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8月7日は機械の日
日本機械学会(JSME)は8月7日を「機械の日」、8月1日から7日までの1週間を「機械週間(メカウィーク)」と、2006年に制定した。機械技術が社会や産業の健全な発展にどう役立つかを広く社会とともに考察し、併せて機械技術者の果たす役割を明確にすることで、社会から一層の理解を得るのが目的。機械の日や機械週間に合わせて、子ども・学生向けイベントや「機械遺産」の認定式などが行われる。
機械技術者―役割明確に
8月7日は七夕の中暦である。七夕は中国の儀式「乞巧奠(きっこうでん)」に由来し、奈良時代、日本に伝来した。「たなばた」の読みはこの日に神にささげる御衣を織るための織機「棚機(たなばた)」を意味し、この日は技巧上達を祈念する日とされた。JSMEは理念である、学術技芸の進歩と社会への貢献に通ずるものがあるとして、8月7日を機械の日と定めた。
我々の生活や文化は工作機械や農業用機械、建設機械、食品機械などの生産用機械のほか、輸送機械、サービス用・娯楽用機械など多様な機械に支えられている。機械自体はもちろん、それを構成する各部品や、機械に取り付けて使う工具、関連システムなどの精度向上や、環境対応、自動化・省人化対応、コストパフォーマンスの向上など、さまざまな面での進化が求められ続けている。
子ども・学生向けイベント
JSMEは機械の日や機械週間を中心に、若者の理工系離れの回避や、女性を含めた次世代技術者の育成支援につながるような、子ども・学生向けイベントをメインに豊富な関連行事を行っている。
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参加者の宇宙工学・機械工学への興味関心を高めることを目的に「モデルロケット教室」が開かれた
7月24日に、東海大学湘南キャンパスで小学5・6年生を対象に「モデルロケット教室」が開かれた。ロケット開発の歴史や最新のロケット技術に関する話題が紹介され、参加者は紙とプラスチックを用いてモデルロケットを製作し、打ち上げた。
機械の日当日の7日には、川崎重工業の2輪車、ロボット、エンジン、産業用ガスタービンの生産拠点である明石工場と、川崎重工業グループの企業博物館「カワサキワールド」の親子見学会が行われる。参加対象はJSMEジュニア会友の小中学生とその保護者。参加した子どもたちは、見学会を題材にした自由研究作品コンクールにも応募可能で、優秀作品はJSMEの公式サイトで紹介予定だ。
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好評を得ているエンジニア塾を、出張版としてモノづくり体感スタジアムでも開催する
23日には科学技術館(東京都千代田区)の展示・イベントホールで行われる「モノづくり体感スタジアム2025」(モノづくり日本会議、日刊工業新聞社主催)で、小学生を対象に「ロボットクラフト工作(エンジニア塾出張授業)」が開催される。エンジニア塾はJSMEが21年に開始した小学生向けのプログラムで、1年を通じて、工作教室、工場・研究室などの見学会、技術者による講演などを行っている。モノづくり体感スタジアムではエンジニア塾の出張版として、タミヤのロボクラフトシリーズを製作する。
また同日14時から、科学技術館の第1会議室で「2025年度機械遺産」認定式が行われる。機械遺産はJSMEが07年に始めた認定制度。歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、主として機械技術に関わる歴史的遺産を認定する。
今回は①コロナの国産初の加圧式石油ストーブ「SB型」②総合車両製作所の円弧状車体で軽量化を実現した「東急5000系電車」③富士通のリレー式計算機「FACOM128B」④信州大学繊維学部の「絹糸紡績機械群」(英グリーンウッド&バトリー製)⑤セイコーエプソンの電子式卓上計算機用ミニプリンター「EP―101」⑥スズキの軽自動車「スズライトSS」―が選ばれた。これにより、登録された機械遺産は132件となった。
これまで認定式への参加は事前申し込みが必要だったが、今回は登録不要で誰でも参加できる。より幅広い層に、機械について考えるきっかけとしてもらうことを狙う。
ごあいさつ/日本機械学会 会長 岩城 智香
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日本機械学会 会長 岩城 智香
日本機械学会では七夕の中暦にあたる8月7日を「機械の日」と定め、8月1日から7日を「機械週間」として、各種事業を展開しています。
機械週間の主要行事として開催される「機械遺産」の表彰式は、日本の機械技術の歴史的価値を顕彰し、産業の発展に寄与した重要技術を次世代へ継承する、意義深い取り組みです。今年も新たに6件が認定され、累計登録数は132件となりました。今後は、これらの遺産の意義と価値に対する理解を一層深めていただけるよう、広報活動および教育的取り組みの充実にも努めてまいります。
機械工学はこれまで人々の豊かな暮らしを支えてきましたが、今後は安心・安全で持続可能な社会、そしてウェルビーイング(心身の幸福)の実現に向けて、さらなる進化が求められます。気候変動や少子高齢化といった複雑かつ多面的な社会課題に対しては、機械技術の力と学際的な連携が重要です。当会は3万人を超える専門家を擁する機械総合技術の中核学術団体として、分野横断的な活動と他学協会との連携により、社会課題の解決に資する知の創出と実践に取り組んでいます。
社会課題の解決に貢献するイノベーション創出においては、多様性が不可欠です。当会はさまざまな背景や視点を持つ技術者・研究者が活躍できる場の提供に努めています。特に将来の深刻なエンジニア不足が指摘される昨今、若手人材の育成は喫緊の課題です。若手会員への支援のみならず、次世代育成への貢献にも積極的に取り組んでいきます。
また、STEM(科学・技術・工学・数学)分野の中でもとりわけ女性比率が低い機械工学分野においては、ジェンダー平等の実現も大きな課題です。当会としても、この現状を受け止め、より広い視野に立った施策の検討と実行を進めてまいります。さらに今年度は機械の重要性と可能性に対する理解を深め、当会の考えを広く社会に伝えるため、情報発信を強化します。
機械工学は今、変革の時を迎えています。当会はこの時代の要請に応え、産官学の連携を一層深化させるとともに、他学協会との協調を通じて、学術の発展と社会の持続的発展に貢献する使命を果たしてまいります。
