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愛知ブランド企業、新たに14社認定
スタートアップの創出とともに、モノづくり企業のもつ技術の発掘と発信にも力を入れる。代表的な事業が03年度から実施している「愛知ブランド」認定事業だ。県内に拠点を置く製造業を対象に、独自の技術や製品などを外部の選定員が評価して選定する。優れた理念や経営トップのリーダーシップ、社会・環境への配慮、イノベーションへの取り組みといった7項目から評価し、認定された企業についてはホームページ(HP)などを通じて情報発信する。初年度に59社の企業を同ブランドに認定したのを皮切りに、現在414社まで拡大している。
23年度は盟和精工(弥富市)、ナカシマ(豊明市)、青海製作所(豊川市)、丸和機械(名古屋市緑区)、三洲電線(西尾市)、槌屋ヤック(岡崎市)、加藤煙火(蒲郡市)、ヨシダコーポレーション(愛西市)、スター精機(大口町)、大栄工業(瀬戸市)、Askalカバン工房(一宮市)、眞和興業(江南市)、イヅミ工業(大府市)、日本グラスファイバー工業(江南市)の14社が新たに認定された。
環境配慮した資源循環システムが高評価
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環境対応システムが評価された眞和興業の本社工場
眞和興業は溶融亜鉛メッキ加工を手がける。環境を軸にした経営や、業界初となる金属資源を回収・有効利用する資源循環システムなどが高く評価された。
溶融亜鉛メッキでは、洗浄段階で廃酸という排出物が発生する。通常は産業廃棄物として中和処理後に埋め立て処理するが、同社では「フカシ槽」という設備を用いて廃酸内に混在していた塩化亜鉛、塩化第一鉄を分離。塩化亜鉛はフラックス薬品の原料、塩化第一鉄は廃水処理薬剤として再生し、薬品会社に売却している。さらに薬品会社が製造した薬剤を購入し、自社で再使用する資源循環システムを確立した。また酸洗工程で錆を除去する際に発生する塩化第一鉄を廃水処理剤として再利用し、汚泥の発生を年間約54トン削減。愛知ブランドの認定がきっかけとなり、事業への理解や顧客からの信用がより深まることが期待される。
技術力を幅広い産業へ発信
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直交ロボの総合メーカーとして広く技術を展開
射出成形機向け取り出しロボットでトップクラスのシェアを誇るスター精機は、幅広い分野の顧客開拓に役立てたいと愛知ブランドの認定取得に乗り出した。プラスチック成形業界で高く評価されてきた技術と品質を生かし、直交ロボットの総合メーカーとして物流や工作機械分野にも活躍の場を広げる。
業界でのシェアの高さに加え、グループ会社のノウハウを集結した独自技術も評価された。ロボットハンド分野では1600種以上を展開し、パーツの企画からアフターサービスまで社内で一貫する。また直交ロボの技術を活用した導入しやすいパレタイザーを開発。物流など従来とは異なる分野でも省人・自動化に貢献する。
同社は射出成形機用自動払い落とし機「K―500」など業界の自動化の先駆けとなる製品も開発してきた。愛知ブランド認定を機に周知にも取り組んでいく。
光る愛知の技術力/難削材加工向け超硬ドリルがロケット部品加工に採用
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H3ロケット燃料部品加工に採用された「超硬Mドリル」
切削工具の製造販売を手がける大見工業(安城市)では、難削材加工向けドリル「超硬Mドリル」が大型基幹ロケット「H3」の部品材加工に採用された。
同製品は2月に打ち上げ成功した試験機2号機の重要部品加工で使用された。切り粉分断性に優れた先端形状「M刃型」や、特許工法を用いた「3―to―2wayフルート形状」により低ねじれでの切り粉排出性を向上。燃料部品に使われるインコネルやHRC46の硬度造形材、SUS材などの特殊材料加工で工具交換回数の削減と加工精度の向上を実現した。
さらに同社はエンドミルシャンクのシリーズも展開。M刃型シリーズとして、バリの出ない先端形状の開発も進めている。