-
業種・地域から探す
キャスター
キャスターは台車や運搬機器に取り付けることで、運搬を容易にする。日常生活だけでなく、製造業や物流、医療などの多くの分野で搬送の省力化に貢献する、縁の下の力持ち的な存在だ。メーカー各社は省スペース化や走行性、静音性、耐衝撃性などの各種機能を高め、ユーザーからの多様なニーズに応えている。
モノづくり-快適に支える キャスター
走行・静音・衝撃性-高度化 製造業・物流・医療で活躍
キャスターは取り付け部、本体、車輪などから構成されている。対象物に取り付けることで水平移動に必要な力の低減を図ることができる。取り付け方法や旋回方法、車輪の素材、車輪径などで多くのバリエーションがある。
「固定式」は車輪が前後にのみ動き、「旋回式」は前後左右に動く。また、板状の面に取り付けるプレートタイプと取り付け部がボルト状のねじ込みタイプなどに分かれる。車輪数が一つの単輪、二つの車輪で構成された双輪がある。双輪キャスターはオフィスや病院などの屋内で使用される機器や家具に取り付けられることが多い。二つの車輪の間にキャスター本体や車軸部分を収容する構造のため、車輪径が同じ単輪キャスターに比べて取り付け高さを低く抑えることができ、省スペース化を図れる。
車輪の素材はゴムやエラストマー、ウレタン、ナイロン、鋳鉄など使用環境に合わせて選定される。
鋳鉄やナイロンなどの固い素材は軽い力で動かせるだけでなく、摩耗に強い。ゴムは衝撃に強く、凸凹の床面でも走行が安定する。床面を傷付ける心配がなく、車輪に厚みを持たせることで静音性も高くなる。エラストマーはゴムと同じく弾性が高く、耐薬品性や耐候性に優れ、床面に走行痕が残りにくい。ウレタンは荷重性能が高く、荷重による変形が少ないため、接地面積を小さく保つことができる。また、走行時の旋回性能や始動性能に優れ、重量物搬送での採用事例が多い。
キャスターの長寿命化にはホコリやゴミなどに対する高防塵性が重要になる。床面のゴミやホコリなどはキャスターの走行性に影響を与える。旋回式キャスターの旋回部にはスチールボールがはめ込まれており、ボールの滑らかな回転が快適な旋回につながる。旋回部にホコリなどが絡まると、ボールの回転が阻害される。球体の形状ゆえに回転しなくなったボールは、上から加重されるとボールが本体や皿部分にめり込み故障につながる。ゴミが付着しないようにダストカバー付きや、付着の原因になる静電気発生を防止する帯電防止用もある。
半導体製造装置向け 「低床重荷重」開発進む
-
東海キャスターの重量用キャスター「GP100」。小さい車輪径ながら、耐荷重が大きい。重量の重い半導体製造装置に適している。
国内のキャスター市場規模はおよそ300億円になると言われている。メーカー1社当たり1000種から3000種、多いところでは6000種を超えるキャスターを扱っている。オーダー品も含め膨大な種類がある。
中でも、世界的な半導体需要の増加を受け、半導体製造装置向けに取り付ける低床重荷重キャスターの開発が進む。半導体製造装置では初めに筐体(きょうたい)を組み上げ、筐体にキャスターを取り付ける。筐体を工程ごとに移動させ、各部品を取り付けていくため機械重量は増していく。半導体製造装置は重量があるため、重量用キャスターが求められる。通常、重量に合わせたキャスターにすると、半導体製造装置の全高も高くなる。装置の高さを抑えるため、重量用キャスターの小型化に対するニーズがある。東海キャスターの重量用キャスター「GP100」は耐荷重1・4トンながら、車輪径が100ミリメートルと小型化も実現している。
国際物流総合展 INNOVATION EXPO
9月10日-12日/東京ビッグサイト
最新の物流機器やシステムなどが集結する「国際物流総合展2025 第4回 INNOVATION EXPO」が9月10日から12日までの3日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開催される。日本ロジスティクスシステム協会や日本能率協会、日本運搬車両機器協会など7団体が主催。「物流を止めない。社会を動かす。」がテーマ。業界の最新動向を捉えた企画コーナーやセミナーなどが予定されている。前回開催時は国内外の401社・団体、1230小間が出展した。今回の展示予定規模は450社・団体、1500小間と前回を上回る見込み。