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キャスター
日常生活や物流現場などさまざまな場面で、縁の下の力持ちとして活躍する「キャスター」。キャリーバッグやオフィス用品、医療機器や製造・物流機器など、その用途は幅広い。そのため、キャスターメーカー各社は移動時の駆動性向上や走行音の抑制、高耐久化など、各機能を高めユーザーからの多様なニーズに応え続けている。
ゴミ付着抑制 過酷な条件クリア
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東海キャスターの超重量用双輪キャスター「TSY200」。金具旋回部分に高負荷用軸受を採用することで、高荷重でも優れた旋回性を発揮する
キャスターは本体、車輪、車軸などから構成される。車輪が前後にしか動かない「固定式」と、前後左右に動かすことができる「旋回式」の2種類があり、さらに板状の面に取り付けるプレートタイプや、取り付け部がボルト状のねじ込みタイプなどがある。対象物に取り付けることで、水平移動に必要な力を低減できる。取り付け方法や旋回方法、車輪の素材や数、車輪径の組み合わせなどで、非常に多くのバリエーションがある。メーカー1社当たり1000種から3000種、多いところでは7000種のキャスターを扱っているほか、オーダー品を含めると、その種類は膨大だ。
使用場所で求められるキャスターの性能や特徴について見てみる。
精密機械の製造現場や製薬・食品工場などのクリーンルームでは、ゴミやホコリが大敵だ。キャスターは車輪回転時に床との摩擦で静電気が発生しやすく、キャスター本体にゴミやホコリが付着しやすくなる。そのため、静電気の発生を抑制して製品へのゴミ付着を防ぐ、導電性キャスターや帯電防止キャスターが主に採用されている。また、車輪にはウレタンやナイロン、白色ゴムといった素材が使われ、床面を汚さず静音性に優れたタイプが一般的だ。グリス類は軸受部に封入され、清掃がしやすいシンプルな構造が望まれる。
無人搬送車(AGV)や自律走行搬送ロボット(AMR)の導入が進む製造・物流現場向けに、これらに対応した専用キャスターの需要が高まっている。AGVやAMRの走行には、①長時間連続稼働②重量物搬送③高速走行④高い停止精度⑤床面に痕跡を残さないこと—など、一般的なキャスターよりも過酷な条件が求められる。
これを受け、AGV・AMR専用キャスターは高反発弾性の特殊ウレタン素材を使用し、長時間連続稼働でも摩耗しにくく高い耐久性を備える。また、ダブルホイール構造で重荷重に対応し、旋回時の半径を小さくすることで狭い場所でもスムーズな移動を実現する。高速走行時でもキャスターの横振れを最小限に抑え、磁気テープなどによる誘導ルートから外れないよう、精密に設計されているのが特徴だ。特殊ゴムスプリングやフレキシブルなシャフト構造などを採用することで、床面のわずかな凹凸や継ぎ目を乗り越える時の衝撃を吸収し、荷崩れやロボット自体の故障を防ぐ。さらに、電子部品や精密機器を運搬する際、静電気による障害を防ぐため、帯電防止加工が施されているものが多い。
IoTセンサーで稼働状況「見える化」
物流現場ではセンサーが組み込まれたIoT(モノのインターネット)センサーキャスターが活躍する。同キャスターは一見すると従来の製品と変わらない外見だが、その内部にはホールセンサーと加速度センサーが組み込まれている。車輪の回転から移動速度や移動距離といったデータを取得し、無線通信で送信することによりリアルタイムで測定・記録することが可能となる。さらに、キャスターの回転で発電する環境発電技術を採用することで、電源供給のための配線や電池が不要となり、電池交換や充電の手間が省けメンテナンスフリーで使用できる。
従来、倉庫内での台車やカゴ車の動きは作業者の「経験的な慣例」によるところが大きく、「いつ、どこで、どれだけの距離を移動したか」を正確に把握することは困難だった。しかし、同キャスターを導入することで物流資材の稼働状況が「見える化」される。台車がどのルートを何回通ったかをデータ化し、倉庫内の物流動線の最適化に活用できる。また、台車が実際に動いている時間を算出でき、適切な保有台数の検討に役立つ。さらに、広い敷地内における特定の台車の位置情報把握や、稼働していない台車の削減、ボトルネックの特定なども可能になる。
物流現場での深刻な人手不足が続く中、ロボットやDXの活用による作業効率化はこれからの企業の競争力維持に重要な要素であり、キャスターの進化がその一翼を担っている。
