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愛知県瀬戸市・尾張旭市産業界
瀬戸市と尾張旭市は、愛知県北西部の尾張丘陵に位置し、名古屋市から約20キロメートルという利便性の高さからベッドタウンとして発展してきた。近年は古くからの地場産業である窯業の技術やノウハウを活用し、ファインセラミックスなど新たな産業に発展させている。また金属、化学、電機など幅広い分野の製造業が集積する。両市の企業や行政では、伝統産業の技術を生かしつつ、新たなモノづくりを生みだす取り組みを続けている。
窯業つなぐ取り組み盛ん
瀬戸市・尾張旭市は陶磁器生産を中心に、現代まで窯業の街として栄えてきた。中でも瀬戸市を中心に生産される瀬戸焼は滋賀県の信楽焼や福井県の越前焼などとならび、中世から現在まで続く代表的な陶磁器の産地の一つ「日本六古窯」として知られる。陶磁器全般を指す「せともの」の語源にもなった伝統産業だ。
さらに近年では陶磁器製造のノウハウやコミュニティーを活用し、ファインセラミックス製造にも産業領域を拡大している。ファインセラミックスは電気自動車(EV)の普及や半導体需要の増加を受けて成長が期待される分野だ。伝統産業から芽吹いた種が次世代社会に欠かせない産業として育ち始めている。
同地域の窯業を支えてきたのが、両市を囲む標高100-300メートルの小高い山々だ。丘陵地帯の「瀬戸層群」からは陶磁器の原料となる良質な木節粘土や蛙目(がいろめ)粘土、ガラスの材料となる珪砂が採掘される。現在でも窯業に欠かせない材料となっている。
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ブースでは作品に加え作品作りの様子も発信した
瀬戸市には現在でも多くの窯元や陶磁器作家が軒を連ねる。毎年秋に開かれる「せともの祭り」には200軒以上が出店する。こうした産業を保護・育成しようと同市も積極的に取り組みを進めている。瀬戸焼の魅力を広めるため2025年12月12日には渋谷ヒカリエ(東京都渋谷区)で「瀬戸ツクリテの手仕事」と題した即売会を実施した。窯元に所属する10人の作家が、食器や花瓶などを出品した。こうした取り組みは定期的に都内や名古屋市内で開催されており、伝統産業を次世代につなぐ取り組みとして役立っている。
市制55周年迎える
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市制55周年を記念したロゴマーク
尾張旭市は2025年12月1日に、市制55周年を迎えた。同市は古墳や古代の住居遺跡なども点在し、古くから人の生活が営まれてきた地域だ。明治時代に印場村、新居村、八白村が合併した旭村を始まりとし、その後昭和に入って一部地域が隣接する瀬戸市に編入され現在の市域を確立した。
同市では25年度中を周年期間とし、さまざまな記念事業を展開している。市制施行日の12月1日には、同市の発展に貢献した市民や団体を表彰する尾張旭市政功労者表彰式を同市の文化ホールで開催した。副市長の秋田誠氏ら5人に市政功労表彰が授与されたほか、26人・12団体に一般表彰、72人・24団体に感謝状が贈られた。このほか1月25日には同市にある愛知県森林公園にて、市民向けのジョギング大会が開かれるなど地域の特徴を生かした催しが開かれる。
次世代産業の拡大へ
名城ナノカーボン(名古屋市守山区)は、26年度下期を目標に、愛知県瀬戸市内にカーボンナノチューブ(CNT)の初期量産工場を立ち上げる。独自開発したCNT合成装置をまずは1台設置し、年間2―3トンの生産を目指す。その後装置を3台ほどまで増やし、早期に年10トンまで拡大させる。コストの高さが課題だった高品質なCNTの大量生産体制を確立することで、リチウムイオン電池(LiB)など製品への適用拡大を目指す。
現在の瀬戸市内の工場から、同市内の別の建物に拡張移転する。既存の建屋を改修して活用するため、投資額は5億―7億円ほどに抑えられる。移転先の敷地面積は約3000平方メートル、建屋は約700平方メートル。
製造したCNTは、提携先である韓国SKグループ内の電池メーカーや東海理化グループをはじめとした自動車メーカー、半導体露光装置関連消耗財向けなどへの展開を想定する。
名城ナノカーボンは05年設立の名城大学発ベンチャー。
