しい分野の受注が増えている。25年は楽しみの年だ」
-25年をどのような年にしますか。
「25年は巳(み)年で、我々も成長するため、脱皮を続ける。成長のために脱皮すると、次に脱皮しなければいけないことが見えてくる。やり残したことがあるとマイナス評価するのではなく、さらに成長することに取り組めるとプラスに評価したい。学生や取引先に選んでもらえる個性的な企業を目指していく」
▷所在地=千葉県習志野市東習志野6の21の8
▷TEL=047・475・3811
▷HP=https://www.koideroll.co.jp/
アシザワ・ファインテック 会長 芦澤 直太郎 氏/地域の安定と業界の発展に貢献
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会長 芦澤 直太郎 氏 -
ナノ粒子大量生産用分散機
「MAXナノ・ゲッターⓇ」
-業績が堅調に推移しています。
「私が社長の時もそうだったが、現社長と部長クラスの幹部との合議制で、会社が極端な方向に走るのを防ぎ、風通しのよい組織づくりにつながっている。電気自動車(EV)の普及が想定よりも伸び悩んでいるが、中長期的には電池や電子部品の研究開発から量産用にビーズミル(微粉砕・分散機)の大きな需要が期待できる。大型の設備投資も計画している」
-2023年に会長に就任しました。
「当社をサステナブルな企業にするためだ。自身が元気なうちに経営陣を育成し、しっかりとした経営ができるのを見届けるのが私の仕事だ。また社内から社外に活動の軸足を移し、地域と業界の発展に貢献することが、結果として当社にもプラスになる」
-習志野商工会議所会頭に加え、24年12月に千葉県教育委員会の委員に就任しました。
「未来の千葉県を支える子どもたちのために、産業界出身だからこそできることをやる。志のある企業が地元の学校に社員を派遣して行う〝出前授業〟や、中高校生などの早い段階からさまざまな業界のことを知り、就職に向けた動機付けをしてもらうキャリア教育を県内全域で組織的・継続的に実施したい。産業界では量と質の両面で人手不足が課題になっているが、人づくりをすることで、その緩和につなげる」
-業界での活動も積極的です。
「日本粉体工業技術協会(東京都文京区)の理事に加え、25年から粉体工学会(京都市下京区)の副会長を引き受けた。産業界の感覚や視点を生かし、社会の役に立つ技術開発に結び付ける」
-25年はどのようなことに取り組みますか。
「私の経験を生かせる大きな舞台を用意してもらい、会長に就任する際に思い描いていた活動ができている。教育委員や学会での活動から考えるとキーワードは教育になる。未知の世界に踏み込んでいくので、しっかり勉強するなど自分の内面に磨きをかける」
▷所在地=千葉県習志野市茜浜1の4の2
▷TEL=047・453・8111
▷HP=https://ashizawa.com/
吉野機械製作所 社長 吉野 友章 氏/新製品開発と海外展開に注力
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社長 吉野 友章 氏 -
ロボットとプレスブレーキを組み合わせた
完全自動曲げシステム
-2024年はさまざまな取り組みを前進させました。
「24年9月にロボットとプレスブレーキを組み合わせた完全自動曲げシステムを発売した。国内外の大手企業から引き合いがあり、将来的に大きな売り上げが期待できる。設計、加工のデジタル変革(DX)も進め、CAD/CAMソフトウエア『オートデスク・フュージョン』を導入。加工手順を3次元(3D)で最適化し、不良率を削減。設計図面をモジュール化し、閲覧性を高め属人化を防いだ。設計標準化を進め、時間を2割短縮した」
-完全自動曲げシステムの海外展開に注力しています。
「世界最大規模の板金加工展示会『ユーロブレッヒ』(独ハノーバー)で、最新の業界トレンドを把握し、海外でも勝負できると感じた。欧州進出を視野に、ドイツの機械メンテナンス会社と秘密保持契約を結び、サービス体制を構築中だ。また、台湾の機械商社を通じ、7社を本社工場に招き内覧会を開催。簡単な操作性や高い生産性をデモし、ポジティブな反響を得た」
-25年の取り組みは。
「現在の完全自動曲げシステムは枠材に特化した製品だが、パネル材にも対応させ、パーティションやユニットバスメーカーへの販売を拡大する。さらに、機械の故障予兆を検知するシステムを開発中で、これらを7月の『MF-Tokyo』に出展する予定だ。展示会では実機デモを通じ、新システムが生産性向上や省エネにどう寄与するか提案する計画だ。また、『100億企業』を目指し、経済産業省の『中小企業成長加速化補助金』を申請し、次世代設備への投資を進める」
-事業拡大には、働きがいのある職場づくりもカギとなります。
