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四国4県の産業施策
徳島県/企業の成長と新産業創生支援
徳島県は「『未来に引き継げる徳島』の実現」をビジョンに掲げ、「『徳島新未来創生』政策集」(徳島県版・骨太方針)を策定する。「徳島新時代の「安心度」「魅力度」「透明度」の向上を達成すべきミッションとして、17の戦略を設定。地域経済を牽引する企業の成長と新産業の創生を目指す。同県は大塚製薬工場や日亜化学工業、四国化工機など独自技術を生かした世界シェアや国内シェアの高い特色ある企業が多い。その中で、徳島県の後藤田正純知事は「電池産業の徳島にもしたい」と強調する。県内企業の食品機械製造業のテクシード(徳島市)が石井町の新工場を稼働させリチウムイオン蓄電池モジュールを手がけている。一方で「サスティナブルー徳島」と位置づける。ブルーは徳島の地場産業の藍染め、青色ダイオード、海を表し、これらを生かした産業振興を図っていく考えだ。
県内企業の販路開拓支援では今回で24回目を迎えた徳島県最大級の見本市「徳島ビジネスチャレンジメッセ」(事務局=徳島ニュービジネス協議会)が徳島市内で10月19日から3日間開催した。同見本市はコロナ禍はオンライン開催するなど一度も中止にせず継続している。同見本市には「徳島の既存企業の後継者のチャレンジ精神の育成」を目的に『アトツギ★ベンチャーゾーン』を設け同サミットも開いた。同会場のオープニング式典でビジネスプランコンペ「徳島ニュービジネス支援賞2023」の優秀賞2社と部門賞5社を決定。同優秀賞はamidex(徳島市)と日本エアードライヤー販売(徳島県吉野川市)の2件が受賞。渡辺佳一郎amidex社長は「健康な歯を削らない歯科治療DX技術を徳島から国内外に広めたい」と語った。
愛媛県/「スゴ技」企業の販路拡大支援
愛媛県の製造品出荷額(2021年)などは約3兆8041億円と四国全体のシェアは43・8%となり、第2次産業の割合は29・1%占める。製紙から紙加工、化学、機械、鉄鋼、造船、タオルなどの多彩な工業都市が立地し、モノづくり企業が多く集積する。これに対し愛媛県は12年度に「愛のくに えひめ営業本部」を設置。モノづくりにおいて県が高い優れた製品や技術力と認めた「スゴ技」企業の販路拡大支援に取り組んでいる。22年度の商談やフェアなどの同部が関わった全産業の営業活動による商談会・フェア件数は904件、成約件数は前年度比1492件増の6986件、成約金額は同22億1000万円増の247億6000万円となっている。うちモノづくり関連ではマッチング支援の強化や大型展示会、商談会で成約を増やした。
愛媛県は23年度に営業活動の26年度までの中期経営計画を策定。計画中に年300億円の目標を掲げて23年度は260億円を目指す。愛媛県の中村時広知事は「これまで培った人脈をフル活用するとともにオンライン商談会、ECサイトの活用で新たな販路拡大をカバーしたい」と強調する。「スゴ技」掲載企業の経営者は「単独では入り込めない大企業でも県の信用力で訪問までたどり着く」と感謝する。
モノづくりの優れた技術や製品データベース化した「愛媛ものづくり企業『スゴ技』データベース」は11年度に整備し、ガイドブックを作成。22年度まで計210社・273技術を掲載している。また別冊の建築・土木版も作成している。愛媛県では同ものづくり企業データベースや同ガイドボックを活用し、内外にPRすると同時に販路開拓支援に役立ている。
香川県/廃校利用しソフト開発拠点
香川県は新たな雇用創出や地域経済発展につなげるため県外企業の立地を一層推進している。具体的には「せとうち企業誘致100プラン」を策定。23年度から27年度までの5年間で工場立地100件を目指す考えだ。達成に向け民間事業者による工業団地の開発や立地企業優遇措置、企業が求める人材確保などを支援。ワンストップサービスを充実させていく。企業立地では特に情報通信関連産業の誘致を推進するなか、23年6月には香川県さぬき市にキリロムデジタル(東京都千代田区、猪塚武社長)を誘致。同社は同市の廃校とカンボジアから定住するソフトウエアエンジニアの高度外国人人材を活用し、受注するソフトウエア開発を手がける。香川県の池田豊人知事は「立地でIT人材を呼ぶ寄せることができる」と期待している。
また同県はスタートアップにも力を入れている。23年度から「香川県ビジネスチャレンジコンペ」を創設。9月に最終選考と表彰式を開き、応募した45社の中から最優秀賞にSetolabo(高松市、岡田悠輝社長)を決定した。同社は香川大学医学部卒で医師の岡田社長が18年に予防医療推進の目的で設立。がんごとに成分の異なるマイクロRNA(短いリボ核酸)を検査することでがんを超早期発見できる検査を事業化する。「補助金は今後の臨床に活用し、24年に製品発売を目指す」(岡田社長)。
中小企業の販路開拓支援ではジェトロ香川貿易情報センター内に「香川県海外ビジネス展開促進センター」を設置。海外展開に関心のある企業や新たに海外展開する企業等に対しジェトロと連携し、具体的な課題課題解決支援援活動を行っている。
高知県/デジタル・グリーン・グローバル化推進
高知県では、県経済を根本から活性化させるためのトータルプラン「高知県産業振興計画」に基づき、取り組みを進めている。2023年度は、今後の経済成長の原動力となるデジタル化、グリーン化、グローバル化を推進するための施策を一層強化し、足腰の強い産業を目指して取り組みを展開している。
「デジタル化」では、中小企業支援の中核を担う高知県産業振興センターと高知県商工会連合会にデジタル専門人材を配置し、デジタル化に取り組む企業の掘り起こしと、生産性向上などの経営課題の解決への支援を行っている。また、企業内人材のリスキリングやデジタルリテラシーの向上を促す人材育成講座の開催など、デジタル人材の育成にも注力し、デジタル化に取り組む企業の「量的な拡大」と「質的な向上」に取り組んでいる。
「グリーン化」では、経済と環境の好循環の創出のため、グリーン化関連産業の育成を図っている。各産業分野におけるプラスチック代替素材の活用の可能性を探る研究会の開催や、グリーン化に資する製品・技術の開発費用への支援など、脱炭素化を加速させるための取り組みを進めている。
「グローバル化」では、県外および海外見本市への出展や商談会の開催に積極的に取り組んでいる。海外市場への関心を高めるために「海外ビジネス交流会」を立ち上げ、海外展開に挑戦する企業の裾野を広げる取り組みを進めている。加えて、モノづくり企業の支援ニーズが高いタイおよびベトナムに「高知県ものづくりサポートデスク」を設置し、現地での販路開拓などを力強くサポートしている。
今後も、地域で新たな挑戦が行われ、持続的に経済が発展する高知県を目指して取り組みを進めていく。