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〝曲げロス〟抑え節電
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空調設備用途の省エネ伝動ベルト(バンドー化学提供)
伝動ベルトには摩擦伝動とかみ合い伝動の二つのタイプがある。摩擦伝動はベルトとプーリーが擦れる摩擦力で動力を伝える。平ベルト、Vベルト、Vリブドベルトなどがある。このうちVベルトは台形の断面を持つベルトで、V形の溝のあるプーリーにまきかけて動力を伝達する。平ベルトより接触面積が大きく、すべりにくく伝動能力が高い。
かみ合い運動はベルトとプーリーの歯形がかみ合って動力を伝える。スリップせず、正確な位置決めに適している。歯付ベルト(タイミングベルト)がこれにあたる。
高伝動、高負荷への対応など、動力伝達に求められる各種のニーズに応えてきた中で、メーカーが併せて注力してきたのが、省エネ仕様のVベルト提供だ。
カーボンニュートラルへの流れにあってそのメリットを訴求してきたが、電気料金をはじめとした燃料コストの上昇にあって、空調機や産業機械、発電機などの用途で、節電効果をもたらす省エネ仕様のVベルトの浸透にあたっている。ベルト駆動時の動力損失と稼働コスト(消費電力)の低減に応える。
動力損失としては曲げ、すべり、軸受、空気抵抗の影響を受ける。伝動ベルトはプーリーにまきかけるため、ベルトの曲げに使う動力損失が最も大きい。このため、曲げやすい、屈曲性に優れるベルトにすることが伝達ロスを改善し、省エネにつながる。
柔軟で曲げやすく―。この屈曲性を高めるため、メーカーではベルト内側に波状の切れ込みを入れた、ノッチ、またはコグ形状の加工を施し、ベルトを曲げやすくした。加えて高硬度ゴムなどを用いる工夫により、高負荷時のベルト変形を抑え、伝達能力を向上させた。起動と停止を繰り返す使用環境での節電効果が高い。
張力管理アドバイス
提供するメーカーでは細幅ベルトや、より省エネ効果が高いグレードのラインアップも用意。それぞれ自社の〝標準ベルト〟と比較した伝動効率や、節電効果を電気料金で試算するなど、省エネベルトのメリットをPR。その使用促進にあたっている。省エネ効果を引き出すために、メーカーは重要なベルトの張力管理についてもアドバイスを行う。
また、省エネ対応では平ベルトの駆動システムを提供するメーカーもある。平ベルトの蛇行を制御するデバイスに、ベルトの必要張力を自動調整するオートテンショナー機構を組み込んだシステム。平ベルトの課題だった蛇行を制御デバイスによって改善した。
平ベルトは厚みが薄く、曲げやすい。伝動効率の高い平ベルトの利点を発揮できる。同システムはオートテンショナー機構によって、Vベルトに比べて、ベルト交換時や張力調整に伴う作業者の負担を軽減できるメリットもある。