「4月から人事評価制度を刷新する。スキルを可視化し透明性を確保する仕組みを導入し、まず管理職を対象に研修を実施する。これにより部下育成や評価方法を学び、リーダーとしての役割を担ってもらう。一般社員向けには26年度に導入する。透明な評価制度を通じモチベーションを向上させ、社員と会社の成長を両立させる」
▷所在地=千葉市緑区大野台1の5の18
▷TEL=043・312・5900
▷HP=https://yoshino‐kikai.co.jp/
千葉共同サイロ 社長 中村 好克 氏/日本最先端のサイロ会社に
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社長 中村 好克 氏 -
小麦の入出荷スケジュールの作成をAIで可能に
-人事制度と組織体制を見直しました。
「小麦を船から荷卸しして保管・出荷するサイロ業務や、営業、管理など複数の業務を経験した社員を幹部候補に登用することにした。複数の業務に対応できる能力を身に付け、社員が少なくても長期休暇の取得などが可能になる。さらに人事異動のサイクルが10-20年間と長かったが、営業部門などで全面的な人事異動を行った。刺激を与えないと組織は変わらない。組織を変え、何を目指すのかを明確にしたかった」
-次のステップに向けた体制が整いつつあります。
「業務フローを見直しており、すでに残業時間が減るなど成果もある。2025年はシステム化と自動化を進め、業務の効率化を図る。例えば小麦の入出荷スケジュールの作成は、ベテラン社員の職人技に頼ってきたが、これを人工知能(AI)で実現したい。また現場に行かなくても事務所などでも小麦の計量を可能にする」
-歴史的に人材への投資も積極的です。
「24年は部長以上の昇格者を対象とした海外研修と、料理を通したチームビルディングや、コミュニケーション研修などを実施した。我々は食糧の基礎である小麦の供給を担っており、凡事徹底こそが必要な会社だ。新卒と並行してキャリア採用を進め、資格取得を支援するなど採用した人材を大切に育て、人間的にも成長してもらいたい」
-25年はどのようなことに取り組みますか。
「27年に創立60周年を迎える上で、ここ1、2年が重要な年になる。二十数年ぶりの料金改定を進めることなどにより、売上高と利益を大きく伸ばし、その利益を人材とシステム化に投資していく。デジタル変革(DX)などを駆使し、年間に12日間以上の有給休暇を取得してもらうなど、より働きやすく、かつ社会的な使命を果たすため、災害にも強い会社にしたい。日本最先端のサイロ会社になれば、さらに、さまざまな可能性が見えてくる」
▷所在地=千葉市美浜区新港16
▷TEL=043・241・1231
▷HP=https://www.kyodosilo.co.jp/index.html
Eプラン 社長 松澤 民男 氏/金属加工の洗浄工程でゼロエミ
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社長 松澤 民男 氏 -
農業・畜産用の「スーパーアルカリイオン水」
-社会を挙げて国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて取り組んでいます。
「当社の強アルカリイオン電解水『スーパーアルカリイオン水』(SAIW)の成分は、99・83%の純水と0・17%のカリウムだ。無色・無臭・無刺激で、人に安全で地球環境にも優しく、強力な洗浄・除菌・消臭・防錆効果がある。製造業ではゼロエミッション(排出ゼロ)や洗浄工程での脱有機溶剤が進んでおり、我々が提唱してきたことが理解されつつある」
-アマダへの供給が始まりました。
「SAIW生成機と洗浄機、洗浄液再生機などで構成している。生成したSAIWでワーク(加工対象物)を洗浄し、廃液は再生して継続的に使用できる。金属加工の洗浄工程でゼロエミッションを可能にする。我々が開発した商品をアマダで販売してもらえてありがたい」
-新たな洗浄機の開発も進めています。
「立体的な板金加工物をSAIWで自動洗浄する装置だ。立体的な板金加工物を洗浄する場合、シンナーを使って手作業で行うケースが多かったが、金属加工現場の職場改善と環境負荷の低減につながる。洗浄後の水切りと乾燥機能を搭載した機種の開発も進めている」
-農業など他分野への応用も進んでいます。
「SAIWを農地と作物に散布することで、土壌改良による生産性と作物品質の向上、病害虫駆除による無農薬栽培の実現を目指している。実際に作物品質のアップなどを確認しているほか、病害虫の忌避効果もあるのではないかと推測している。これらの有効性のメカニズムを解明し、エビデンスを確立するため、現在、岐阜大学と産学連携を進めている」
-今年をどのような年にしますか。
「SAIWのユーザーは増えているが、まだ認知度が低いと考えている。使ってもらえば、よさを分かってもらえる。SAIWをさらに普及させる年にする」
▷所在地=千葉県船橋市高瀬町31の6
▷TEL=047・404・9240
▷HP=https://www.eplan.co.jp/