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航空機産業を支える実力企業
2024年、日本の航空機生産額は過去最高を更新し、航空機産業は今後も成長が見込まれる。社会全体で地球温暖化への関心が高まる中で、航空機業界でもカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)達成に向け、水素航空機や電動航空機などの次世代航空機や、持続可能な航空燃料(SAF)の生産に向け、研究・開発が進められている。
航空機生産—最高更新/昨年19%増 1・9兆円
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航空機産業は、コロナ禍による落ち込みから回復し今後も成長が期待される
経済産業省の生産動態統計(確報値)に基づき、日本航空宇宙工業会(SJAC)がまとめた資料によると、24年の日本の航空機生産額は前年比19・7%増の1兆9061億円で、過去最高となった。生産額の内訳は民間機が全体の72%で1兆3687億円(同20・7%増)、防衛機が全体の28%で5374億円(同17・1%増)。
20年、21年は新型コロナウイルス感染症の流行により民間機の生産が大きく落ち込んだが、22年以降はV時回復を果たし、24年は民間機および全体の生産額が過去最高を記録した。エンジン部品の生産額が同34・8%増の9438億円と特に大きく伸びた。
SJACは25年以降の民間機の生産について、米ボーイングの機体の生産・納入数次第ではさらなる伸長の可能性もあると見通した。ボーイングは現状、月産5機程度の787型機の生産レートを、26年までに月産10機に引き上げることを目指している。787型機は機体製造の35%を日本企業が担っており、ボーイングの品質問題の改善が望まれる。
また防衛機に関しても、23—27年度の「防衛力整備計画」が折り返しの年度に入り、防衛力強化に向けた取り組みの活発化が期待されるほか、日英伊3カ国による次期戦闘機の共同開発計画「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」に関する開発・生産もプラスに働く可能性があるとしている。
CO2排出ゼロ/次世代航空機・SAFがカギ
国際民間航空機関(ICAO)は22年、国際線の航空機が排出する二酸化炭素(CO2)を50年に実質ゼロとする目標を掲げた。水素航空機や電動航空機といった次世代航空機や、SAFの普及に向けた研究・開発が進められており、次世代航空機とSAFを組み合わせて利用することが求められている。
コスモ石油は日揮ホールディングスなどと共同で、堺製油所に年産3万キロリットルのSAF製造設備を完成させ、4月に日本初となる大規模な国産SAFの生産を始めた。廃食用油をSAFへと生まれ変わらせる。製造されたSAFは4月10日に初めて、関西国際空港で航空自衛隊の「ブルーインパルス」に供給された。